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盲人。それは、視覚を使うことが前提の社会から隔絶された人種。
徒歩3分のお出かけなのに、どこからともなく現れる自動車なる物体に脅かされ、側溝や段差、プランターと言われる物体に脅かされ、たった2メートルずれただけで推定迷子の危機に立たされる。それが日常となるのが盲人の常識だ。
そんな恐怖に臆することなく歩き回れる世界がゲームにあった。別に、盲人が遊ぶためのゲームではないけれど、調べてみたら、本当にできそうだった。なら遊ぶしかないだろう。
主人公は、このゲームを遊ぶために動き出す。現実では楽しめない、自由な旅を楽しむために…
首に向かって振るわれた斧がぽふっとなって弾け飛んだ。だって、不意打ち(斧の命中気道が見えない)無効だから。
健常な者の常識で測れない特殊ビルドが生み出した、盲人プレイヤーの冒険旅行記。
- この小説について
- 「ゲーム世界で自由に旅行する」をテーマにしたファンタジー風ストーリーです。
- 「盲人」表記について
- 本書では、視覚障碍等級1級(全盲)を持つ人間種を「盲人」と表記しています。「全盲」と表記しないのは、世界設定として「全盲の種族」が存在しているため、それらと区別する必要があるからです。また「視覚障碍」表記も、弱視、視野狭窄などと解釈できる可能性があるため避けています。