* 第11章 危機

 ※ このコンテンツは、極度のネタバレを含んでいます。なので閲覧をされる方は、ストーリーを一度は味わって下さい。


* 魔法学園にて

 一方、ここは魔法学園…

ネロ:

 ん んん…

 ここは…

 みんなは…

 牢屋だろうか…

上官:

 よぉう、ネロ君。気分はどうだね?

ネロ:

 こ これは、いったい!

上官:

 君達が、月の塔に行ったのを聞いてな。少し話でも聞かせてもらおうと思ったのだよ。

ネロ:

 は 話ですか?

 だったら、どうしてこんな所に、しかも一人にしてるんですか?

上官:

 そうか?そんなにそこが気に入らないか?

ネロ:

 気に入らないも何も。どう見ても、これは牢屋じゃないですか?

上官:

 そうだ。そして、残りの者には用はない。無用な者を連れて来て、私に何の特があると言うのだね?

ネロ:

 ぼ 僕を、いったいどうするつもりなんですか!

上官:

 なぁに。ちょっと魔法が使えるようになったか、見せていただくだけだ。

 さぁさぁ。その場からでいいから、やってみたまえ!

ネロ:

 僕に、魔法を使わせるためだけに、ここに連れて来たんですか!

上官:

 そう言う事だよ。つべこべ言わずに、使ってみたまえ。

 どうした、ネロ!迷っていても、君は使う運命なんだ。

ネロ:

 上官。僕はまだ、魔法は使えません。

上官:

 ほぉ。そんなに躊躇しているか。

 ならば、私が使わせてやろう!

ネロ:

 うわぁ!

上官:

 ふむ。まだ使えないのだな。

 まぁいい。あの力が目覚めていないのならば、我が足元にも及ぶまい…

ネロ:

 ん んん…

上官:

 おはよう、ネロ君。気分はどうかね?

ネロ:

 上官、教えて下さい。

 上官は、どうして僕に手をかけようとしているんですか?

 そして、今呼び戻したなら、なぜ初め、追放したんですか!

上官:

 ふん。魔法が使えないお前に語るほどでもないわ。

ネロ:

 わかりました。じゃぁ、僕はもっと修行します。魔法が使えるまで…

 だから、ここから出して、みんなに合わせて下さい!

上官:

 ほぉ。お前ほどの者が、あの者とそれほどにまで共にいたいと言うか。

ネロ:

 みんな、僕と共に歩む事を決断してくれた仲間なんです。一人として、不要な事はありません。

ネロ:

 ?

上官:

 そんなに出たいなら、さっさと出るがいい。そして、あの者達の元へ行くがいい!

 尤も、すでに知っているだろうが、お前の思い通りに学園が動いているはずはないだろうな。ハッハッハッハッハッ!

ネロ:

 上官。いったい、何を考えているんですか?

 僕らは、上官の手の平の上で、ただ踊らされているのではありません。

 自分達のために学園へ通い、魔法を習得し、共存のために歩んでいるんですよ。

上官:

 空想は空想に過ぎず…

ネロ:

 上官、待って下さい!

 また、わけのわからない事を言って、消えちゃった…

 おっと、こうしちゃいられない。みんなを、探さないと…

 確か、上官が言うには、僕だけを学園に連れて来たんだ。つまり、3人は…

 

* チェリーの元まで行けた場合

 何かが閉じ込められている…

ネロ:

 お おんなのこ?

女の子:

 あ、君、ここの人?

ネロ:

 ここ?

女の子:

 今度は何をするの?

ネロ:

 何をって、別に僕は、何もしないけど…

女の子:

 えっ、じゃ、ここにいる人じゃないのね?

ネロ:

 もしかして君、君もここに連れて来られたの?

女の子:

 うん。

ネロ:

 そうなんだ。

女の子:

 ねぇ、ここから出して?

ネロ:

 あ、そうなのか。わかったわかった。

女の子:

 ありがと。最近、連れて来られたんだけど、ひどい目に会わされてて、出たかったの。

ネロ:

 でも、ここから出ただけじゃダメだよ。この学園から出ないと。

女の子:

 わかってる。だから、今からここを出る。

ネロ:

 そうだ。僕も、出るところなんだ。よかったら、一緒に来るかい?

女の子:

 うん。一人じゃ不安だから、お願い。

ネロ:

 もし、よかったら、名前… いいかな?

女の子:

 あたしチェリー。スールの南にいたの。よろしく。

 

* チェリーに会う前に倒された場合

ネロ:

 (だ だめだ…)

魔法使い A:

 な なんだ!

???:

 わっ、何やってるのよ!ひっどい。

魔法使い B:

 な 何を!

魔法使い C:

 は 速い!

???:

 生きてる?

ネロ:

 …… お おんな の …… 子 ……

女の子:

 あっ、ケガしてる。あたし、治してみるから、じっとしてて。

ネロ:

 た 助かった… ありがとう。

女の子:

 うん、いいの。大人が子供に剣を振り回すの、あたし大ッキライなの。

ネロ:

 君、もしかして、ここの人?学生には見えないんだけど…

女の子:

 えっ、あたし違うよ。ココに連れて来られてひっどい目に会ったから、ココ出たいの。

ネロ:

 そ そうなんだ…

 (あの上官はもしかして、こんな子にも用があったんだろうか…)

女の子:

 ねぇ君さ。君、ココの出口知ってる?あたし、あっちこっち探しても見つからないの。

ネロ:

 えっ、あっ、出口?知ってるよ。

女の子:

 そうなの!じゃ、出口どこにあるか教えて。

ネロ:

 じ 実は僕も、出口を目指してるんだ。よかったら、一緒に行こうよ。

女の子:

 あっ、それいい。一人より楽しい。一緒に行く。

ネロ:

 もし、よかったら、名前… いいかな?

女の子:

 あたしチェリー。スールの南にいたの。よろしく。

 

 

* 魔法学園の出口にて

??:

 そこまでよ!

ネロ:

 わっ、教官!

教官:

 あなた達、脱走すると、どうなるか知っているのかな?

ネロ:

 (この教官も、やっぱり僕の事を覚えていないのだろうか…)

教官:

 さぁ、今なら痛い目には会わずに済むわよ。そこでおとなしくこっちを向いていなさい。

チェリー:

 どうしよう… 出口はすぐそこなのに…

ネロ:

 チェリー。教官には悪いけど、少し寝ていてもらおう。そうしないと、出られないよ。

教官:

 ふ~ん。子供が、大人に打ち勝てると思っているんだ。なら、見せてもらいましょう!

チェリー:

 この人、凄く頑丈そう。あたしの力じゃ無理かも…

ネロ:

 あの教官は、守りは固いけど、木属性の魔法には弱いんだ。チェリーは、使えるから大丈夫だよ。

教官:

 (な 何… この子、なぜ私の弱点を…)

 (いや、仮に愛称が悪くても、無力ではない。それに、魔力が弱ければそれまで…)

 

* 教官を倒して

教官:

 つ 強い…

ネロ:

 チェリー。ありがとう。おかげで、無事に出られたよ。

チェリー:

 いえ、こちらこそ出してくれてありがと。それじゃ。

 

 チェリーと別れた…

 

ネロ:

 教官。もう、僕の声は届かないんですか…

教官:

 その声は…

 ネロ!

ネロ:

 はい。

教官:

 いったい、何がどうなっていたの…

ネロ:

 教官、誰かに洗脳されていたんです。きっと。

教官:

 洗脳…

ネロ:

 おっと。僕、ここに長くいてはいけないんです。他の人に捕まるのもまずいし、仲間も僕を探してるんです…

教官:

 エクール達ね。

ネロ:

 えっ、知ってたんですか?

教官:

 一応ね。ネロが逃亡したって話で聞いてたけど、アレは嘘でしょう。

 ともかく、確かに今の君は、ここにいるべきではなさそうね。早く、行きなさい。

ネロ:

 はい。それじゃ、お元気で…

教官:

 自らが魔法の洗脳下にあったとは… 私も、教官失格かな…

 

 こうして、ネロはエクール達がいると思われる、セルターネスを目指して走り続けた…

 

 

* ミルタウンの宿で休んで

   その頃…

フィー:

 ようやく、ナムアシティだね。

エクール:

 ここには、ネロはいないみたい…

ダンガ:

 ちっ、やっぱミルタウン南まで行くってわけか。

エクール:

 ネロ… 無事でいて…

フィー:

 そうだね。彼がいないと、ここまで来た意味もないし。

エクール:

 意味なんてどうだっていいのよ!

フィー:

 な 何するのさ、いきなり!

エクール:

 もし、ネロに何かあったら… それだけで、十分なの。

ダンガ:

 何切れてんだよ、エクールちゃん。少しは落ち着かないと、見つかるものも見つからねぇぞ。

エクール:

 だ だって…

フィー:

 とりあえず、ここにはいないみたいだし、先を急ごう。

エクール:

 う うん…

 

 

* ファンムー港にて

ネロ:

 あっ!

エクール:

 ネロー!

ネロ:

 エクール!ここまで来たの?

ダンガ:

 そういう事さ。あの時はすまなかったな。

エクール:

 学園に捕まったんだから、きっと学園にいるはずと思って、急いでここまで来たの。

ネロ:

 ごめん、みんな。心配かけて。

エクール:

 いや、アレはあなたのせいじゃないわよ。だってアレ、卑怯じゃない。

ダンガ:

 全くそうだぜ。アイツら、今度会ったらたっぷりお返ししてやる。

フィー:

 ともかく、これで元通り。生きていたのも幸いだったね。

エクール:

 ところで、次はどこへ行く?

ネロ:

 えぇと、ムングの指輪とかはどうなった?

フィー:

 無事だよ。だから、あの塔へはもう行く必要はないね。

ダンガ:

 セルターネスから南に歩けば、炎の谷があるぜ。あそこには、炎の魔法主がいるそうだ。

フィー:

 確かにそうだけど、けっこう距離があるよ。

エクール:

 そうなの?

ネロ:

 あぁ、アリュアックの近くか。確かに途中に村も通るし、妖精の森も通らないといけないね。

エクール:

 それ、物凄く遠いじゃん。

フィー:

 でも、残念ながら、他にいい道はないよ。海はあるけど、そこへ船が出るわけではないと思う。

ダンガ:

 あの辺、炎の魔力の影響か何かで、水が温かいんだろ?船にとってはつらい環境そうだな。

エクール:

 仕方ないわね。わかりましたよ、」歩きますよ、歩けばいいんでしょ?

ネロ:

 そ そんな風に言われてもなぁ。

フィー:

 でもネロ、凄いね。一人でここまで歩いて来たんだから。

エクール:

 え?

 

 そうだったわね。

 

 確かに、ミルタウンからここまで歩くのは、とっても大変な事だ。

ダンガ:

 おや?どうしたんだい?エクールちゃん?

エクール:

 ちゃ ちゃん付けしないでよ!

フィー:

 せっかくの雰囲気が、一瞬で崩れちゃったね。

ダンガ:

 だぁ、そいつはねぇぜ。俺はただ、急に黙り込んだから、どうしたかなぁってさ。

エクール:

 ん、いいの。気にしないで。

ネロ:

 気になる…

フィー:

 まぁまぁ、雑談はこれくらいにしてさ。今日はもう休もうよ。お互いに疲労が貯まって苛々しているかもしれないし。

エクール:

 フィー、本当に冷静ねぇ。

ネロ:

 でも、フィーの言う事は正しいよ。今日はもう休もう。


  第12章 魅惑の女
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