* 第1章 追放

 ※ このコンテンツは、極度のネタバレを含んでいます。なので閲覧をされる方は、ストーリーを一度は味わって下さい。


  ここは、魔法の飛び交う世界…

 

  全ての生命あるものは、神より魔法の力を与えられた。

 そして、それぞれが自分に見合った魔法を持っている…

 

  皆は、その力を使い、共存し、世界のバランスを保って来た。

 もちろん、人もその役をになっている…

 

 しかしながら、魔法は時に恐ろしい兵器と化す。

 度々、争いの道具として使われ、結果、多くの生命が失われた…

 

  そこで、正しい魔法の使い方、魔法の在り方を教える

 魔法学園が各地に設立された。

 

  18歳未満の子供は皆、この学園で教育を受ける事が義務づけられ、

 基本的な魔法の使い方を誰もが知っているようになった…

 

  しかし、誰も気づく事はなかった。

 この行為がもたらす恐ろしい結末に…

 

 僕の名はネロ。学園に入って13年になる…

 

 でも、どうしてだか、魔法を使う事ができない…

 

 友達も、教官も、両親も魔法が使えるのに… 僕だけ使えない…

 

 でもきっと、もう少しがんばっていれば、使えるようになる…

 

 僕はそう思いながら、10年以上ここで鍛錬を積んできた…

 

* 魔法学園 教室

 

学生 A:

 おはよう、ネロ。

ネロ:

 おはよう。眠そうだね。

学生 A:

 あったり前だろう?昨日はずぅっとゲームしてたんだ。一緒にやってたじゃないか。

ネロ:

 そ そりゃ、そうだけどさ。

学生 A:

 まぁいいさ。どうせ今日の授業は寝てても見つかるわけないし。一休みさせてもらいましょっと。

 

学生 B:

 もうすぐ魔法の試験があるみたい。勉強しないと教官に怒られちゃうよ。

ネロ:

 う~ん、確かにそうだねぇ。困ったなぁ。

学生 B:

 今回の試験は実技があるから、よ~く説明しとかないと、まずいよ。

ネロ:

 うん。

 

学生 C:

 魔法は共存するって言うけど、結局は戦いに使う魔法ばっかり教わってるように感じるのは僕だけかなぁ?

 あ、これ教官には内緒だよ。バレるとめんどうだからさ。

 

学生 D:

 よっ、無魔法剣士。気分はどうだ!

ネロ:

 ちょ ちょっと、何だよいきなり。

学生 D:

 んだよ、そのままじゃないか。お前は魔法が使えない、無魔法剣士だ。竹刀に長けているからなおさらだぜ。

ネロ:

 そ そりゃ、魔法は使えないけどさぁ、そりゃ人権侵害だよ。

学生 D:

 ほぉ、そんなに文句があるならかかって来いよ。教官の代わりに、俺が魔法でたっぷりおしおきしてやるぜ。

 

* 学生Dをなぎ倒して

学生 D:

 あいてててて。木刀野郎に負けるとは…

 

学生 E:

 今年で卒業かぁ。早かったなぁ。

ネロ:

 そうだね。来年からは、自分で生きていくか、魔法大学でさらに鍛錬を積むかだもんね。

学生 E:

 そういえば、ネロは結局、魔法使えなかったよなぁ。どうするんだい?

ネロ:

 できれば、魔法大学へ行くよ。今一人では何もできないから、もうちょっと鍛錬して魔法を使えるようになるんだ。

学生 E:

 そいつが無難そうだね。僕も大学になるんだ。悪いが、成績では負けないからね。

 

 

* エクールが教室に入って来て

???:

 ふぅ、寝坊しちゃった。

学生 A:

 おぉ、エクール。おはよう。

エクール:

 あ、まだ教官来てないのね。じゃ、セーフっと。

 

  彼女の名はエクール。おそらくクラス一番の魔法使いだ。

 

  僕とは幼馴染に当たるけど、僕なんかよりもずっとたくましくなった。

 見た目も、頭も…

 

 

* エクールとの会話

ネロ:

 おはよう。

エクール:

 あ、ネロ。おはよ。

ネロ:

 寝坊?したんだ…

エクール:

 な 何よ。何か不満かしら?

ネロ:

 いや、他と一緒だよ。

エクール:

 昨日さ、夜中まで宿題やってさ。

学生 D:

 げげっ!宿題あったっけ!

学生 B:

 うん。世界で平均的な人が使える魔法を3つ調べて来る宿題。

学生 D:

 き 聞いてねぇ~!ヤッベェじゃん。

学生 E:

 二つはわりと楽に出たんだけど、3つは難しかったなぁ。みんなはどうだい?

学生 A:

 ぜんぜんダメ。魔法剣と魔法弾はささっと出たけど、それ以外が…

学生 C:

 無色魔法はたいていの人が使えるものだから、統計を取る必要もないんだよね。でもあと一つ、その他の汎用魔法って事だろうか?

ネロ:

 一応調べては来たんだ。土と水と風と炎かなぁってさ。

学生 B:

 なるほど。あの手の魔法は光や闇よりも頻度が多いって記録があったわね。

学生 D:

 おぉ、そうかそうか、でかしたぞ、ネロ。

ネロ:

 でかした?何が?

学生 D:

 俺にまたおしおきされたくなかったら、おとなしくそのノートをよこせよ!

ネロ:

 そ そんなぁ、そりゃないよ。

学生 D:

 大丈夫だって。俺も鬼じゃないんだ。3分ほど貸してくれたらすぐ返すってば。

学生 E:

 また人に頼りますか。さっき、さんざん言っておいて。

エクール:

 あら?また喧嘩してたの?

学生 B:

 さっきね、また無魔法扱いしてたの。で、喧嘩してたわけ。

学生 D:

 な 何だよ、エクール。俺をそんな目で見るなよ。

学生 A:

 ハハハ、エクールはネロの守護役だからねぇ。

学生 A・学生 D:

 で 出た!

エクール:

 何そんなに驚いてるの?いつも見てるのに?

ネロ:

 (エクール、寝不足なのかなぁ?何だか怒ってる…)

学生 E:

 まぁまぁ、もうすぐ教官が来るからさ、このくらいにしとこうよ、ね。

学生 D:

 そ そうそう。怒られても知らないぞ。

エクール:

 ふぅん。だったら、怒られなきゃいいのね。あと3分はあるけどねぇ…

学生 B:

 (彼女は私たちの倍近くの魔力を持っているから、本当に3分で片付けられるかも…)

学生 D:

 さ 3分で何するってんだよ!マジ寝不足なんじゃねぇのか?

ネロ:

 あ、あの。3分あるけどさ、あまりここをボコボコニするとまずいよ。

学生 C:

 確かに… エクール、続きは放課後にでもしてやったらどうだ?

エクール:

 オッケー。じゃ、放課後はお願いね。

学生 D:

 (お願いね… って、何がだよ、何が。)

 

教官:

 さて、授業を始めますよぉ。席に付いて下さい。

 

  こうして、今日もいつも通りに授業が行われた…

 

     放課後…

 

* 魔法学園 屋上にて

教官 B:

 おぉ、ネロ君。私に声をかけたって事は、魔法の特訓をして欲しいんだな。そうだろう!

ネロ:

 えっ、ちょ ちょっと…

教官 B:

 大丈夫だって。さぁさぁ、やってみよう!

 

* 教官を倒した場合

教官 B:

 うむ。お前まさか、すでにノーマルモードを終えているのではないか?明らかに、本来のあり方とは違っているぞ。

 まぁいい。ともかく、結局お前は魔法を使っていなかった。魔法は生命を繋ぐ物であり、世界共通の宝なのだ。君のできる限りの速さで習得するよう努めたまえ。

 

* 教官に敗れた場合

教官 B:

 相変わらずだなぁ。ずぅっと前からだが、知識は増えても肝心の魔力が鍛えられてない。一応、会議では留年がなかったと思うが、自分を守るものであり、生命を繋ぐ魔法である以上、君のできる限りの速さで魔法を習得しろよ。

 

* 夕方になっている場合

教官 B:

 おや?もうこんな時間か。もう暗いから、早く帰りたまえ。

 

 

* 夕方になる前に学園を出ようとして

  まだ学園を出るには早過ぎるなぁ…

 

 

* 魔法学園出口

???:

 ネロー、大変よぉ。

ネロ:

 エ エクール?

エクール:

 ネロ、真面目に聞いて。

 急いで、ここから脱出したがいいわよ。

ネロ:

 脱出?

 いったい、どういう事?

エクール:

 今日、卒業判定会議があったの、知ってるよね?

ネロ:

 あ、うん。屋上にいた教官も言ってたよ。

エクール:

 実は、裏情報があって、あなたを…

 

 追放する可能性があるの…

ネロ:

 ちょ ちょっと、そんな!

エクール:

 しぃぃ~、あまり大きな声を出さないで。誰かが聞いてたらまずいわ。

ネロ:

 で、いったいなぜ、僕を…

エクール:

 多分、魔法が使えないからだと思う。それ以外で追放する理由は考えられない。

ネロ:

 で でも。屋上の教官は言ってた。留年する人はいないって。それに…

エクール:

 留年と追放は話が別よ。そもそも、この話はごく一部の上官しか知らず、普通教官はおそらく知らないと思う。

ネロ:

 そ そんな事が起こるって、信じられない…

エクール:

 ん?

 

 まずい… 何かいる…

 

; モンスターとの戦闘終了後

ネロ:

 ひ ひえぇ。まいった。

エクール:

 確か、過去にも追放された学生がいたって言う話は聞いた事があった。その時は確か、追放された学生は謎の死を遂げたそうよ。

ネロ:

 ま まさか、今のモンスターって… 学園から…

エクール:

 わからない。でも少なくとも、ネロに目が行っていたように見えた。ともかく危険かも。

ネロ:

 ど どうしよう…

エクール:

 ネロ。ここから逃げて。少なくとも、ここにいちゃいけない。

ネロ:

 でも…

エクール:

 他の学生には何とかしとくわ。それから、教官も。任せなさいって。

ネロ:

 …

 

  わかった…

 

  もし、魔法が使えなくて追放されたなら、僕はここから出ていく。

 

  そして、魔法を使えるようになって、戻って来るよ。

エクール:

 ネロ、ごめんね。

 できればみんな一緒に卒業したかった。

 けど、どんな魔法だって、命に返られるものはないわ。魔法は、その手段の一つに過ぎない…

ネロ:

 みんな、ごめん…

エクール:

 さぁ、走って、ネロ。できるだけ、遠くへ…

エクール:

 決して、振り返らず、今はひたすら走るのよぉ。

 

  こうして、僕は学園を離れる事になった…

 

  みんな、さよなら。

 

  でも、いつか必ず会おう…

 

  魔法を使えるようになって…

 

          魔法物語

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  第2章 魔法が使えるのなら
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