* 第23章 最後の部屋

 ※ このコンテンツは、極度のネタバレを含んでいます。なので閲覧をされる方は、ストーリーを一度は味わって下さい。


* 最後の砦5階にて

ネロ:

 ひ 広い…

フィー:

 もしかして、ここが最上階…

チェリー:

 近くに、誰かいるよ。

 

上官:

 やぁ~、ネロ君。元気そうで何よりだ。

エクール:

 う 後ろ!

上官:

 君達がここまで来る様子、楽しく拝見させてもらったよ。

 あれほどの魔物の輪をかいくぐり、ここまで来るとは、ずいぶん強くなったな。

ダンガ:

 さて、アンタには悪いが、おとなしくしててもらおうか。

ネロ:

 上官!僕らは、あなたを倒さなければなりません。覚悟して下さい!

フィー:

 ネロ、もう上官じゃないよ、この人は。

上官:

 ほぉ、そんなにまでして魔族を嫌うか。それは困ったものだな。

クレアー:

 魔族を嫌うのではありません。あなた達がやろうとしている事、それを止めるだけです。

チェリー:

 そう。魔法を封印して、世界を洗脳するなんて、絶対に許さない!

上官:

 そうか。そんなに我々の美しい計画を邪魔したいのか。それなら仕方ないな。

ダンガ:

 何くだらない想像に浸ってやがるんだ!アンタ。それのどこが美しいんだ!言ってみろ!

上官:

 そう言う君達こそ、そんなに魔法で戦争がしたいのかね?

エクール:

 な 何で、そうなるのよ?

上官:

 エクール、フィー。お前達は、あの学園を出た後、何をするつもりだったんだね?

エクール:

 えっ、えぇっと…

上官:

 そうやって答えの出ない者の多くは、戦争に行く。今も過去も、ずっとそうだった。

エクール:

 そ そんなの、何であなたが決めつけるのよ。私達の勝ってでしょう?

フィー:

 確かに、多くは戦争に行くため、よく魔法学園は、軍隊の裏倉庫だと言われます。けれど、それは単に、お金という誘惑に負けた弱い人々。

上官:

 答えになっていない。お前達はどうしたのだね?

 それからネロ。お前も、そんなにまでして魔法を使いたがる必要はあったのか!

ネロ:

 僕は…

 ありました。

 

上官:

 ほぉ。聞かせてもらおうか。

ネロ:

 僕は、あの時魔法が使えないがために、何をしても学園では人一倍ダメ人間でした。

 当然、そんな僕にまともな友達などできなかった。エクールが声をかけてくれなかったら、僕は今まで、生きていけなかった。

 そして僕は、思った。魔法が使えない事がそんなに悪いのなら、使える人になりたい。そうなれば、誰からも見捨てられなくなるんだって。

上官:

 そうか。では、魔法が使えたら、他のものと共に、戦争をしたのか!

ネロ:

 そうだったかもしれません。

エクール:

 えっ、ネロ。そ そんな事言ったら…

ネロ:

 でも僕、こうしてここまで来て、気づきました。僕が欲しかったものは魔法ではなかったんだって。

 そして、魔法がなくても、人として見てもらえる事がわかった。仲間もできたし、こうしてここまで来れた。

ダンガ:

 ネロ、何言ってんだか、よくわからねぇなぁ。さっさと結論言えよ。

フィー:

 ダンガさん、せかしても進展ないよ。

上官:

 ネロ。そんなに魔法が必要ないなら、なぜ我々の邪魔をするのだ!

ネロ:

 上官こそ、なぜ自分達だけ魔法が使えるようになりたいのですか?

 もし、世界を自分達の都合のいいように改造するのが目的だったら、それこそ矛盾している。おわかりですか!

上官:

 我々は主の復活を果たさなければならん。そのためには、戦争で無駄な魔力を浪費するものがいては困るのだよ。

ネロ:

 でも、その主が復活したら、全てが元に戻るわけではない。主を復活させた後、あなた方は魔法で全てを支配する。

 人も、植物も、モンスターも。みんなそれを望んでいると言うのですか!立証して下さい!

セリウス:

 ネロ君…

ダンガ:

 ネロ、我慢できねぇぞ。早くコイツを倒しちまおうぜ。

上官:

 ネロ君。私の負けだ。人間にそこまで言われては、私の立場もない。

 したがって、力づくで私を止めてみたまえ!その生命の力でな!

エクール:

 け 結局、そんな事になるのね!

クレアー:

 恐ろしい魔力を感じます。さすが、一魔法学園の創設者ですね。

チェリー:

 みんな、気をつけて!

 

 

* 上官倒して

ダンガ:

 よっしゃぁぁぁ!まいったか!魔族め。

セリウス:

 なんという敵だ。あらゆる魔法の力を持つ… さすが、魔族だな…

上官:

 クックックックックッ。君達、とてもすばらしい力を持っているな。

エクール:

 何高笑いしてるのよ。いくら私達を褒めても、あなた達の野望はこれでおしまいよ。

フィー:

 エクール。何だか様子がおかしいよ。

エクール:

 これのどこがおかしいってのよ。もうピクピクなってるだけじゃないの。

フィー:

 周囲だよ。

エクール:

 えっ、あぁ、確かにまだ、邪悪な空気みたいなのあるけど、上官が本体じゃないからでしょ?

 本体?

ネロ:

 そうだよ。そういえば、本体はいったい、どこにあるんだろう?

上官:

 お前達のすぐ近くさ。すぐに会えるだろう。

ダンガ:

 それなら話は速いぜ。そいつをチャチャっと倒して、お前達の野望はおしまいだな。

チェリー:

 あ 頭が…

クレアー:

 チェリーさん、大丈夫ですか?

チェリー:

 こ こっちに、な 何か来るよ。

セリウス:

 おそらく、その魔族の本体というものだろう。

 

エクール:

 な 何、コイツ!

フィー:

 ドラゴン?

上官:

 ハッハッハッハッハッ。我が主、神帝様のご復活だ!

クレアー:

 神帝ですって!

ダンガ:

 神帝!本当に、お前が神帝だと言うのか!

上官:

 お前達と戦っている間に、主はその息を吹き返した。これで、お前達のお遊びも終わりだ。

フィー:

 神帝と言えば、無敵の力を持つとされるドラゴンで、魔族の神として崇められているものだったよね。

エクール:

 私達、こんなのと戦わないといけないの?

ダンガ:

 何しょげてるんだ、エクールちゃん。いくら無敵の神帝でも、弱点がある。だから、ここへ来たんだぜ。

セリウス:

 そうか。ネロ君の力を借りて、戦えばいいんだな。

エクール:

 で で でも、サ サ サイズがさぁ、お 大き過ぎるって。

 

チェリー:

 あたし、戦うよ。神帝に。

フィー:

 チェリー…

ダンガ:

 チェリー、何当たり前の事言ってるんだ。俺たちの目的は、上官を倒す事じゃねぇ。そのために来たんだぜ。

クレアー:

 ダンガさんの言う通りですね。皆で協力し、全力で立ち向かいましょう。

フィー:

 人間と魔族との最後の戦い…か。

セリウス:

 フィー君、その響き、いいなぁ。私もそう言わせてもらおう。

エクール:

 みんな…

ネロ:

 行こう、エクール。僕らの決めた道を。

エクール:

 …うん。

 

ネロ:

 きっと、最後の戦いになるよ。準備をしよう。


  第24章 決意
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