視覚障害に関する業界用語を紹介しています。これは、当事者同士の会話でしばしば出てくるものです。
あ行
- アイウルラエレリオロ
- 点字の数字「1~0」、または英字「A~J」のこと。本来は、これらの文字の前に英字符や数字符を付与することで意味を持たせるのだが、点字使用者の間では、数字や英語を無理やりカナ読みするという遊びが存在している。
- アイマスク
- 目を覆うことで視界を塞ぐ道具。視覚障害体験用具の他、ブラインドサッカー等視覚障害系協議で違反ができないよう、全盲でも強制的にかけることがある。
- あなに いなわわ いない
- 点字の教材で使用されている言葉。各文字を点字にすると、1~3の点の範囲で表現できるため、触読での基礎訓練に使いやすい。また、点字が「表音文字」であることを端的にも表している。
- altiar
- 「Altiar for windows」のこと。エディタ・MS-dosプロンプト、メーラー、ブラウザ機能を包含し、SAPIを用いての音声出力機構を持つ。操作がMS-dos風。
- http://alw.rd01.net/
- アルト
- 「Alt」キーのこと。PC-Talkerはこのように読み上げるため、「オルト」が正式な発音であるとは思っていない人が多い。
- 画像やボタン等のテキストラベルのこと。語源は、HTMLに記述する画像タグ「img」に設定する属性名「alt」。
- アルトが無い (ラベルが無い)
- アイコンやボタンの意味をスクリーンリーダーが正しく読み上げできない様。語源は、HTMLに記述する画像の「alt」属性で、これが適切に設定されていないことを示している。
- イフォーン・イポット・イパッド
- iPhone・iPad・iPodのこと。PC-Talker等がこのように読み上げることがある。
- ウィルスソフト
- アンチウィルスソフトウェアのこと。視覚障碍者に限った話ではないが、しばしばこのような誤った表記が見られる。
- スクリーンリーダーをウィルスとして削除するアンチウィルスソフトウェアのこと。視覚障碍者にとっては間違いなくウィルスである。
- エーデル
- 点図描画ソフト。画面上で描いた絵を点による触地図のデータとして打ち出させる。名前の由来は、「絵~出る」と、対応関係にあるソフト「ワイス」。
- http~~
- 画像のリンクをスクリーンリーダーで読み上げた時に起こる悲劇。画像のファイル名やURLを読み上げる。
- HPR
- IBM「ホームページリーダー」のこと。2000年代前後の音声ブラウザー市場を支えていた製品。
- SR
- スクリーンリーダーの略称。「SCR」と呼ばれることもある。
- エスコートゾーン
- 長い横断歩道の中間地点に存在することがある地帯。事情により早く歩くことのできない人が間に合わなくなることを防ぐために設置される。視覚障碍者もこの中に分類される。
- STT(Sound table tennis)
- 視覚障害者用スポーツの一種で、旧名は盲人卓球。卓球の球がネットの下を転がる、エアホッケーに近いルールになっている。
- NVDA
- オーストラリア産のオープンソーススクリーンリーダー「No Visual Desktop Access」の意。「スクリーンリーダーはメーカーから高額で買うもの」という常識を打ち壊したことに加え、オープンソースならではの活発な活動展開により、最近では市販のスクリーンリーダーと十分に張り合える、あるいは共存できる性能を身に着けた。
- NVDAキー・JAWSキー
- NVDAやJAWSを制御するために設定する特定のキー。通常はUSキーボードの「Insartキー」に割り当てられている。日本のキーボードでこれを押そうとすると、在りえない指の形になるので、無変換キーが代用されている。
- NVDAでは使えました、Jawsでは使えました
- PC-Talkerユーザーの「~~が使えない」という問い合わせに対する、NVDAやJAWSユーザーの返答の一形態。 海外の製品などが該当し、PC-Talker等の国産スクリーンリーダーではアクセスできないが、JawsやNVDA等海外産スクリーンリーダーではアクセスできることがあるため、「おとなしくそれらを使いなさい」という意味が込められている。 なお、実際には逆のパターンも存在し得るのだが、「PC-Talkerでは使えました」と返答されるケースは少ない。PC-Talkerは、海外産スクリーンリーダーと根本的なスタンスが異なっているため、こうした意見に至りにくい、あるいは、炎上の元になりやすいためである。
- MDR
- HPRに付属するソフト「Menu and Dialog reader」のこと。タスクバーに常駐し、メニューやダイアログが表示された時にその内容を読み上げる。 HPRがエラーで落ちると、このソフトが単独で残ってしまう。このため、2000年代後半では、よく見られた現象であった。
- OCR
- 文字認識技術を駆使して紙や画像などからテキストを抽出する技術。 昔は専用のスキャナやソフトウェアが必要であったが、最近はフリーのものが出回っており、昨今ではついにスクリーンリーダーにさえこの機能がバンドルされるようになった。 逆に言えば、そうでもしないと読めない媒体に溢れているとも言える。
- オーディオデバイスが死んだ
- スクリーンリーダー利用者にとっては、パソコンがフリーズしたこととほぼ同意。 電源を切るための操作すらできなくなる。
- オーディオデバイスの無効化
- スクリーンリーダー利用者が絶対にやってはいけない操作の一つ。自力では元に戻せなくなる。
- 置き勉
- 盲学校を中心に、教科書を扱う視覚障害者の常識。 拡大教科書や点字教科書の厚さや重さは、墨字の教科書の数倍~数十倍に達する。このため、市販のランドセルや学生カバンでは、耐荷重オーバーで破損するか、物理的に入らない。
- オフィスワトソン
- ソフトウェア「Dr Watson」の意。 ソフトがエラー発生で異常終了した時に表示される。PC-Talker XPがこのように読み上げるため、一時期、誤解が生じていた。 なおWindows Vista以降はこの名称が表示されなくなった。
- オブジェクト
- 直訳すると「物」。 海外産スクリーンリーダーでは、何らかの操作ができる要素全般を指して呼ぶため、この単語が頻出する。 国産スクリーンリーダーでは、あまりこの呼び方をしない。
- オプタコン
- 体表点字の技術を駆使して、墨字文書を読み取る装置の一つ。 微量な電気刺激を指で読み取ることで、墨字文書が読める。
- 音響信号機
-
青信号になった時に音楽の代わりに音が鳴る信号機。
横断するべき方向から音を鳴らすことで、全盲者が横断歩道の途中から脱線することを防ぐのに役立つ。音楽だと精度が悪くなるか、人側の脳に違和感が出てしまう。
しかし、音響定理がわからない人が変な信号機を作ってしまったり、勝手に音を出さなくされたりする。車や工事、ネオンの方がうるさいケースも多かろうに…
- 音声合成エンジン(音声エンジン)
- 文字情報を音声波形に変換するソフトウェア。いわゆる「声質」を決める要素である。スクリーンリーダーを使う際には必須となる。
- 音声で使える
- ソフトウェアやモバイル端末に対して、スクリーンリーダー等でアクセスでき、且つソフトウェアならキーボード、モバイル端末なら支援技術対応ジェスチャーや点キーなどで操作できること。 疑問文の場合は、それが可能であるか否か、「音声で使えない」は、それが不可能なことを示す。
- 音声時計
- 時刻を読み上げる時計。触読式時計と比べて操作が容易であるが、押す度に読み上げるのでうるさい。 視覚障碍者が集まるイベントで、講演等の最中に聞こえるのが恒例行事と化している。また販売メーカーが少ないため、どこの会場でもほとんど同じ声が鳴る。
- 音声ブラウザー
- インターネットブラウジングの操作を支援するソフトウェアで、その手段として音声読み上げを使用しているもの。 なお通常のブラウザーと内部構造が異なるため、通常のブラウザーでは操作できるサイトが操作できなくなる、あるいはその逆になることがある。
- 音声読み上げソフト・音声ソフト
- 「スクリーンリーダー」を「画面内容を音声で読み上げるソフト」と勘違いした人が付けちゃった名称。 スクリーンリーダーの直訳は、「画面を読み取る」ことであり、音声読み上げはその後に得られる結果の一つに過ぎない。 そもそも「音声読み上げソフト」とは「音声合成エンジン」である。
- 音訳
- 墨字で書かれた書籍や文書、あるいは画像データを音声データ化すること。 現在は、テキストデータを作成し、合成音声で読ませる方法、及び、朗読した声を録音する方法の2つが用いられている。
か行
- カーソル
- スクリーンリーダーが読み上げている位置などを視覚的に表示しているもの。 「フォーカス」と混同されることがあるが、こちらはただ見えているだけで、そこを選択しているとは限らない。また、視覚的な表示が無い場合には「仮想カーソル」と呼ぶこともある。
- 外国語引用符
- 点字において、文中で他国語を記述する際に用いる符号。 実際には「引用」でなくても用いる点、単語1つの場合は外字符を書けば良い点を考慮すると、むしろ「外国語文章符」である。
- 外字符
- 点字において、外字を書く際に用いる符号。 複数の言語が同じ点の組み合わせで表現されているため、その識別を可能にするために付ける。 なお、複数の単語を列挙する場合には、外国語引用符を使うことが推奨されている。
- 拡大テレビ
- 拡大読書機のこと。 拡大したものをテレビに映す製品が多いため、このように呼ばれることがある。
- 拡大読書機
- 弱視者向けの支援用具。書籍などをテレビ画面に拡大して投影することができる。 昔は、テレビの下側に投影機の付いたドッキング片が主流であったが、2000年以降は、専用のカメラを用いてテレビに投影できるタイプが主流になっている。
- 拡大教科書
- 通常の教科書を拡大したもの。 1990~2000年代は、拡大印刷やカラー印刷の技術が一般化していなかったため、A4の専用紙に拡大印刷し、必要に応じて色付けを行うという手作りが行われていた。このため、当時の拡大教科書は、大きく、厚く、そして重かった。
- 仮想カーソル
- スクリーンリーダーが上方通知のために内部で保持しているカーソルのこと。 ほとんどは、視覚的な表示が無いのだが、利用者にとっては、あたかも画面にそのカーソルがあるように映っている。
- 画像認証
- 画像に表示されている文字を見て入力することで認証を行う、対ロボット用セキュリティシステムにして、視覚障害者の天敵。
- 蟹タイプ
- 弘誓社製の点字タイプライター。 正式名称は「ライトブレーラー」だが、形状が蟹そっくりで、且つ競合がパーキンスしか無いためこのように呼ばれている。 パーキンスと違い、打った点が逆向きに出るため、点字板に慣れている人には便利… というわけでもなかったりする。
- 画面の反転
- 一時期のWindowsで顕在化していた問題。 PC-Talkerには、スタティックコントロールを読み上げるショートカットキー「Ctrl+Alt+矢印キー」があるのだが、Intel製のグラフィックドライバーが、このショートカットに「画面の向きを変更する」という実装をしてしまったため、PC-TalkerユーザーのPC画面がひっくり返る、という事態が発生した。 なお、昨今のPC-Talkerには、この問題を回避するための機能 (Intel側のホットキーを書き換える) が備えられている。
- から から から から
- 「~」を4個以上書いた時にホームページリーダー等が読み上げてしまう現象。
- 寄宿舎
- 盲学校にある学生寄宿舎のこと。 盲学校は1県に1校程度と少なく、しかも移動に不便や危険が付きまとう視覚障碍者が通うことが想定されている。このため、盲学校の敷地内に宿泊、食事が提供される設備を併設し、希望者が入居できるようにしている。加えて、視覚障碍者への基本的な生活指導を行なう機能を有している。 この性質のため、入居の判断は自由ではあるが、盲学校に通う児童や生徒のほとんどに入居経験がある。「長期休暇以外は寄宿舎で過ごす」場合もある。
- 行読み
- フォーカスした一行をスクリーンリーダーで読み上げる操作。なお、論理行に対してこれを行う場合は「段落読み」となる。
- 空行
- 何も書かれていない行(正確には改行文字しかない論理行)。スクリーンリーダーの多くは、「空行」と発音する。
- 空白
- スペース文字( )。スクリーンリーダーの多くがこのように発音するが、PC-TalkerとXPNaboだけビープ音。また、点字においては文法上の理由により、文書のあちこちにこれが出現する。
- クスプレッダー
- 95Reader Version6(XP-Reader)のこと。PC-Talkerがこのように読み上げる。
- グメイル
- GMAILのこと。正しい発音は「Gメール」なのだが、PC-Talker等がこのように読み上げる。
- 黒地に白
- 黒白反転とも呼ばれる、黒い裏地に白い文字を書くこと。白の背景は光と反射するため視認しにくいことから、こちらの表示を好む人が一定数いる。
- 刑務所
- 盲学校の学生寄宿舎の別名。 実際に刑務所への入所経験のある視覚障碍者が、全国勉論大会にて「刑務所にいるような気がした」趣旨の発表をしたことが初出と言われている。 なお、学生寄宿舎は、小学生から60代までの視覚障害者が一箇所で共同生活し、生活訓練の場を兼ねている。このため、社会人も含めた全入居者に対し、厳しい時間制限や指導員による監視、家電製品の使用制限等の条件が課せられる傾向がある。
- 言語選択の悲劇
- 言語選択のコンポボックス、またはリストボックス上で矢印キーを押下し、隣接する違う言語の表示に切り替えてしまうこと。 元に戻せなくなることがあるため、利用者のスキルしだいでは致命傷になる。GoogleやTwitter等のサービスで被害が報告されている。
- 健常者
- 心身共に全く障害の無い人。
- こうないほのお
- 「口内炎」の意。多くのスクリーンリーダーがこのように読み上げる。 「口内」で一度切れるため、こんな発音になってしまうらしい。
- コタコタ…
- 点字本の表紙や章の区切りなどに存在する記述。この記述の用途は単なる装飾なのだが、その行をかな読みすると「コタコタコタコタ…」となっている。
- ゴールボール
- 視覚障害者用スポーツの一種で、ボーリングとサッカーのPK戦を合わせたような競技。投げられたボールがゴールに入らないよう死守する。ルールは単純だが、柔らかく重さのあるボールを、抜かれないよう受け止め続けることが求められる。
- 国家試験
- 盲学校の中では、もっぱら新旧師・マッサージ師の資格試験を指す。これは、盲学校に入学する人の多くが鍼灸・マッサージ師を志望するためである。
- 国家試験対策点字
- 中途失明などの理由で墨字の読み書きができず、且つ点字の学習が困難な人が、国家試験を受けるために学ぶ点字。極端に言えば、「確固、及び数字」のこと。 国家試験の問題は全て選択問題であり、且つ、問題自体は録音図書などでも聞くことができる。このため、確固と数字さえ紙に書ければ必要な解答ができる。
- 子供料金
- 駅の券売機で全盲者が買うことのあるキップ。 視覚障碍者手帳の1級を所持している場合、電車の乗車料金が半額になることが多いのだが、券売機にその対応が盛り込まれていない。このため、とりあえず「子供」のキップを買って改札口を通ったり、駅員よりそのように指示されたりすることがある。
- コマンドライン
- 視覚障碍者の情報教育では、ビジュアルな開発環境の利用をすると逆に効率を落とすため、未だコマンドラインベースの教育が行われている。また、MS-DOS世代の人も多くいるため、コマンドラインを意識したソフトやインタフェースがあったりする。ただし、Windows付属のMS-DOSプロンプトがスクリーンリーダーでうまく読み上げできないため、わからない人にはとことんわからない。
さ行
- サイトワールド
- 視覚障害に関する製品や技術が集う展示会。毎年11月1日~3日に開催されるもので、視覚障害に関する展示会の中では国内最大規模。
- https://www.sight-world.com/
- サイトワールドの点字パンフレット
- サイトワールドにて配布される本。 B5サイズが90ページ超、厚さ4cmという巨大さは、もはやパンフレットでも雑誌でもない。
- この厚さになる原因は、1ページに書ける墨字の文字数が200文字前後と少ないこと、そして、全ての情報をテキストで記載する必要があることによる。
- なお、熟練した点字利用者でも読了に2時間程度かかる。
- さかさま点字
- 主にエレベーターや駅会談手すりにて、点字を読めない人が点字を確認もせずに逆向きに貼り付けることで起こる悲劇。 点字は6つの点が規則正しく並んでいるため、逆様に貼り付けても何らかの文字となってしまう、ということにも当然気づいていない。
- 下がり数字
- 点字において、通常の数字を1つ下へずらし、2・3・5・6の点を用いて書いた数字。 前付けページのページ番号など、特殊な数字を表現するために使う。 なお、たまに通常の数字の直後に下がり数字を書いて日付を表現するなどのローカル記法もあるが、読み手が小数点や加算記号などと解釈する場合もあるため注意が必要である。
- サブスクリーンリーダー
- 特定の目的の達成や、補助的な役割のために使用するスクリーンリーダーのこと。基本的には、メインのスクリーンリーダーでは読めない部分を読むなどの目的で使用され、役目が終わったら終了、という使い方をされる。
- サメ
- 米国のfreedom scientific社が開発したスクリーンリーダー「JAWS For Windows」のこと。JAWSはJob Access With Speechの略称だが、綴りが動物の鮫と同じなので、日本人の間でこう呼ばれている。また日本でのJawsサポート団体「SAME」は、販売代理店である有限会社エクストラが公式に認可している。
- 障りがい
- 「障害者」を「障がい者」と表記したことで起こった悲劇。スクリーンリーダーの辞書が古いため、こんな風に読み上げてしまう。なお、現在でも辞書の修正は利用者任せになっている。
- サンGP
- 携帯電話向け着歌用音声フォーマット(3GP)のこと。正確な発音は「スリージーピー」らしいが、日本のスクリーンリーダーは数値を英語にしたりしないので、こんな読み上げになる。なおMP3やHTML5も同じ運命に合うので、健常者と話をするとずれが生じやすい。
- 33マス目
- 点字板の禁断技。 点字板の一行は32マスだが、分かち書きという性質上「1マス足りないために改行」というもったいない状況が起こる。そんな時、定規をずらして無理やり1マス分の空きを作る手法が考案された。 なお34マス、35マスなどとなる場合もある。
- 視覚障害
- ほぼ8割の確率で全盲のこと。 本来の視覚障害者の8割は弱視者のはずだが、白杖や点字など全盲者の特徴が目立ちやすいこと、「視覚障碍者であることを受け入れたくない」人が一定数いることから、視覚障碍者のコミュニティに入ると全盲者が目だってしまう。
- 視覚障碍者に~~は使えるか?
- 視覚障碍者がそれまで使えない、または使いにくかったものに対して、最新の検証結果を報告する時の決まり文句。 しかしその結論は、「使えるけれど課題がある…」や「使えるけれど特殊な準備やスキルが要る」などに偏りがち。
- 視覚特別支援学校
- 盲学校の正式名称。ただし、長いので、通常は「盲学校」で通じる。
- 色覚障害
- 色の区別が付きにくくなる障害のこと。視覚障害者の認定基準が、視力・及び視野で決められているため、視細胞に障害があるのにも関わらず、視覚障害の分類からは除外されている。
- 自動更新
- 視覚障碍者のソフトウェア利用に置いては注意が必要な機能。更新されることによって、それまで使えた機能が使えなくなったり、操作が振り出しに戻されてしまったりすることがある。
- 弱視
- 視覚障害等級2急以上の人。視覚障害の条件は、両眼の視力両方が0.3以下で強制の効かないことだから、その母数は全盲よりも圧倒的に多い。なおロービジョンと混同されることがある。
- 情報処理点字
- 情報処理の分野で独自に考案された点字のルール。情報処理教育の現場で活用されている。
- しろつえ
- 白杖のこと。正式な発音は「はくじょー」だが、PC-TalkerやHPRなどがこのように発音する。
- 使用可能な文書がありません
- 「ページが壊れているため表示できません」と同意。HPR(ホームページリーダー)で、文書のテキスト抽出に失敗した時に出るメッセージ。JavaScriptによって、ページのテキスト処理中に別のページが読み込まれると発生するため、2000年代後半には恒例行事と化していた。
- 定規
- 点字の世界では、点字を打つために点字板、点筆とセットで使う筆記用具の一種。定規にはいくつも穴が空いており、その間に紙を挟み、点字を打ち込む。これが無いと点字は書けない。
- 詳細読み
- スクリーンリーダーが、文字に対して、他の文字と識別できるような情報を読み上げること。例えば、「詳」を「しょうさいの しょう」、「細」を「ほそい さいぼうの さい」などと読み上げる。一般に、漢字や同音異義語の誤りを防ぐために用いられるが、一文字単位で聞く必要があるため冗長、且つ時間がかかる。
- JAWS
- Freedom scientific社が開発した海外産スクリーンリーダー。日本では有限会社エクストラがローカライズと販売代理をしている。業務用システムへのアクセスに特化した製品であり、スクリプトによるカスタマイズができるのが特徴。ただし、昨今ではJAWS以外のスクリーンリーダーの性能向上が著しく、またJAWS自体もレスポンスや操作の難解さが課題となっていることから、メインに使っている人は多くない。
- 触図
- 触って読む図。図形などの表現に用いられるが、全体像を記憶するには根気が必要である。
- 触読
- 点字や点図などを指で触って読み取ること。点字を利用する人にとっては、「当たり前のこと」であるが、この認識を誤ると、役に立たない点字案内図等が爆誕する。
- 触読式腕時計
- 時計の文字盤と針先を軽く手で触れることによって、時刻を知ることができる時計。主に全盲、盲聾者が利用している。音声時計では音声が鳴り響いてうるさい、という場合にも有効。ただし、針を直接触るため、慣れるまではよく時間がずれてしまう。
- 数符
- 点字で数値を書く時に記述する符号。これを書いた後の文字「アイウルラエレリオロ」は、数値となる。ちなみに桁区切りや小数点も使える。
- ズームテキスト
- 画面拡大ソフト。拡大したことによるビット落ちの補正や反転機能などが盛り込まれている。なお視覚障害者向けのPC拡大ソフトの市場はほぼ独占しているらしく、価格が6万と抜き出ている。
- スクリーンリーダー
- 視覚操作を支援するソフトウェアの一つ。画面に表示されている情報を分析し、音声や点字情報として利用者に提供する。
- スクリーン リーダーをお使いの場合は、ここをクリックして Google インスタント検索をオフにしてください。
- 2011年4月、検索サイトGoogleで起こった悲劇。特定の位置にフォーカスを移動すると強制的にこの位置へ移動させられてしまうため、ページの閲覧ができなくなる自体が発生。多くの利用者は、その問題が解決することを願い、このリンクをクリックしたが、解決しなかった。 この問題の原因は、フォーカス時にマウスカーソル形状の変化を抑制するためにフォーカスを強制解除する実装「this.blur」である。さらに、スクリーンリーダーの、「マウスでしか操作できないウェブサイトを何とか操作できるようにする」ための機能「読み上げた箇所へマウスカーソルを移動させる」によって、誤爆が発生していた。
- スクロール問題
-
スマートフォンアプリで顕在化した悲劇。「利用規約への同意」などで「スクロール操作」を検知して動作しているために、視覚障碍者が操作不能になる事象が多発した。
画面が見えてない視覚障碍者にとってのスクロールは、「ホイールを回したりジェスチャーで動かすもの」ではなく、「カーソルを目的の項目に移動すると、その項目が見えるようにソフトウェア側で勝手に行なわれるもの」である。このため、スクロールしているのにイベントが発火しないという現象が起こり、スクロール検知による動作を前提としたアプリが使えなくなるのである。なお、スマートフォンにはスクロールさせるためのジェスチャーはあるが、これも座標を直接書き換えるという手法が用いられているので、スクロールイベントと見なされない。
- 鈴入りボール
- 鈴の入ったボール。ボールが転がった時に、どこへ行ったのかがわかるので全盲でもボールが捜せる。なお小さい物なら100円均一の店で普通に買える。ただし、当然ボールが停止すると無音となるため、転がり出た場合は速やかな回収が必須である。
- スタンプルーペ
- 弱視者用支援用具の一種。本や紙などの上に直に置いて使うルーペ。ハンドルーペに比べると拡大率が大きく、またレンズを大きくできるため拡大範囲が広い。ただし、若干重いことに加え、直に置いているので「書き」には使えない。
- スペル読み
- 英単語を、英語あるいはローマ字としてではなく、綴りを読み上げること。メールアドレスやURL、パスワードのように、正確なスペルに意味のある英単語を伝えるために有効。しかし実際には、辞書に無い英単語を読み上げた結果であることが多いため、「紛らわしい」イメージが優勢になりがち。
- 墨字
- ペンなどで書いたり印刷したりした文字の表現方法。晴眼者が常用している文字で、しばしば「点字」と対比させる用途で用いられる。 しかし、盲学校以外の教育現場では使われていないため、広辞苑に掲載されているにも関わらず、視覚障碍者の業界用語となっている。
- スライド
- 白杖を振り地面をこすること。足元を確認する用途で使う。基本的に路上を歩く時には欠かせない操作。
- 晴眼者
- 視覚・視野・色覚障害の一切無い人。健常者と違い、聴覚など他の障害があっても、視覚に異常が無ければこれに該当するのだが、たまに健常者と混同されることがある。
- 0ケ000
- Adobe flash playerのこと。定期的にアップデートプログラムが配布されるのだが、その画面上での「次へボタン」のボタン名としてスクリーンリーダーが読み上げていた。
- 専攻科
- 主に盲学校にある鍼灸・マッサージ師の要請学科のこと。高校を卒業したら鍼灸・マッサージ師になりたい人、及び中途視覚障害のため、鍼灸・マッサージ師の資格を取りたい人が集まる。
- 先天盲
- 生まれつき全盲であること。同じ全盲でも中途失明の場合とは状況や価値観が違うため、時々争いになることがある。
- 全盲
- 視力がほぼ無い様。厳密には、両眼の視力が0.01以下か、視野が95%欠けている時の視覚障害等級。
- 全盲キャッチ
- 視覚障害者のグランドソフトボールで採用されている特殊ルール。全盲者による守備においては、ゴロでもワンバウンドでも、打球が静止する前に回収するとフライをキャッチした扱いになる。「本当に飛んでいるボールは無音のため絶対にキャッチできない、だから代わりにゴロを判定する」ということである。
- そらの~~
- 空っぽの何かを指す言葉。PC-Talkerなどが「空のペットボトル」などを「そらのペットボトル」と読み上げる。「空」事態の読ませ方が多彩なため、どうにもならない。
- 空のリスト
- 空の~~のVoiceOver版。iOS端末ではリスト項目の操作が必須のため、iPhone等を買った人が最初に遭遇する迷言とも言える。
た行
- 体表点字
- 点字を指でなく体で読み取るために考案された技術。体に電極を取り付け、モールス信号の仕組みを用いて文字を読み取る。手が使えない状況で効果を発揮するが、点字と同様長期間の訓練が必要である。
- タッチ
- 白杖を左右に振り、終点の地面をたたく操作。スライドと異なり地面をこすらないため軽快な歩行が可能になる。また、壁や地面をたたいて、反射音から地形を理解する目的でも用いられる。 ただし、杖が宙を移動している間は地面の状態を確認できないため、点字ブロックを通り過ぎるなど安全面にリスクを生じさせる。このため、安全が確認できている道や歩き慣れた道で、前方だけ確認しながら歩く用途で用いられる。
- タッチパネル
- 視覚障害者はいじったことが無い人多数の物体。誰かが使っている様子を見る学習経験がなく、いじれる場所がATMなど金銭が絡むために使い方が教育されず、タッチパネル反対運動があったため、わざわざいじる必要もなかった。
- タッチUI
- iPhoneの普及により、あのタッチパネルが視覚障碍者にやってきた。しかし、その実態は、フリックを連打するか、画面をひたすらなぞる「スリスリUI」であった。
- タブで決定
- Windows Vista以降、タブコントロールのタブ部分をフォーカスした時にPC-talkerが読み上げる。 「タブグループ」というウィンドウの一種なのだが、キーボードに「タブ」キーが存在していたため、「タブキーを押すと何かが決定できる」と誤解されていた。 ちなみにXPまでは「タブで選択」と読まれていた。もちろん、タブキーを押しても何も選択されない。
- 単眼鏡
- 離れたものを見るために使う双眼鏡の片方だけバージョン。バスの番号、黒板、信号機の色などを見るために使う。なお特別なレンズを付けるとルーペにもなる。
- 暖房
- 盲学校の常識。理由は、指の感覚が鈍ると点字の読書に支障が生じるから。 なお昨今では、温暖化やIT化の影響もあり、エアコンを完備する学校が増加中。よって、盲学校の常識ではなくなりつつある。
- 中途失明
- 物心付いた年齢で全盲となること。人の学習能力が成熟する3歳くらいまでに失明するか、それ以降かで分類できると言われているが、実態は高齢化、糖尿病、事故による失明である。失明後の生活環境の変化、晴眼者でなくなること、人間関係の急変が一気に押し寄せるため、精神的な負担は大きい。
- ~~ツールバー
- 視覚障碍者にとってはほとんどが利用価値の無いソフトウェア。特定のソフトウェアをインストールする際に一緒に付いてくるのだが、音声で使えない。
- 杖
- 白杖の意。
- 繋ぎ符
- 点字において、英数字とかな文字の間に付ける記号。これを付けないと、かな文字を英数字と誤読する。
- デイジー図書(Daisy)
- 電子図書の国際標準規格。電子書籍やオーディオブックに特殊な情報を付加し、閲覧時の検索性やシークの操作性を向上させたもの。
- 手帳
- もっぱら、身体障害者手帳のこと。
- 鉄道
- 盲学校出身者には好きな人が多い存在。盲学校は1県に1校程度しかないため、必然的に電車通学を要求される点や、外部からの刺激が少ないことが大きいと考えられる。
- 点字
- 文字表示形態の一つであり、点を用いて発音情報を伝達する。指で触ることで識別するという認識プロセスが特徴的であり、周りが暗くても、パソコンが無くても、周囲がうるさくても読める。
- 点字案内図
- 駅などの壁に張ってあると思われる点字の地図。「思われる」のは、地図が音を出しているなどの状況でなければ、本人がそれを見つけられる可能性が著しく低いためである。
- 点字協議会
- 毎年開催される、点字の読み書きの正確さ、速さを競う大会。盲学校で点字を常用している生徒は基本的に強制参加させられる。
- 点字の辞典、辞書
- 僅か数センチの国語辞典が、5段の本棚を占領する分厚さに生まれ変わる。盲学校の図書室などでしかお目にかかれない。
- 点字板
- 点字を書くための板。紙と定規を固定する役割がある。昔は木製の重たい点字板が主流であったが、最近はプラスチックの軽い板しか入手できなくなっている。
- 点字パンフレット
- 大半が一冊の本であることが多い。点字は1枚に原稿200字程度しか書けず、しかも分厚いので、ちまたのパンフレットが90ページの本になることも珍しくない。
- 点字プリンタ
- 点字を打ち出せる複写機。墨字のプリンタの点字版と言えば直感的だが、その内容は、巨大ミシンの針部分が点字版になっており、プレス方式で点字を打穀するというもの。このため、1ページの印刷には10~30秒を要し、さらに削岩機相当の騒音を響かせるものもある。
- 点字ブロック
- 道にある黄色の誘導用ブロックのこと。「点字ブロック」は登録商標で、正式名称は「視覚障害者誘導用ブロック」らしいが、長いので通常は「点字ブロック」と呼ばれる。 ちなみに名称のわからない人からは、「黄色い点線」や、「黄色のつぶつぶ」などと呼ばれる。 なお色が黄色なのはJIS規格で、夜間でも視認しやすいという配慮にある。
- 点筆
- 点字を打つための鉛筆。筆先(というか針)を紙に押し付けて書く打刻方式。缶電池を指でつまむようにして持つ。
- 点筆が転がった音
- 点筆を床に落とした時の音。点字板の利用経験が十分にあれば、電話越しであっても聞き分けることができる。 市販されている点筆の大部分はプラスチック性のため適度に弾み、転がる。そして落とした本人は両手を広げて探すのが恒例行事と化している。
- 点訳
- 墨字で書かれた文書を点字で書き直すこと。昨今ではこれを自動化してくれる「点訳ソフト」もある。
- トウィッター
- 「Twitter」のこと。正式な発音は「ツイッター」だが、PC-Talkerなどはこのように読み上げる。
- トークバック (Talkback)
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AndroidなどGoogle制OSに搭載されているスクリーンリーダー。 iPhoneと同様、スマートフォンやタブレットなどの操作ができるようになる。
ただし、AndroidOSはメーカーによるカスタマイズが可能なため、この機能が削除されていたり、十全に効力を発揮できなかったりする。このため、暗に「Android搭載端末だから」と購入することは危険なことと認識されている。
- ドキュメントトーカー
- クリエイトシステム開発が販売している音声合成エンジン。JawsやAltiar等に搭載されているため、知名度が高い。
- ドラッグ and ドロップ
- ファイルを「送る」メニューへ渡す操作のこと。本来は、マウスでファイルアイコンをドラッグし、アプリケーションアイコン上へ移動させる操作なのだが、そんなの全盲ができるわけないので、代替手段として「送る」メニューが使われる。
な行
- 斜横断
- 全盲者が、音の出ない横断歩道に直面した時に起こる悲劇。
- 人は、身体特性上の理由で、視覚に頼らずに直進することが困難である。結果、音が出ていない横断歩道では、横断中に横断歩道からずれていく全盲者は多い。国道の交差点を斜めに横断するという伝説になることもある。
- 日常生活給付支援制度
- 障碍者向けの製品の普及支援制度の一つ。指定された製品を当事者が購入する際、一定額あるいは全額を補助してくれる。 これによって、高額な製品を販売しても当事者が買うことができる、というわけでもなかったりする。実際には支援の範囲が自治体毎に異なっている上、支援制度フル活用を大前提にした価格設定をした製品が多いため、「10万円補助します」、「定価は35万円ですから25万円自腹」といった事態が起こっている。
- 日点
- 日本点字図書館の略称。団体側も正式に認めており、ホームページURLに「nitten」と付けている。
- 日本点字図書館
- 視覚障碍者向けの福祉団体、または、その拠点となっている施設名。当初は文字通り点字の図書などを扱っていたが、現在は視覚障碍者向け福祉活動全般を支援する運営体制となっている。
- NetReader
- PC-Talkerの連携ソフトであり、音声ブラウザーの一種。
は行
- パーキンス
- 点字タイプライターの一種。著名なため、登録商標なのだが点字タイプライターと同意で使われることがある。点字版で書くより断然速く点字が書けるのだが、1文字を書く度に「ガッチャンガッチャン」鳴るためうるさい。
- パーキンス方式
- パソコンで点字入力を行う際に用いる入力方式の一種。FDSJKLの6個のキーをパーキンスに見立てて文字入力することからこのように呼ばれる。
- 白杖
- 視覚障碍者用生活補助具。視覚障害であることのシンボル、及び「杖をぶつけること」により障害物を知覚するために使用する。なお振り回してぶつけるという利用上、摩耗したり折れたりすることがある消耗品である上、ぶつけた物を負傷させることがある薄情な一品でもある。
- ハヒソフムマ
- 点字の英字「U V W X Y Z」のこと。「W」が後から作られた文字らしく、一つだけ不自然な点字になっている。
- ハンドルーペ
- 弱視者用支援用具の一種。手に持って使うルーペ。スタンプルーペと異なり、見たい部分をどこでも拡大できるメリットがある。ただし、手に持つため片手が常に塞がる点、及びレンズが薄いため拡大率が低いという弱点を持つ。
- PC-Talker
- 国内では現在最も高いシェアを持つスクリーンリーダー。
- PC PC PC PC PCTalker
- PC-Talker利用者が何らかの理由で「PC-Talkerの再起動」を繰り返した結果、タスクバーに「PC-Talker」アイコンがたくさん表示されてしまう様。 デスクトップ上にあるアイコンを選択すると手軽に再起動が行なえるのだが、タスクバーからアイコンを取り除く処理が忘れられているようである。 なお、再起動を繰り返す理由はさまざまである。筆者は、「稀にオーディオデバイスが暴走して音声がノイズ交じりになるPC」と、「Office365に接続したExcel使用中、数分程度操作すると音声がおかしくなるPC」を所有している。
- Adobe社が作った文書フォーマットにして、多くの視覚障害関係者に嫌われているフォーマット。原因は、まともに読めないPDFが横行したためであり、今日もどこかで読めないPDFが生まれている。
- BES
- 点字のファイルフォーマットの一つ。MS-DOSの頃から利用されていたもので、実態はユニコードなテキスト。現在も点字データの編集ソフトで使われている。
- BSE
- 点字のファイルフォーマットの一つ。狂牛病(BSE)問題により、盲学校で話の種になってしまった。なおBESとは内容が違うがやっぱりユニコードなテキスト。
- 120~180分耐久試験
- 国家試験やセンター試験などを全盲者が受験することで生じる現象。受験時間が1.5倍に延長されることで、このような試験が誕生する。点字を読むのには物理的に時間がかかることへの配慮なのだが、記憶心理学の観点で言うと、時間が伸びると忘却の発生率の増加、疲労による思考能力の低下が懸念される。
- Bing
- Microsoft制のウェブサイト検索エンジン。
- Explorerがエラー等で異常終了すること。スクリーンリーダー利用者だとそれなりの頻度で遭遇することがあり、再起動時に「Bing」が一瞬アクティブになり、読み上げられる。
- ピンディス
- ピンディスプレィ、または点字ディスプレィの意。正確にはピンディスプレィには点図ディスプレィが含まれるのだが、値段的に個人所有が不可能なため、点字ディスプレィとピンディスプレィが同意語になっている。尤も、点字ディスプレイもかなり高額…
- ふあし
- PC-Talker、または、プロトーカー利用者を即しさせる伝説の単語。ひらがなの「ふ」に、漢字の「足」を書いた行を繋げて読ませるとCPUを食いつぶしてフリーズする。なお最近、別の単語でも同様の現象が報告された。
- ファセブック
- 「FACEBOOK」のこと。正式な発音は「フェイスブック」だが、PC-TalkerやHPRがこのように読み上げる。
- VO
- iPhoneに搭載されているスクリーンリーダー「VoiceOver」の略称。
- フォーカス
- 特定の要素をスクリーンリーダーで読み上げたり、操作したりできるように選択すること。「カーソル」と混同されることがあるが、こちらは「選択」に近い。
- プクトーカー
- PC-Talkerの意。このように読み上げるスクリーンリーダー製品もある。
- ふっき
- 95Reader系列のスクリーンリーダーで、複数行のエディットコントロール上でエンターキーを押した際に発声される音声。他社製品の「改行」と同じ意味。
- プッシュボタン
- テキストラベルの付けられていないボタンのこと。当然、何が起こるのか、押してみるまでわからない。PC-Talkerではこのように読み上げる。
- ブラインドサッカー
- 視覚障害競技のことで、もっぱら全盲状態でのサッカーを指して言うことが多い。 全員がアイマスクを着用し、サッカーをする。互いの位置把握が極めて困難なため、しばしばお団子のように全員が集まる状態が起こる。 なお弱視者が行なう競技も「ブラインドサッカー」ではあるが、こちらは健常者のサッカーと同じルール。
- ブラウズモード
- NVDAでで、主にウェブサイトやウェブアプリを操作する時に利用するモード。直訳すると「参照モード」であり、このモード中に押したキーは、そのままブラウザーに入力される。フォーム等で文字入力する時に、見出しなどへ勝手に移動しないようにするために作られたモード。 しかし、世の中には「ブラウザー」というソフトウェアがあることや、モード自体をインターネットブラウザー上で使うことが多かったため、単にインターネット特有の閲覧モードだと誤解している人もいる。
- ブレイルメモ(BM)
- KGS社の登録商標で、点字ディスプレイ製品の系統。携帯可能な小型の物もあり、外で点字を扱うのに重宝する。
- プレクストーク
- デイジー図書再生機のこと。厳密には、「プレクストーク・ポケット」や「プレクストーク・ポータブルレコーダー」等、さまざまな製品があるのだが、全てに「プレクストーク」という名称が付いているため、まとめてこのように呼ばれている。
- ページを更新しました
- HPR(IBM ホームページリーダー)で起こる悲劇。自動Reflesh等でコンテンツが変化した際、HPRが動作を停止する。F5キーを押して更新すれば復活するが、同じページを読み直すわけだから、当然自動Refleshが動作しHPRは停止する。
- 弁論大会
- 視覚障害の教訓などを発表し合う場として毎年開かれる大会。全国大会まで開催されている。 研究発表とは異なり、「いかに相手を感動させられるか?」が重視される。このため、事の重大さ、人生経験、哲学的なセンスなどが問われる。
- ボイスオーバー (VoiceOver)
- iOSにおける視覚障害者操作支援統合環境のこと。基本的にはスクリーンリーダーなのだが、専用のジェスチャの追加と既存のジェスチャの変更が行われるため、何も知らずに起動すると悲惨なことになる。最近のTalkbackも同様の動作をする。
- VoiceOverを起動してきた
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健常者向けに展示されているiPhone、iPad等のエリアで行なわれるイタズラの一種。 搭載されているVoiceOverを起動し、そのまま離れることで、その後に挙動を知らない健常者を未知の現象に遭遇させる。なお、展示した担当者も挙動を知らないと、影響範囲が広がる場合がある。
なお、Android端末でも同様のイタズラは可能な場合がある。ただし、起動方法が端末ごとに違うので、こちらは健常者がいつの間にかOnにしてしまうケースの方が目立つ。
- 防御姿勢
- 全盲者が、前方を守るために取る姿勢。一般的には、腹部や胸部、顔、頭部などを守るために手の甲を前に向けて出す。必要があれば前に出した手を振って、簡易の白杖にする。なお、手の甲を前に向けるのは、触れた対象によって指をケガすると触読に支障が生じると教育されるため。 このため、前傾姿勢で手を前に出して振る行為が癖になってしまう全盲者は多い。
- ホームドア
- 駅のプラットフォーム内に、転落を防止する目的で設置する自動ドア付の柵。また点字で現在地等の案内が書かれていることがあるため、駅内をさまよう際に役に立つこともある。ただし、ホームドアの無い駅もあるため過信は禁物。
- ホームから落ちた
- ホームドアの無い駅ホーム内で線路に転落すること。視覚障碍者に関する事故の中で最も致死率が高く、またわかりやすいためメディアでも取り上げられる。なお現実では、泥酔などの理由で、視覚障碍者の数倍~数十倍の健常者がホームから落ちている。
- <
- 「☆」を点字にしたもの。点字ではあのビジュアルは表現できないのだが、もう少し何とかならなかったのだろうか?
- ボタン
- テキストラベルの付けられていないボタンのこと。当然、何が起こるのか、押してみるまでわからない。NVDA等ではこのように読み上げる。
- 本文へジャンプ
- ウェブページの冒頭に設置されるリンクで、俗に「ブロックスキップ」という。押すと本文の位置へカーソルが移動する、はずだったが、押しても動かないこともある。動作確認ぐらいちゃんとして欲しいものである。
ま行
- マウス操作
- スクリーンリーダーの機能を利用して、特定の位置へマウスカーソルを移動したり、クリックしたりする操作のこと。決して、本人がマウスを握るわけではない。残念ながら、こうしないと操作できないソフトウェアが横行しているため、お世話になる。
- マス
- 点字の最小単位。6つの点を入れることができるもので、基本的に点字の文字数を数える際に使われる。
- マス明け
- 点字において、意図的に空白マスを挿入すること。分かち書きの他、行インデントなどで用いる。
- ミモ括弧
- 点字で、分数と通常の数値とを区別するために書く括弧の形態。名前の由来は、括弧をカナ読みすると、「ミ モ」となることから。
- ミュートボタン
- 音声を出さなくするためのボタンであり、スクリーンリーダー利用者は注意しなければならないボタンの一つ。ノートパソコンの中には、ワンプッシュでこの機能を有効にしてしまう機種がある。
- 無人インストール
- 全盲者が、スクリーンリーダーの読み上げも、晴眼者の力も借りずにパソコンにソフトウェアをインストールすること。組み立てPCへのOSのインストール等が該当する。 なお、この用語は、全自動でインストールできる場合には該当せず、あくまでも全盲者本人による操作が必要な場合にのみ用いられる。全盲者本人が「人」に含まれていないのは、パソコンの「ディスプレイを見えること」を前提とした設計思想に対する脾肉である。
- メ
- マ行のメのことであるが、点字では全ての点を打った時の文字がこれである。点字では打ち間違えをした場合に消しゴムで文字を消すことができないため、この文字で塗り潰すという使われ方をしている。このため、この文字は地味ながらけっこうお世話になる。
- メインスクリーンリーダー
- スクリーンリーダーの内、最も使用時間の長いもの。基本的な操作はこれで行い、読めないものはサブスクリーンリーダーに読ませる。
- メ打ち
- 点字で「メ」の字をひたすら打つという訓練。「メ」とは、6つの点全てを打つものなので、根気と体力が要求される。
- メ打ち1枚
- 点字紙1枚全てに点字版でメ打ちをする行為。点字に対する理解や訓練としての利点がほぼ無いため、罰ゲーム、あるいはネタの一つとして用いられる。
- メレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレメ
- 点字で本の枠を書く時に使用される記述。見た目が枠っぽくなるので、本の表紙などに使われる。なおこれは上枠で、下枠は別にある。
- メロディーボール
- ボールが振動すると音楽が鳴る。静止していても音が鳴り続けるため、鈴入りボールよりも優秀と言えるはずなのだが、市販されているボールのほとんどが玩具としての対衝撃性までしか備えていないため、スポーツではあまり用いられていない。
- 盲学校
- 現在、視覚特別支援学校と呼ばれている場所の旧名。こちらの呼び方の方が知られているため、今でも普通に通じる。
- 盲人杖、盲人安全杖、盲人歩行杖
- 白杖の意。白杖は登録商標ではないので普通に用いて良いはずなのだが、なぜか公的な文書等でこの表記が登場する。
や行
- 読み秀君
- プロトーカー97の男性音声エンジンの名前。レスポンス、声の明瞭さに優れているため、1995年の製品にも関わらず、現在も浮動の人気を誇っている。PC-Talkerが国産スクリーンリーダーの地位を不動のものにしている要因でもある。
ら行
- ライトブレーラー方式
- パソコンで点字入力を行う際に用いる入力方式の一種。OKMEFVの6個のキーをライトブレーラー(カニタイプ)に見立てて文字入力することからこのように呼ばれる。
- ラップトップ
- いわゆるノートパソコンの意。海外ではノートパソコン仕様のキー配列を「ラップトップ配列」と呼ぶらしい。このため、海外産スクリーンリーダーでは、突然「ラップトップ」という用語が登場する。
- リボン
- 2007年からMicrosoft製品で横行し出したメニュー形式。リボン状のボタンを自由にカスタマイズして配置できるのが特徴だが、キーボードでの操作性を考慮していないため、視覚障碍者には嫌われている。このため、国産のスクリーンリーダーをインストールすると、勝手に「従来のメニューバーのような表示と操作ができるリボン」が追加インストールされる。なお晴眼者の中でも割れたらしく、そういうアドーンを提供している人もいる。
- 略語
- 点字の英単語について、特定のスペルを省略できる仕組み。点字を素早く読み書きするために考案された。例えば「yourself」は「urf」に、「people」は「p」に、「there」は「ボ(点字)」になる。
- 両面打ち
- 点字を用紙の表面・裏面に出るように打つこと。紙の節約のために用いられる。
- ルーペ
- 書籍などを拡大して見るために使う支援具。直に置いて使うものから、手に持って使うものまでさまざま。ただ、レンズが高額だったため拡大範囲が狭い。
- レーズライター
- 弱視者向け支援具。ゴム製の下敷きに薄い紙を置いたような外観をしており、ボールペンでなぞった部分が盛り上がる。描いた軌跡を触知できるという特徴を持つ。
- レ下がり
- 点字の世界では墨字の丸括弧( )や、表紙の枠線、文書末を示す区切り線などによく用いられている記号。点字の「レ」の字(1,2,4,5の点)を1段下げた2,3,5,6の点を使って書き表すためこう呼ばれる。
- 連続読み・全文読み
- 現在フォーカスされている位置から、下方向にフォーカス移動、且つ読み上げる機能のこと。とりあえず使えば、画面に何があるのかがわかる。なお「全文読み」は国産スクリーンリーダー、「連続読み」は海外産スクリーンリーダーで用いられる名称である。
- 6点入力
- パーキンス方式やライトブレイラー方式のこと。8点漢字入力があるために、別名であるにも関わらず意外と知名度が高い。
わ行
- 分かち書き
- 日本語点字文書の基本ルール。点字は指で1文字ずつ触って発音に変換する性質上、単語単位で区切らないと読み手が忘れてしまう。そこで、単語間に意図的な余白を付けることで読み取りを容易にしている。
- 分かち書きのルール
- 形態素解析の原理で、単語毎に分解、3文字以上の文字になったら分割する、漢字が2文字以上連続したら分割する、等さまざまなルールがある。 なお、点字利用者自身も正確なルールは知らない。分かち書きのルールは、定期的に、点訳ボランティアの人々が改定をしており、それが点字利用者側に通達されないためである。
- ワンコア (OneCore)
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Windows8以降に搭載されたMicrosoft製の音声合成エンジンの系統。正式名称は「Windows Speech OneCore」であるが、古くからある「SAPI」や「Speech server」との区別を付けるため、しばしば「OneCore」と呼ばれる。
重要な特徴は、64bitアプリで使用可能なことと、基本的な実装がSAPIと共通していること。このため、SAPIを用いる64bitアプリで使用するためにレジストリーの編集に挑む視覚障碍者が続出した。SAPI対応の音声合成エンジンは64bitアプリで使えないものが意外と多いのである。
- ンブダ
- NVDAの意。小文字で書くとPC-Talker等がこう読み上げる。
その他
- ○個の○
- ホームページリーダーやラクラクフォンにて、同じ文字が何個か連続した際に丸められて読み上げられる様。例えば「は~~~~い」と書くと、「は 4個の「波線」 い」のような奇妙なことになる。
- ~~ジャンプ
- 「~~」に指定したテキストが書かれている位置へ一発でカーソルを移動し、読み上げるためのコマンドのこと。長いテキストを読む、または聞く時に、途中を省略する用途で使う。例えばセクションのタイトルだけを聞いて中身を省略する操作を「見出しジャンプ」などと言う。