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「盲人ゲーマーのMMO旅行記」内で使用される一般的ではない用語、及び用法に対する説明です。
◆一般用語
VRMMORPG
VR技術、MMO技術を複合させたゲームの一種。
プレイヤーは自身が仮想空間に入り、設定した役割、キャラクターを演じて物語などを進行させることができる。また、VR空間には他のプレイヤーも同時に参加しており、協力したり競ったりしながらゲームを進めることができる。
なお、本作で扱うVRMMORPGは、他のノベルやファンタジー小説で題材にされているような未来の技術が用いられており、プレイヤーは、限りなく現実に近い体験をVR空間内で行なうことができる。
モンスター
怪物や異形の存在として認識されているか、または、対面した際にそのように感じるもの。
本作においては、この世に発生した時から、プレイヤー、またはNPCに敵対し襲いかかる存在の総称とされている。このため、後天的に敵対する者、例えばPKなどはこれに含まれない。
AI
人工知能「artificial intelligence」の略称。
広義のAIは、日々遭遇する事象に対し、学習や情報収集を交えつつ最適解を導出することで、人間の脳のような成長を疑似的に再現する技術を指す。
本作において、AIはプレイヤーの疑問に答え導く存在であったり、NPCやモンスターの頭脳であったりする。
ただし、無秩序に成長することでゲームの進行を乱すことを防ぐため、成長する方向性や、学習対象のデータが制限されている。例えば、現実で起こった出来事について、ゲーム内でNPCに語り掛けても、NPCはそれを雑談として処理し、それ以上の詮索を行なわないようになっている。
職業
日常的に従事する、あるいは生計を建てるために取り組んでいる仕事、生業など。
ゲームにおいても概ね同じ意味で用いられるが、RPGなど「とりあえずモンスターを倒せばお金を稼げる」世界では、特定の技能や利点を得るための要素として扱われる場合もある。
本作における「職業」とは、キャラクターの身体特性、素質などに影響を与える要素であるが、それを生業とすること、生計を立てるための手段とすることなどは要求していない。
例えば「魔法使い」を選択すると、攻撃魔法の習得や使用が容易になり、魔力や精神力を向上させやすくなる。しかし、魔法以外の技能を育てることは可能であるし、高い魔力を活かして、錬金術を習得し、生計を立てても良い。
前衛
集団戦闘において前線に出る者。
敵陣地へ突撃しかき乱すことや、後ろに控える味方を守ることが期待される。
後衛
集団戦闘において前線の支援を行なう者。
自陣を守っている前衛を崩されないよう補助することや、射程や拡散力に優れた攻撃手段を用いて、味方が巻き込まれないように敵を掃討することなどが期待される。
人類
広義の意味では人間を中心に、その祖先や近縁種を指す。
このため、人間に近い容姿であり、且つ、人間のように思考や行動のできる可能性があるものは、「人類」と言える。
本作においては、種族を分類する際の表現として用いられている。
現実の人間に近似する種族「ヒューマン」、鍛冶や発掘等を得意とする巧人「ドワーフ」、妖精や精霊の力を混血する妖精人「エルフ」などが含まれている。
メインウェポン
主力となる武器、あるいは攻撃手段の意。
「主力」とされる基準はさまざまであり、例えば、単発の破壊力の大きさを重視する場合もあれば、繰り返し使用可能、長時間利用可能などの持久性を重視する場合もある。また、条件が何であれ、常用する攻撃手段をメインウェポンと称する場合もある。
なお、「武器」だけでなく「攻撃手段」が含まれるのは、狙撃手などが複数の弾薬を使い分ける場合や、動物、モンスターなどが持つ角、爪などを想定しているためである。
ゲームにおいては、同じような戦闘を頻繁に行なう性質から、常用する攻撃手段として用いられることが多い。また、魔法や呪術などの存在するゲームでは、それら、実態の無い攻撃手段もメインウェポンの候補になり得る。
サブウェポン
補助的に用いられる武器、あるいは攻撃手段の意。
複数の武器、攻撃手段を併用する場合において、何らかの理由でメインウェポンの代わりに使用される。
なお、「武器」だけでなく「攻撃手段」が含まれるのは、狙撃手などが複数の弾薬を使い分ける場合や、動物、モンスターなどが持つ角、爪などを想定しているためである。
ゲームにおいても、同様の意味で使用される。なお、魔法や呪術などの存在するゲームでは、それら、実態の無い攻撃手段もサブウェポンの候補になり得る。
盲人
広義には、「目が全く見えない人」を指す。
死語、あるいは差別用語と解釈されることがあるため、「全盲者」、「全盲の視覚障碍者」あるいは「重度視覚障碍者」といった代用表現が用いられる場合もある。
なお著者自身も盲人であるが、「盲人」という表現について、特に思うことは無い。
本作においては、「全盲の人類主」を表す用語として登場する。ゲーム内に全盲の種族が存在しているため、それらと区別するための表現とされている。
◆一般ゲーム用語
NPC
ゲーム内に登場するプレイヤー以外のキャラクター。「Non Player character」の略称。ゲーム作品によっては、敵対するモンスターなどもこれに含まれる場合がある。
本作では、プレイヤー以外のキャラクターの内、正常であれば対話が可能なもの、または、通常の接触において敵対状態にならないキャラクターをNPCと称している。このため、「モンスター」はNPCと分けられている。
この性質から、NPCの多くは町民や村民となることが多いため、「ゲーム世界の現地住民」という意味を込めて、「住民」と称する場合がある。
HP
「Hit point」の略称。
耐えられるダメージの量を表す。多くのゲームでは、これが0になると戦闘不能、死亡、あるいはゲームを続行できなくなる。なお、LP「Life point」などで示される場合もある。
本作においても同じ意味で使用される。HPが0になったキャラクターは死亡し、特定の方法を用いて復活させるか、パーティが全滅するまで一切の行動ができなくなる。
MP
「Magic point」と略されることが多い。
魔法などを使用した際に消費され、これが0になると、何らかの制限を受けることが多い。なお、ゲーム作品によっては、SP(Skill point)や、TP(Technic point)、PP(Power point)などと表記される場合がある。
本作においては、MPと表記され、習得技能に付属する技や魔法を使用する際にコストとして要求される。
なお、明らかに肉体だけを使う技でも消費される場合があったり、あるアイテムを装備して腕を振ったりするとMPが回復したりするため、過去、運営に対し「Muscle pointではないか?」という問い合わせがあったらしい。その時の回答は、「肉体技を使用した時でも身体のアシストや反動の軽減を魔力で担っているので、Magic pointである」だったそうだ。
PVP
対人戦「Person VS Person」、または、対プレイヤー戦「Player VS Player」の略称。
なお広義の意味では、対戦において、双方が同意をしているか否かは問わないため、PK、PKKもこれに含まれる場合がある。
PK
「Player killer」または「Person killer」の略称。
同じゲームに参加しているプレイヤーなどを、相手の同意を得ることなく殺害する行為、または、それを好んで実行する者。
本作においては、PKは可能となっているが、「犯罪行為」に認定されているため、一度実行すると決めたなら、その道に進む覚悟が必要となる。
しかし、リリースから一年が経過したゲームでもあるため、PK自体の人数は少なくなっている。特に、現在もPKを続けている者は、「前線の強いプレイヤーとの対人戦を楽しむ」を目的としたものになりつつある。
MPK
「Monster player kill」の略称。
モンスタートレインを利用して指定したプレイヤーを殺害する行為。何らかの理由でPKができないが殺害したいプレイヤーがいる時に用いられる。
バフ
戦闘を有利にするための手段として、味方を支援する行為。
一時的に能力値を上昇させたり、被害を軽減したりするものであり、これを専門に行なう者を「Buffer」とも呼ぶ。
語源は、「鍛える、研磨する」などの意味を持つ「Buff」や、「緩衝材」の意味を持つ「Buffer」などと言われている。
デバフ
戦闘を有利にするための手段として、敵を妨害する行為。
一時的に弱体化させたり、行動を妨害したりするものであり、これを専門に行なう者を「Debuffer」とも呼ぶ。
語源は、「鍛える、研磨する」などの意味を持つ「Buff」や、「緩衝材」の意味を持つ「Buffer」などを反転させた表現と言われている。
インベントリー
ゲームにおいては、所持アイテムの管理や選択のできるシステムの総称として用いられる。
語源は、目録の意味を持つ英語「inventory」から。なお、日本のゲームでは、「持ち物」、「道具」、「バッグ」などの代用表現が存在している。
本作においても、同じ意味で用いられる。容量は有限であるが、格納したアイテムは劣化することがなくなるし、望んだ時にアイテムの出し入れが可能でもある。
なお、プレイヤーだけでなく、NPCもこのシステムを用いて、自身が手に入れたアイテムの保管や運搬が可能である。
一部のプレイヤーは「インベ」と略することがある。
ポップ
主に、モンスターやアイテムが出現すること。
由来は、「飛び出す」「突然現れる」を意味する pop から来た和製英語である。
リポップ
主に、討伐したモンスターや採集したアイテムなどが再出現すること。
由来は、「ポップ」に再帰「reflexive」や、復活「Revive」などをくっつけた和製英語。
リスポーン
死亡したキャラクターが再出現すること。
こちらは、ポップ、リポップなどと異なり、海外でも通じる表現となっている。
なお、日本のゲームでは、プレイヤーが死亡した後、最後に立ち寄っていた街などに戻されて復活するような状況を表すことが多い。これは、再出現したキャラクターが、死亡前の経験や記憶を保持していることが多いため、ポップ、リポップなどと区別するようになったことが背景にある。
戦闘職
戦闘を生業とする職業、あるいは、これに従事している者。
例えば剣士、舞踏家、攻撃魔法を専門とする魔法使いなどがこれに該当する。
生産職
アイテムの生産を生業とする職業、あるいは、これに従事している者。
例えば調理師、薬師、鍛冶師、錬金術師などがこれに該当する。
なお本作においては、生産職であってもモンスターと戦闘することは可能である。ただし、戦闘職と生産職では要求される能力が異なるため、生産に振り切った生産職ではまともな戦闘ができない可能性もある。
採集職
アイテムの採集を生業とする職業、あるいは、これに従事している者。
本作においては、採集家、釣り師、炭鉱夫などが該当する。「現地で取れる素材」を扱う点が、生産職との違いになっている。
使役職
使役生物を扱うことを生業とする職業、あるいは、これに従事している者。
例えば魔物使い、召喚士などがこれに該当する。作品によっては、「戦闘職」に統合されている。
キャラクリエイト
ゲーム用のキャラクターを新規に作成する行為。
「キャラクリ」、「アバター作成」などと呼ばれることもある。
ビルド
何らかの構造を組み上げることの意。
また、プレイヤーなどの手に寄って作成されたキャラクターの個性を表す表現としても用いられる場合がある。
リビルド
ビルド済のキャラクターの個性を一部、または全て破棄して作り直すこと。
ビルドに失敗した場合や、将来のゲーム進行において致命的な問題を負ってしまった場合に実施されることがある。
由来は、「ビルド」に再帰「reflexive」や、復活「Revive」などをくっつけた和製英語。
FF
「Friendly Fire」の略称。
誤射、視界不良、誤爆などの理由で、味方を攻撃してしまうこと。
なお、その結果、対象となった味方がダメージ等を受けたり死亡したりするか否かはゲーム作品による。
本作においては、現実と同様にダメージを受けるし、死亡もする。ダメージが減退されることも無いので、誤射、誤爆等には注意をしなければならない。ただし、特定の手段を用いることで、一時的に軽減、または、無効化することは可能である。
ドロップ
モンスター等を倒すことで入手できるアイテム。
討伐したモンスターなどが持っていたアイテム、素材などが地面に落ちる様がその語源とされている。なお、ゲーム作品によっては、ドロップアイテムが自動的にプレイヤーのバッグ等へ格納されるため、討伐した後に何も落ちていない場合もあるが、それでも「ドロップ」と称される。
本作の場合、モンスターを討伐すると、ドロップは自動的にプレイヤーのインベントリーへ格納される。ただし、ある技能を有効にしていると、討伐したモンスターの死体が残るようになり、自力で解体してドロップアイテムを確定させることが可能になる。
ヘイト
敵対心の度合いであり、ゲームにおいては、NPC、敵モンスターなどが、誰を攻撃対象とするかを決定する基準として用いられる。
語源は「Hate(恨み)」から来ており、現実の人間の思考にも近似している。
この概念の存在しないゲームでは、攻撃対象がランダムに決められていたり、前衛や、パーティの先頭メンバーが優先されたりしていた。
一方、ヘイトの存在するゲームでは、ダメージを受ける、回復されるなどの行動を通じて、対象者に対するヘイト値が変動し、その結果をもとに攻撃対象が決定される。逆に言うと、ヘイトの存在するゲームでは、パーティメンバーが役割や順序を決めて行動することで、敵対モンスター等のヘイト値を操作することができる。これにより、「防御や回避、反撃に長けた者がモンスターからの攻撃を一手に引き受け、その間に他のメンバーがモンスターを殲滅する」といった戦法が可能になった。
パーティ
共通の目的を達成するために結成する集団の意。
一人では目的達成が困難である場合などに、同じ目的を持つ者と協力するような場合に結成される。また、パーティを結成することで固有の機能が利用できたり、仲間がいない状態でもパーティとして扱われたりするゲームも存在している。
本作においても、基本的な用法は同じであり、パーティを結成することで利用できる機能が存在している。例えば、パーティメンバーの能力などを容易に確認できるようになったり、チャット機能を用いて、離れた位置から連絡をしたりできる。
冒険者ギルド
冒険者達の管理、運営を担っている組織、または、その拠点。
ファンタジー小説で登場する主要な冒険者ギルドでは、冒険者の育成や仕事の斡旋、素材、アイテムなどの売り買いといった業務を担っている。
本作においても同様の役割で運営されている。
なお、ゲーム自体には、「商人ギルド」や「生産ギルド」なども存在している。
安全地帯
キャラクターが、ゲーム内で安全に休むことのできる場所の総称。「Safety area」とも呼ばれる。
作品によっては、この空間にいると、傷の回復が早まったり、外部からの攻撃によって傷つかなくなったりする。
本作においては、街や村の中、フィールド、ダンジョンの一部がこの空間として設定されている。この空間には野生のモンスターによる侵入を阻止する効果、及び、外部からの攻撃、及び、空間内から外に向けた攻撃を無効化する効果があるため、安全に休むことが可能となっている。
なお、空間内での戦闘行為は妨げられないため、PK行為は可能である。ただし、一般的には街中などがこの領域に該当するため、周囲にいるNPCが敵対状態になったり、討伐兵が出現したりする可能性はある。
トレイン
「モンスタートレイン」の略称。
何らかの目的があって、大量の敵対モンスターを後方に引き連れて駆けている状態。例えば、以下のような目的でテクニックとして使用される。
- モンスターを安全、または効率的に撃破するために、特定の場所へ誘導する。
- 別のプレイヤーや住民を、引き連れて来たモンスターに襲わせる。
ロスト
主に、アイテムなどが復旧不能な形で消失し、損害を負うこと。
例えば、死亡した際のペナルティとしてアイテムを失う(データ的に消滅するため、再入手できない)場合や、アイテムが、予期せぬ形で強制的に消費させられる場合などが該当する。
なお、消耗品などを適切な方法で消費した場合や、売却、譲渡など、自らの意思でアイテムを消失させた場合には、この表現は用いないことが多い。
死に戻り
モンスターに殺されるなどの要因で死亡し、拠点としていた街などに戻されること。
本作では、プレイヤーやNPCのパーティが全滅した時にこの状態が発生する。逆に言うと、パーティメンバーが一人でも生き残っていれば、死に戻りは発生しない。
なお、本作においては、NPCも、特定の条件下を除き、死亡時には街などに死に戻るシステムが採用されている。
ダンジョン
広義では、探索の対象となる特定の閉鎖空間の通称。初出は、「Dungeons and dragons」と呼ばれるTRPG(Table talk RPG)と言われている。
多くのゲーム作品では、モンスターや罠、そして宝物などが登場する洞窟や遺跡などに対して用いられる。また、天然の洞窟や、過去に存在していた街が遺跡化したものとは区別するための表現として用いられる場合もある。
本作においては、異界(現実、及びゲーム世界とは異なる第3の世界)からの干渉を受けて出現した領域の総称とされている。ダンジョン内は、洞窟、遺跡、森、砂漠など、さまざまな形状をしており、その多くは、ゲーム世界の各地に不定期に出現し、数日が立つと消失する。また、出現した際に、現地に眠る記憶と結びつく場合もあるため、ダンジョンを探索することで、ゲーム世界の成り立ちやレキシの一端に触れることができる… かもしれない。
なお、ダンジョンがどのような目的で出現したのかや、誰が管理しているのか、出現したアイテムなどが持ち帰り可能である理由などについては判明していない。
◆本作の固有用語
アドベントファンタジア
20XX年に発表された本作オリジナルのゲーム。
魔法やモンスターなどが存在している異世界を探索、開拓したり、活性化させたりする人々を演じるRPG作品となっている。モンスターと戦うだけでなく、街や村で現地の住民と協調したり、何かを生産して旅人に還元したりするようなことも、一つの物語である。
現実の自然、都市、人物などをモデルとしており、多様なプレイスタイル、人間並みの思考で活動するNPC、さらに、豊かな自然をモチーフとした地域や演出などが評価され、2年目もサービス継続が決まる大ヒット作品となっている。
略称は「アドファン」。
ログイン制限時間
本作では、プレイヤーが一度のログイン中にゲーム世界に滞在できる時間が定められている。これは、長時間、連続でゲームを遊び続けることによる脳の疲労を回復させるために設けられた措置である。
本作でのログイン制限時間は ゲーム内16時間(現実4時間) となっており、この時間を超えたプレイヤーは強制的にログアウトさせられる。
なお、一日を通してログインできる時間が制約されているわけではないため、ログアウトされてから、即座に再ログインすることは可能となっている。
異人
NPCからプレイヤーを総称する時の表現。
「プレイヤーは、異世界からこの世界に訪れた訪問者」と認識されている。