13-01 パーティの整理と今後のプラン

改定:

本文

「ユー様、おはようございます。」

「おはよう、ナビー。」

イベント期間が終わり、いつもの朝がやってきた。いや、イベント期間中も、朝はこんな感じだったか。

そのイベントだが、各サーバーの様子について、まとめウィキに情報が集まってきていた。それによると、俺たちのサーバーは、優秀な成績だったようだ。

一番ヤバいサーバーは、外周のモンスターに街を蹂躙された上に、アンデール登場から1分保たずに人類が全滅したらしい。具体的には以下のような感じだ。

  • 戦闘職プレイヤーの大半は、ギリギリまでダンジョンにいたため、街側の準備は全く進んでいなかった。
  • 生産職その他は準備を進めていたが、10日目に、アンデールの僕たちに一掃された。
  • ダンジョン通いのプレイヤーが戻ってきたら、街は跡地になっていた。
  • アンデール戦は、闇フィールドによる消灯空間発生と、秒間3%のスリップダメージ、ついでにモンスターの軍勢に囲まれた状況下で開始。開始5秒で即死したプレイヤーが多発。
  • 何とかアンデールの能力を鑑定で来たプレイヤーによると、アンデールの基礎能力が1.5倍、周辺モンスターは2倍まで強化されていた。

また、大半のサーバーでは、物資不足のため、大集団戦で消耗させられ、かなり苦しい戦いであったようだ。それと、混乱や未了をばらまくモンスターがいた影響で、プレイヤーや住民間の連携がうまく行かないケースもあったらしい。

なお、上の結果に至ったサーバーは、「強いモンスターと戦いたい」勢が集まっていたようだ。要は「少々厳しいくらいでちょうど良いから、俺は協力しない!」ということだったらしい。それだけ、ダンジョンでの稼ぎが魅力的でもあったようだ。

そんな結果を確認した後だと、あの参謀ことリョーマは優秀だった。もちろん、彼一人の力ではないし、俺もちょっとは貢献しただろう。だが、彼は「参謀」と呼ばれるだけのことをしたのだから。さすがに、「滅び草の人」みたいな乗りで「参謀」の名は付かないだろう。

「ユーさん、いる?」

宿の個室で思いに耽っていたら、部屋の入口から声がした。アヤの声だ。

俺は、部屋を開けた。

「おはよう。今後の話だったな。」

「うん、そうだよ。イベントも終わっちゃったしね。」

「私もいいかな?」

そして、リーネさんもいたと。まぁほっといても勝手に来るだろうとは思っていたんだが…

「それじゃ今後ことなんだが…」

「うん。私も、ユーさんと一緒にいたいんだ。ダメかな?」

「唐突だな。理由を聞かせてくれ。」

「笑わずに聞いてね。ユーさんやブレイオちゃん、ラフィちゃんと一緒にいると楽しそうなんだ。それと、そろそろ一人で活動するのって難しいのかな?って思って。」

「楽しい… か。あと、雪原にしても大草原にしても、一人で進むのが厳しい時期なのは事実だな。ブレイオやラフィを育てているのはそういう理由だし。」

基本的に、戦闘職が完全なソロで通用するのは、第3マップくらいまでだ。そこから先は、仲間、ゴーレムなど、何らかの手段を駆使して手数を増やしたり、弱点を補ったりする必要がある。俺の場合、技能相性もあって、トマの塔をソロ攻略できたが、ヒマラン大草原ではブレイオと一緒でも躓いたのだ。

「そっか。ブレイオちゃんやラフィちゃんって、そういう感じか。アレ?おくたんちゃんは?」

「おくたんは、仲間ではあるが役割が戦闘じゃないからな。ちなみに、おくたんを戦闘要員に改造する予定は無いぞ。」

「あぁ、そういえば、おくたんちゃん、戦ってなかったね。」

「それで、パーティだったな。俺としては、固定パーティに捕らわれる必要はないと思うが、今まで通り、一緒に活動するのはかまわないと思っているぞ。」

「え?なんで?」

「パーティだと、離れられる距離の制限とか、召喚枠の制限とかが出るからだな。アヤさんだって、自由に見て回りたい時があるだろう?」

「ん?えぇと… あ!そっか。つまり、一緒にいてもいいんだよね?」

今更だが、このゲームの1パーティの枠上限は、ゴーレムや召喚モンスターも含めて6枠だ。ただし、召喚獣やゴーレムは、2対目以降からパーティ枠にカウントされるようになっている。このため、6人で召喚モンスターやゴーレムを6対従えて12人パーティを組むことは可能だ。

この仕様であるため、「ユー、おくたん、ブレイオ、ラフィ、リーネ、アヤ、フリーン、ルナー」というパーティはセーフだ。俺が連れているおくたん、及び、アヤが連れているフリーンがパーティ枠から外されるからだ。

なお、以前 N3 で共闘した拳士集団「スピリットフォース」時は、俺はおくたんを召喚しないことで、「俺+ブレイオ、拳士5人」が成立した。それと、 E6 でラフィを再生した時、あの場には「ユー、ブレイオ、ラフィ、カナミー、ルーウェン、リーネ、カイム」がいたので、枠としてはギリギリだった。アステリアがあそこにいたら、枠の都合で誰かに離れてもらう必要があっただろう。

なお、召喚士などの使役職であれば、パーティ枠を超えて召喚できるようになる。「印術」でも召喚を扱うので、アヤもたぶん持っている… はずである。いや、レベルが足りてなくて持ってないかもしれない…

「やっぱり一緒になったか。まぁ、反対する理由は私には無いからかまわないんだけれど。」

「その話だと、リーネさんも、まだ一緒に活動するでいいのか?」

「えぇ~!ひどくない?お姉さん、ユーさんたちにこんなに尽くしてるんだよ?」

「当初の目的が、強くなるために、理がある時には一緒に活動する、という話だったからだな。もちろん、一緒にいてくれると俺としては助かる。だが、リーネさんだって、やりたいことはあるだろう?」

「アハハ、ユーさん、相変わらずその辺しっかりしてるよね。ユーさんと一緒にいる方がお得みたいだから、これからも一緒がいいな。私一人だと、あんな体験はできなかっただろうし。」

ということで、パーティは継続されることになった。では、次に今後の予定を話し合おう。

「俺としては、途中になっているナザ島の地下迷宮の攻略か、雪原の街への到達を目指したい。本当は西の開拓を進めたいんだが、どうも、始まりの街が混雑しているようでな。」

「私は、ヒマラン大草原か、雪原の街に行ってみたいな。ラフィちゃんの召喚石って興味あるんだ。あと、西だっけ?私も行ったこと無いよ。」

「私は二人に従うよ。あまり探索していないのは北だから、雪原超えには興味があるね。あとは、行ったことのないダンジョンがあればうれしいかな?」

まずは、希望を率直に出し合ってみた。結果、優先度が高いのは北マップのようだ。

「だが、そうか。召喚石を何とかしたいなら、先に東が良いかもな。その後、召喚に必要な素材を見繕って、西の開拓のついでに育成… というのでどうだ?」

「なるほど。確かに、理に適ってるね。さりげなく、カイムにお願いする前提になっているけれど。」

「まぁ、そうだな。そこはカイムさんに助力を願うことになるだろう。あるいは、アインステーフに、それっぽい人がいるかもな。あそこ、悪魔がワラワラ出てきたのだから。」

「ん?言われてみると、まだ何かあるかもしれないね。未探査の場所もあったし、行ってみるのも良いかな。」

「えっと… ユーさん、リーネさん。協力してくれるのはうれしいんだけれど、いいの?」

「かまわないぞ。草原なら、強くなったブレイオとラフィの試運転もできる。素材集めなら、ナザ島の地下迷宮や、ホムクの試練洞窟の氷帝は一考の余地がある。地下迷宮のエクストラが不明だから、そっちを探すのもありかもしれないが…」

「私もかまわないよ。西の開拓をしたいなら、その手順が妥当だと思うし。」

「ところでアヤさんは、召喚枠を増やす技というのは持っているんだよな?」

「ん?枠を増やす?よくわからない。」

「えっと、召喚枠拡張とかだな。要は、印術でたくさん召喚できるようになる技になる。」

「え?あぁ、そういうことなら、持ってるよ。 召喚枠拡張1 だね。同時召喚できるモンスターの制限を緩和する、って書いてあったよ。」

とりあえず、アヤが新たな召喚石を入手しても、「枠が足りなくて召喚できない」という悲劇は防がれたようだ。ただし、召喚石のモンスターを呼び出すと、それで枠が埋まってしまうので、印術による召喚ができなくなってしまうだろう。

「え?あ、そっか。どうしよう?印術使えなくなっちゃうのかな?」

「印術のレベル上げだな。 召喚枠拡張1 という表記なら、成長して 2 とか 3 になれば解決するはずだ。」

「あぁ、なるほど。よかった~。アレ?ユーさんは、どうにもならないの?」

「俺は召喚系の職業じゃないから、その辺りの自由が効かなくてな。とりあえず、枠が足りない時はおくたんなどを送還するぞ。」

こうして、少々の不安要素はあるものの、これからの活動方針が決まった。

その後、必要な補充を済ませて、俺たちはヒマラン大草原に向かった。なお、現在の俺のインベントリーは以下の通りだ。

インベントリー (通常アイテム):

ポーション X 15

MPポーション X 15

ハイポーション X 5 (緊急用)

ハイMPポーション X 5 (緊急用)

ミストポーション X 5 (パーティ回復効果がある。緊急用。)

毒消しポーション X 9

安定ポーション X 9

魔払いポーション X 9

復活薬 X 3 (主にアヤの事故死対策)

テント X 3

煙玉 X 3

松明 X 9

魔除けの葉 X 100

脱出の札 X 3

修復効果付き魔引板 X 4

作業用手袋 X 6

布マスク X 9

水中花のタオル X 6

木製テーブル&チェアセット (6人用) X 1 (椅子の増加に合わせて買い替え)

盛り土用砂入り袋 X 15 (ラフィが加わったので増やした)

滑雪そり(小型) X 2 (評判が良かったので増やした)

高級携帯食 X 9

おにぎり X 6

串焼き X 12

ドライフルーツ X 6

炭酸ジュース X 6

ブレンド茶ば X 12

浄水筒(中) X 1 (ラフィも加わったので1ランク大きくした)

冷却コップ X 3

発熱コップ X 3

ダンジョン発見機 X 1

インベントリー (貴重品):

冒険者証 X 1

旅人の鍵 X 1

ゴーレムコントローラー (おくたん) X 1

解放の証 (視覚) X 1

契約の証 (ブレイオ) X 1

契約の証 (ラフィ) X 1

インベントリー (装備品):

魔弾鋼のナックル X 1

防雪手袋 X 1

白木の杖 X 3 (使い勝手が良いので予備もこっちに移した)

耐海武術着 X 3 (ラフィが増えたので)

魔樹綿の帽子 X 1

銀編の魔布帽子 X 1 (適宜、魔界の黒帯と入れ替える)

防風のマント X 1

スパイクブーツ X 1

致命の指輪 X 1

輝印石の腕輪 X 1

経験の腕輪 X 1