1-2 キャラ作成

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4月1日はニューゲームだ。嘘じゃないぞ。

「ゲーム、アドベントファンタジアをロード中」

今日から始めるゲーム、アドベントファンタジア。

剣や魔法のある仮想世界で自由に冒険や生活を楽しむ、そんなゲームだ。

この手の作品は既に数多くリリースされているのだが、遊ぶには障壁画多すぎた。

「VR を Visual Reality と思っているに違いない!」と突っ込みたいくらい、盲人に縁のないもので溢れていた。いや、今も現在進行形で増えている。

世の中、そんなゲームで溢れまくっている。

このゲームでも、別に盲人が遊ぶことなんて想定されていないだろう。少なくともPR動画には字幕はあったがナレーションは無かったので、きっとグラフィック押し全快に違いない。

だが幸運なことに、遊ぶために必要だった条件がちゃんと揃ったのだ。なら遊ぶしか無いだろう?

ということで、話が長くなったがさっそく起動。

ゲーム起動に必要なハード側の設定は済ませた。人の協力が必要だったから、それはハード購入から4月までの2週間で何とかした。

「こんにちわ、アドベントファンタジアへようこそ!」

突然、男声で語り掛けられた。

「えっと?」

「私は、管理AIです。これから、貴方様のアバター作成を支援します。よろしくお願いします。」

「あ、なるほど。よろしく」

実況動画内のアバター作成は、全て女声のナレーションだったので、それしか無いのかと思っていた。

後から知ったことだが、設定で選べるものだったらしい。動画で設定している話が出なかったのは、録画前に設定してあったものと思われる。

「まず、貴方の名前を入力してください。」

「名前は現在のIDを使ってくれ」

名前入力が表示されたらしい。

だが、実況によるとタッチパネル入力らしい。

なので、今回のゲーム向けに作成したアカウントのニックネームでそのまま進めてもらう。

もちろん、本名じゃないから問題ない。

「アカウントのニックネーム、ユーですね。宜しいですか?この名前は変更できません。」

「問題ない。」

「続いて、種族、職業を選んで下さい。」

「種族はヒューマン、職業は武僧で。」

種族については、よくあるエルフやドワーフ、ア人種、果てはモンスターまで選べるらしい。

今回は、身体の特徴を現実のそれに近いものにしたいので、人類の純血種である「ヒューマン」とする。

職業とは、以下のように、ゲーム内での活動を助けてくれるシステムだ。職業が無くても同じことはできるが、職業を持っている方が該当する能力を伸ばしやすいのである。

- 剣士: 剣を使った戦闘を強化。「剣」にカテゴライズされる武器を一通り扱うことができる。剣に特化している分、補正が大きい。

- 騎士: 突撃から防御まで、武具を用いた戦闘を強化。剣、槌、槍など幅広く使用可能だが、個々の補正は剣士よりも低い。

- 魔法使い: 魔法を使った戦闘を強化。武器は、杖のように魔法の触媒に使えるものが好まれる。

- 農家: 農業や採集活動を強化。なお、畑がモンスターに荒らされる世界であるため、戦闘職ほどではないが、農具を用いた戦闘もこなせる。

- 裁縫師: 服飾を中心とした生産活動を強化。素材を手に入れるための採集活動にも補正はあるが、戦闘能力の補正は小さい。

そんな中で俺が選択したのは「武僧」、つまり戦う僧侶だ。作品によってはモンクと称される。

このゲームでは、拳士と僧侶の特徴を内包しており、体術と自己回復に優れる。前衛に必要な攻撃力と防御力を確保でき、さらに自己回復もできるため、ソロプレイに安定性を求める選択肢として有用だ。

ただし、攻撃力や敏捷は拳士より低い。また味方の回復などの技能は僧侶に劣る。特価職には及ばないということだ。

「続いて、能力値のベースを設定して下さい。」

筋力や敏捷などの能力値の設定だ。ここで設定する値はゲーム開始直後の値であると共に、今後のレベルアップでの成長率にも影響してくる。このため、「ベース」と呼ばれる。

まとめウィキによるとヒューマン&武僧のベースは以下の通りだった。

体力: 13 (HPやスタミナ)

魔力: 10 (MP)

筋力: 9 (物理攻撃力)

防御: 12 (物理防御力)

精神: 9 (魔法攻撃力)

知性: 12 (魔法防御力)

敏捷: 7 (運動神経)

器用: 8 (手の器用さ)

ベースは、種族や職業に関わらず 平均10, 合計80 だ。このベースを増減させることでカスタマイズする。なお、 合計80 は守る必要があるため、ある能力を上げたら、代わりに別の能力を下げなければならない。

シミュレーションしておいた結果に基づいてカスタマイズを実施。その後、音声で指示を行ない、最終値を確認した。

体力: 15

魔力: 10

筋力: 9

防御: 16

精神: 9

知性: 16

敏捷: 2

器用: 3

予定通りの極振りである。

「続いて、初期技能を選択して下さい。」

「技能」とは、他作品ではスキル、特性などと呼ばれるものだ。例えば、身体能力を高めたり、鑑定能力を得たりできる。

そんな技能だが、ゲーム開始時にいくつかを選択して取得することができる。

ただし、初期状態で極端に強い技能を取得すると、取得枠が減ったり、ベースが下がったり、デメリット技能を負わされたりする。例えば、以下のようなものだ。

物理無効:

効果: 物理攻撃でダメージを受けなくなる。

デメリット: 魔法攻撃ダメージが倍化

なお、「ベースが下がる」というのは、正確に言うと少し不適切でもある。技能の中には、ゲーム内で条件を満たして習得すると、ボーナスとしてベースが上昇する技能がある。が、初期技能として習得した場合にはベースが上昇しないのだ。

このため、初期技能では、ゲーム内での習得が難しいモノや、最初にどうしても必要とされるモノに絞って習得することが推奨されている。

そんな技能だが、武僧の場合、序盤のお薦めの技能として、まとめウィキでは以下のものが紹介されている。

体術

効果: 拳や足を用いた武術を扱える技能。

気放術:

効果: 気(身体エネルギー)を操作して、攻撃や強化、回復などを行なう技能。

魔法(治療)

効果: HPや状態異常を回復する技能

魔法(炎)

効果: 炎を生み出し、操る魔法の技能。

魔力操作

効果: 周囲に存在する魔力に干渉する技能。各種魔法の習得や効能を促進

鑑定

効果: 視認したものの特性を知る技能

武僧は、体術、自己強化といった肉体を使う技能と、回復系の能力に対する適性が高い。

ただ、この構成だとスライムやゴーストの処理が厳しいため、魔法の併用が推奨される。その中でも炎属性は、他属性よりスライムやゴーストへの通りが良く、且つ、後から習得するのが難しいため、初期技能の候補に挙がっているのだ。

しかし、俺が習得する予定の技能は違う。以下の通りだ。

盲人:

効果: 視認することを条件とした技能を無効化

デメリット: 常時盲目状態となり治療不可。視認を条件とした技能が習得不可。特定行動時において、視認による補正を受けられなくなる。

鈍感:

効果: 精神攻撃に対する耐性(極大)

デメリット: 感覚や反応、感知系技能の習得、使用にマイナス補正(極大)

効果変化 欠損:

効果: 身体機能が欠損した際、切り離される代わりに該当部分を用いた行為にマイナスの補正を与える。

デメリット: 欠損部位の回復手段が限定され、回復速度も遅くなる。

体術:

効果: 拳や足を用いた武術を扱える技能。

魔力拳:

効果: 体術による攻撃に魔法を付与する技能。魔力の操作が可能になる。習得する魔法の一部が変化。

デメリット: 魔法の射程が拳付近に限定される。

気留術:

効果: 気(身体エネルギー)を操作して、自身の回復や強化、防御を行なう技能。特に、体内、体表、触れているもの等に気を留めることに優れる。

正々堂々:

効果: 不意打ち無効特性の一つ。認識していないものからの自身への干渉を削減。認識の程度により削減効果が変動。

デメリット: 自身が対象に干渉する時にも同じ効果が適用される。

触鑑定:

効果: 手で触れたものの特性を知る技能

捕獲握力強化:

効果: 物を握る力、特に掴んだものを離さない力を強化

空腹耐性:

効果: 満腹度の減少を軽減

武僧の中でも、接近戦に特化した構成とした。命中する宛の無い遠距離攻撃も、相手を見つけたり奇襲したりする技能も要らない。

将来的には、防御や受けに関する技能の習得や、属性魔法も習得したい所。

え?普通、心眼とか、聴力強化とか入れるんじゃないの?だって。

今回は、盲人らしさは残したいので要らないな。不思議能力は十分にある。

なお、真贋などの技能は実際に存在している。初期技能では以下の特性として紹介されており、「盲人」と併用すれば、デメリットは全て踏み倒せるらしい。

心眼:

効果: 目を閉じて集中することで、対象の位置を認識できる。通常は視認できないものも認識可能。

デメリット: 暗闇に対する耐性低下(中)、精神異常に対する耐性低下(中)

聴力強化:

効果: 小さな音、遠い音を聞き取れる、音を用いた索敵技能を強化

第六感:

効果: 五感とは異なる能力(直感、危険感知など)の技能習得を促進、効果上昇

デメリット: 五感の能力が低下、または、身体機能の低下(中)

「技能を審議中。承認されました。」

良かった。使う予定の無い技能にデメリットを集中させることで、理想的なビルドにできた。

「では、最後にアバターを選んで下さい。」

「現在の進退に近いアバターをオート作成。その上で、特徴を説明してくれ」

いよいよアバター作成画面だ。

ファンタジー風にしたアバターが初期設定になるらしい。

美形にしたり、種族らしさを出したりできるようだが、今回は現実の体に近いものにする。

で、作成はされたのだと思うが、特徴を聞いてみる。何しろ自分で見て確認できないのだ。

「進退は、40代前半の男性に近くなります。武僧らしい引き締まった進退です。なお初期装備が服であるため、旅する拳闘士であると認識されるでしょう。」

「わかった。旅人としての外観に問題は無いか?」

「現在の流行には沿っていないようですが、問題はありません。」

だそうだ。年齢もおっさんと言って差し支えないし、今の体が美形とは思ってもいない。少なくとも、美形と言われるための努力をしていないのだから。

とはいえ、流行というのは気になるので聞いてみよう。

「流行の武器は剣や槍、杖です。また防具は革や鱗制の軽装、鉄制の鎧、布性のローブです。これは、剣士や槍士、魔法使いなどの職業を取得する旅人が多く、また、胴を守る装備に対する優先度が高いと認識されているためです。」

「旅人の流行はわかった。住民の方は?」

「さまざまな職業の住民が住んでいますが、特に多い服装は、布性の服やズボンです。色は、特別な染色をしていないものが多いため、白や灰色、茶色が多いです。安価なため、日常使いする服に採用されているようです。」

なるほど。着用する理由も切実な感じなので、よほど尖ったものでなければ、服の色やデザインを実用面に寄せても問題は無いのだろう。

「わかった。じゃ、このアバターでいい。」

「作成が完了しました。」

何はともあれ、これでアバター作成も完了だ。