1-3 初期設定とステータス確認

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ユー。あなたは、現実という異世界からこの世界にやってきた訪問者。しかし、その目的はあなただけが心に秘めているもの。

世界を自由に巡ること。住民との生活を望むこと。はたまた、人とは変わったことに挑むこと。

あなたの望むがままに、この世界を楽しみなさい。世界は、あなたの選択に応えるでしょう。

しかし、忘れないでください。

時には、あなたの選択に試練が伴うことを。そして、自身の選択を受け入れ、道を進まなければならないことを。

そんな声が聞こえてしばらく後…

うっすらとした鳥の声、僅かな風音が聞こえる場所に立っていた。

ここが、アドベントファンタジアの世界… なのだと思う。

いや、だって風景見えないから、どこかに放り出されたとしか掲揚できない状態なのだ。

もちろん、ここがどこなのかは予想はついている。

プレイ動画によると、アバター作成後に移動する場所は、プレイヤーの最初の拠点となる街「始まりの街」の外周にある草原らしい。

「こんにちわ、ユー様!」

とここで、お待ちかねの存在、AIナビゲーターの声が聞こえて来た。こっちは、実況動画で聞いたことのある女声だ。

「私はナビー。ユー様の冒険をアシストします。」

「おぅ、よろしく。ちょっと降りてきてくれ。」

声は自分の少し頭上からしているので、降りてきてもらう。

「はい。どうしましたか?」

声がしたので、近づいて触れようとしてみる。

「私に触れることはできません」

そんな声がした。実際、声の近くに手を出してみたが、空気しかない。

「あぁ、主人でも触れられないのか。どんな形しているのか気になったんだが、残念だ。」

「現在のフォームは、妖精型です。フォームは環境設定から変更できます。」

なるほど。動画では皆「妖精」としか言っていなかったし、環境設定でフォーム変更している話も無かったので知らなかった。

このナビーこそが、プレイヤーの行動を助けてくれる存在だ。

質問すればいろいろなことを答えてくれる。確認した結果、マップ内の道案内などもできるらしい。

ただし、戦闘や生産を含めた作業は不可能。実態が無いらしく、人もモンスターもすり抜けるそうだ。

なお、かなり親切なようだが、不要なら使わないことはできる。雰囲気作り、地図が苦手な人など、さまざまな用途で活躍するのだ。

ということで、環境設定の話が出たので、このタイミングで設定を行なおう。

まとめウィキに掲載されていた設定項目を思い浮かべながら、ナビーへ指示し、設定変更を進める。

まず、通知系。ひとまず、全て有効にする。その内、邪魔なものが出てくれば外せば良いだろう。足りないと思ったものは追々だな。

次に表示系。これらは全てオフにする。見えもしない表示にハードのリソースを食われるなんて愚かだからな。表示されなくても通知や音声は出るのだから、それで良いだろう。

痛覚設定は、今はわからないから50%で様子見だな。痛みを味わいたいわけではないが、全く感じないのでは必要なこともわからなくなるかもしれない。あと想定通りなら、実際に味わう感覚は設定値より低いことが多くなるだろうからな。

流血、スプラッタ系は… 今はリアル準拠でいいな。これもフィルターが原因でわからなくなるのが困る。魔法を覚えて行けば洗浄もできるようになるので、厳しければ手袋なりマスクなりを用意すれば良いだろう。

音量系は様子見だな。とりあえず、今はシステム通知も外の音も問題無く聞こえているので、バランスが悪ければ微調整していこう。むしろ、状況によって変えるべきか?

BGMは、とりあえず無しで。外の音が聞こえにくくなる。

時報やアラームは… 設定しよう。時報はゲーム時間準拠で音声ガイド。アラームは、ログイン制限2時間前で良いか。

動作アシストは有効、動作はひとまずフルオートだな。技能などの使用時の姿勢や身体の動きをアシストするものだ。見て学ぶことができないので、フルオートで覚えて、慣れたらセミオートなどに移していくとしよう。

セクシャルガードは、とりあえずなしだ。むしろこっちが物理的に触る側になると思うけれど。

ナビーについては… 行動は指示優先の自由、その他の制限は解除、あと俺にしか認識できないようにする。混ざると困るから他人のナビーは非表示だな。

あとナビーの形状だが… 正直、触れられない声だけの物体に求める形なんて無いだろう。いや、強いて言えばあるな。

「ナビー、ナビーの形状を、スピーカーか、メガホン型にはできるか?無理なら球体だ。」

「ごめんなさい。スピーカー型、メガホン型は用意されていません。球体型に設定します。」

声がよく通る形状を考えてみたが、さすがにスピーカーやメガホン型のナビーというのは非常識だったか。

それなら球体にしておく。声の聞き取りやすさに違いは無いかもしれないが、あるのだとしたら、ナビーの向きに左右されない方が良いだろう。

よし。設定も完了したし、チュートリアルを進めようか。

「ナビー、ここは、始まりの街の外周にある草原でいいんだったか?」

「はい。ここは、N1 始まりの草原です。」

やはり、町の外周だそうだ。

マップ名は、「S1」「N1」などと表記され、英字が方角、数字が「始まりの街」からの距離のようなものだ。例えば、第3マップの南西にあるという浜辺は「SW3 漁師の浜」となっている。

N1ということは、街の北側だ。西だったらスライムが出るので超危険だが、それ以外だったので安心である。

せっかくなので、少しナビーにいろいろ聞いてみよう。

「なるほど。ナビーは、ここについて、どのくらい知っているんだ?」

「N1 始まりの草原 北部は、始まりの街と、キトル山とを結ぶ地帯です。キトル山までは安全に移動できる交通路が敷かれており、交通路から外れた領域にモンスターが生息しています。また、そのエリアには、疎らに木々や脊椎があり、薬草や鉱物が採取できるようです。」

「木というのは、人と同じくらいの木なのか?」

「大きさは2メートル、太さは0.5メートルくらいの木です。ユー様が腕を伸ばせば、木に成っている果実や、葉っぱを採取することはできます。」

「そうか。ナビーは、木の実や素材になる葉っぱのある木の所まで案内してと言えば、連れて行ってくれるか?」

「ごめんなさい。木まで案内することはできるのですが、素材があるかどうかは、私にはわかりません。」

「そうか。例えば、俺が木の実を手に握って、それと同じ実が成っている木を探すことはできるのか?」

「いいえ。私には、ユー様の持ち物が見えないのです。」

「持ち物は見えないが、木とか森とかは見えているのか。不思議なやつだな。」

「お役に立てなくてごめんなさい。」

ゲーム的には、プレイヤーが身に着けられる能力、索敵や探知系の技能を使わせるため、こういう変な設定になっているらしい。

それ故か、ナビーは「変なAI」という評価をされていた。道や建物、システムに関わる人間は見えているのに、物探しはできないという。

ただ、実はこのナビー、ゲーム内のあるイベントをこなすことで、制限が解放されることになっている。制限が解放されると、肉眼で視認できる範囲のアイテムやモンスターであれば見つけたりできるし、もっと進むと戦闘にも干渉できるそうだ。後者は、ナビーを操るような技能に近いので、ちょっと違うが…

「わかった。じゃ、チュートリアルを頼む」

現状確認ができたので、今ここにいる目的、チュートリアルを進めよう。

「はい。では、まず、ステータスを開いてください。メニュー、ステータスとタップすると開きます。」

(ステータス表示)

思考入力ができるということなので、いきなりステータス表示と念じる。

ステータスが表示された。当然、音声ガイダンスを有効にしているので、以下のことがガイドされた。

名前: ユー

種族: ヒューマン

職業: 武僧

性別: 男

称号: なし

HP: 100% 150/150

MP: 100% 100/100

状態: なし

所持金: 3000p

満腹度: 100%

レベル: 0

経験値: 0/10

体力: 15

魔力: 10

筋力: 9

防御: 16

精神: 9

知性: 16

敏捷: 2

器用: 3

技能:

適性: 体術1, 魔力拳1, 気留術1

技術: 触鑑定1

支援: 捕獲握力強化

耐性: 空腹耐性

特質: 盲人, 鈍感, 効果変化 欠損, 正々堂々

体術: 強撃

気留術: 癒気

魔力拳: 魔拳

装備:

獣革のナックル, 木綿の服, 獣革の靴

とりあえず初回だから全部通知させたが、長いな。後で必要な所だけ通知するように設定しておこう。

ステータスには名前や種族などの基礎情報、現在の能力値、技能、装備が表示されている。

HP、MP、満腹度はデフォルトがパーセンテージ表記だ。実数表記にもできるが、実況動画を聞いた感じ、パーセンテージ表記だけが良さそうだ。

使い込むなどして成長する技能には、技能レベルも表示されている。まとめウィキの検証によると、20などを超えると上位技能に派生する場合もあるとのこと。

また、体術、気留術、魔力拳に連携して使用できる技も表示されている。技名は、和名と洋名が選べて、例えば「強撃 | スマッシュ」、「癒気 | ヒーリングオーラ」となる。俺は、表記が短いという理由で和名にする予定だ。

なお、このゲームでは、発声のできない種族も加味して、技や魔法を使用するために、呪文などを詠唱したり、技名を叫んだりする必要は無い。ただし、同行者がいる場合には、連携を取る必要性から、技などの名称を発することが推奨されている。

なお、使用する技名と発声する技名が不一致だった場合、両方が順に発動するそうだ。この場合、複数の技を連結したような動作になる。

装備は、拳士系の職業の初期装備だ。なお体術にはキック系の技能も含まれているため、ブーツではなく靴になっている。

装備している武器防具に手を添え、触鑑定を使用する。結果は、まとめウィキに掲載されていた通りだった。

獣革のナックル:

種別: 武器・ナックル

説明: 革制のナックル。パンチ力を増幅できる。攻撃力は低いが丈夫。

性能: 攻撃力10(打), 耐久値: 120/120

木綿の服:

種別: 防具・軽装

説明: 布制の服。防御力は低いが丈夫。

性能: 物理防御4(斬△), 魔法防御3(熱△), 耐久値: 90/90

獣革の靴:

種別: 防具・靴

説明: 革性の靴。防御力は低いが丈夫。キック力を増幅する効果もある。

性能: 物理防御6, 魔法防御3, 耐久値: 120/120

武器や防具は、使い続けると耐久値が減っていき、最終的には壊れてしまう。お金はかかるが、アイテムの耐久値は、街の武具屋等で回復してくれる。

そんなルールであるため、初期装備の耐久値はやや高めに設定されている。これは、ゲームに不慣れな初心者でも、装備が更新できるまでは、簡単に壊れないように… といった配慮であるらしい。

なお、防具を全く装備していない状態にすると、服のような外見の膜が体を包み込むそうだ。いわゆる、裸で闊歩することを防ぐための処置らしい。もちろん、その膜には防御力は全く無いので、攻撃を受けたらとっても痛いそうだ。

それと、その膜は、場所によって包まれる範囲が変わる。要は、海や温泉エリアでは、海パンになるなど、場所に合った外見になるそうだ。