1-4 チュートリアル中に初戦闘、そして街へ

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「では、続いて、アイテムを確認して下さい。アクセサリーが入っているので装備してみましょう。」

ナビーの声に従い、アイテムを確認する。

アイテム:

ポーション X 5

携帯食 X 5

銅の首飾り X 1

(銅の首飾りを、首に装備)

念じると、銅の首飾りが首に出現し、装備された。

目の前に出現させるなどして、主導で装備することもできるのだが、オートで装備することも可能である。

リアリティも大事だけれど、ピアスなど装備方法が特殊なものがあったり、素早い装備変更が必要であったりなどの理由から、動画でもオート装備がよく用いられていた。

なお、銅の首飾りは、クリティカル攻撃を受けた際のダメージを2%軽減する効果があるそうだ。さすがにタダでもらえる装備品だ。誤差にしかならない。

その他のアイテムも触鑑定をしてみた。結果は以下の通り。これもまとめウィキ通りだ。

ポーション:

種別: 薬品・回復

説明: 傷を癒す効能のある薬品。飲むか、振りかけることで、対象のHPを回復させる。

性能: 引用 HP回復20%, 散布: HP回復15%+部位回復促進(小)

携帯食:

種別: 食料

説明: 食用することで、満腹度を回復する。

性能: 食用 満腹度回復20%

回復量、武具の強さなどは、「性能」から具体的な数値で確認することができる。ただ、情報過多であったり、部位で効果が変化したりするため、今後は非表示にしよう。主要なアイテムの性能はまとめウィキに網羅されていて、確認も比較もできるのだから。

ポーションは、飲用でHP20%回復できる。また、回復量は若干落ちるが、腕などを痛めた時や、満腹の時などには振りかけた方が良い。

携帯食は、1個で満腹度20%回復だ。つまり現在は、満腹度100%分の食料を持っていることになる。

なお、満腹度は時間経過で減っていく。まとめウィキに掲載されていた検証結果によると、通常の戦闘職なら1時間で平均10%、空腹耐性持ちの俺なら平均5%程度消費するとあった。

「では、街へ向かいましょう。ただし、道中でモンスターに遭遇することがあるので注意して下さい。」

次のチュートリアルは戦闘… ではない。街に行くことだ。

今戦闘をしたければ自己判断でやってね、作成したキャラによっては戦闘が全くできないこともあるのだから!ということらしい。

なお、戦闘自体のチュートリアルは、冒険者ギルドで受けることができる。ナビーに戦闘補助機能が無いため、こういう処理になっている節もあるのだ。

「わかった。で、町はどっちにあるんだ?」

「街は現在の方向に直進するとあります。」

「モンスターが出るのは、草むらとかだったか?」

「はい。交通路から外れた場所では、モンスターと遭遇する可能性が高くなります。」

「その交通路が今立っている所でいいんだよな?」

「はい。」

「じゃ、この道から外れた周囲をウロついていればモンスターは探せるか?」

「はい。ただし、私はユー様の戦闘を助けることはできません。また、戦闘の訓練を目的としているのであれば、冒険者ギルドで相談することをお薦めします。」

「わかった。だが、今戦ってみたいので、このまま行くとするぞ。」

ひとまず町を右手にして、交通路から外れるように、ゆっくりと歩く。

今は足元を確認できる手段がないので、慎重に慎重に…

幸い、草むら地帯はすぐに見つかった。靴で踏んだ地面が、踏み固められた土から、草に変わったのだ。また、田んぼのように、道と草地の高さが違ったり、間に溝があったりはしなかった。

しばらく歩いていると、遠くの方で草の音が聞こえた。風で揺れる感じではないので、誰かが走っているのだろう…

こっちに来ているようには聞こえなかったので、そのままぶらついていると…

何かが後ろからぽふっとぶつかった。

「グルルル」

後ろから聞こえてきたのは、鳴き声からして狼だ。始まりの街近辺では代表的なモンスターの一体で、動画でも聞いたことがある唸り声だった。

振り返ったら、腹の辺りに何かがぽふっとぶつかった。そして、腕の辺りに何かが触れた。それと、生臭い臭いがしてきた。どうやら、もう一度飛びかかってきたようだ。

そのまま右手で掴んだら、捕まえることができた。握力を強化したので、それなりにしっかりホールドできている。

せっかくなので触鑑定を発動する。

狼:

Lv: 1

種別: モンスター、獣

HP: 100%

状態: 敵対、捕縛

説明: 始まりの街近辺に生息している狼。肉や毛皮が重宝されている。

ウィキにあった通りの情報だった。

状態が「捕縛」になっているのは、掴み方の影響だろう。足が宙にあるため行動が制限されている、といった所か。

では攻撃だ。手を離しつつ強撃を叩き込む。

「キャイン!」

狼は吹っ飛んだ。

捕まえたまま攻撃を続けるか、都度吹き飛ばすかは判断に迷う所だが、特性を考えると今は吹き飛ばした方が有意義と見た。

というわけで待機。狼は、きっと飛びかかってくるだろう。

程なくして、正面からぶつかってきたそれを受け止め、そして、掴んで強撃!

「キャイーン!」

砕けるような効果音がした。

「狼を倒した。経験値を3獲得しました。」

「狼の毛皮を入手しました。」

モンスターを倒すと経験値やドロップの表示が出る。もちろん、これらは音声で通知させるようにしている。

なお、ドロップは自動的にインベントリーへ入るシステムだ。解体したり、拾ったりしなくても良い上、処理済の皮が出てくるので、手元に出しても臭わない。

(癒気)

残HPが89%になっていたので、回復を図る。

癒気を念じると、体にみなぎるような何かを感じる。

「HPが全回復しました」

通知が来たので癒気を終了する。5秒くらいしかかからなかった。

攻撃された回数が3回、自然回復込みで受けたダメージが11%か。

後ろから攻撃を受けた時と、前方から受け止めた時の様子から、当初想定していた通りに技能が働いているようだ。

これなら、この世界を冒険するために必要な戦闘ならこなしていけるだろう。

では、街に向かうとしよう。ただ、その前に一つ確認することがある。

「ナビー。近くに木はあるか?あるなら、そこに飛んでから俺を呼んでくれ。」

「はい。ここに木があります。」

「え?」

ナビーの近くに寄ったら、本当に木に手が触れた。3メートルも無かったように思う。

とりあえず、長い木の棒、あるいは枝があればと思い、木の周りを歩いてみる。

しかし、踏んだのは草だけだった。木の寝はあるが、これは抜けないのでダメだろう。

残念ながら、白杖の代わりになるものは落ちていないようだ。なら、街のお店で購入するとしよう。

「ナビー。街に戻る。まずは、近くの交通路に戻りたい。定期的に声を出しながら、先導してくれ。」

「わかりました。交通路はこっちです。」

ナビーに先導してもらい、まずは交通路へ戻る。

ナビーには、定期的に声を出してもらう。こうすれば、ナビーを見失う… というのは変だな。ナビーが行方不明になることは無いだろう。

もちろん、草エリアに入った時と同じように、慎重にゆっくりと歩く。たまたま入った所が平坦で、後はくぼんでいます!とかだと悲惨なことになるからな。

しかし、結局、平坦な道のまま、踏み固められた土の上に戻ってきた。

「交通路に戻りました。南へ向かいます。こっちです。」

引き続き、ナビーに先導してもらい、道を歩く。

ナビーの便利な所は、他人には俺のナビーが見えないし、呼んでいる声も聞こえないことだ。もちろん、ナビーと話をしていると独り言のように聞こえるだろうから、気になるなら思考入力で会話すれば良い。そうでなくても、ゲーム内のチャットなどを使って他人と会話しているプレイヤーはいるようなので、そんなに変ではないと思う。現実でもスマホと語り合っている人で溢れているし。

「始まりの街 南門が近づいてきました。」

「わかった。」

しばらく歩いていると、街っぽい音が聞こえてきた。でも現実と違って自動車も土木工事機械の類も無いので、僅かな足音と人の声程度だ。