2-5 S1 畑の湧き水道場

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現実で、食事と情報収集をしてきた。

畑の湧き水で魔法習得が可能か?を確認してきた。結果、「水が動いている場所、つまり湧き出し口付近であれば可能」ということだった。

水属性に関わらず、滞留している場所では魔法技能の習得はできないらしい。

これは、滞留している状態だと魔力が抜けていく。そうでなくても、習得のために魔力を流すことで、内包されていた魔力を追い出してしまう、ということらしい。

ただし、土属性と木属性は例外だ。

土属性は、大地に魔力が満ちているし、地中であれば抜けた傍から補充されるらしい。なので、地面を掘って埋まった状態で習得訓練をすれば良い。

木属性は、森や畑などに限定されるが、植物由来の性質か、地中から魔力を集めることができるらしい。このため、枯れていない草木を用いて習得訓練ができるとのこと。なお、手で握れる程度の草でやると、すぐに枯れてしまうので、訓練は大木の幹に対して行なうことが推奨されている。

ということでログイン。時刻は 4:49 だ。

「おはよう、ナビー。さっそくだが、湧き水の所まで先導してくれ。」

「おはようございます。今日も冒険がんばりましょうね。こっちです。」

というわけで、ナビーの先導を受けて門を脱出、畑エリアへ向かう。

「S1 始まりの草原 畑エリアに到着しました。湧き水はこっちです。」

ナビーの先導に従い、畑エリアに入ったようだ。

畑に用があるわけではないので、そのまま湧き水へと向かう。

「湧き水エリアに到着しました。」

杖を使って、水に落ちないように注意しながら近づく。確かに水音が聞こえる。

杖が地面の淵をたたいた。たぶん、この先が水場だろう。

まずは杖を水に浸そうと伸ばしてみる。無いとは思うが、水はあるけれど1メートル下とかだと困るのだ。

結果、すぐに水に触れた感触があった。実際に杖先に触れてみると、ちゃんと濡れていた。距離も問題なしだ。

今度は、しゃがんで手を垂らす。すると、水に触れることができた。

最初は、何かに触れているが実態が無い… そんな不思議な感覚だった。が、徐々に水が入ってくるようになった。冷たさも感じられる。

この感覚については、「正々堂々」の影響だろう。予想はしていたし、そうであって欲しいという期待もしていたが、湧き水でもこの挙動だと不思議なものだ。

試しに、魔力拳を発動してみると、何かが反発するのを感じる。ウィキに書かれてあった通りだな。

これなら条件は満たせるだろう。魔力拳を続けるとしよう。

「5:00 です。朝になりました。」

「6:00 です。」

「残MPが、残り20%になりました。」

右手を近づけ魔力拳… 右手が飽きたら左手で魔力拳… というのを繰り返していたら、2時間近く経過していた。

まとめウィキでは、少なくとも8時間くらいは続ける必要があるらしい。

そして、MP不足についてはどうにもならないので、訓練はいったん終わりにする。

なお、本来は、N1の草原内にあるという泉を使うことが推奨されている。道端にあるのに安全地帯指定されていることと、天然の泉なので、水に浸かって訓練ができるからだ。

俺も当初はそのつもりであった。ただ、「魔力操作」技能のように、身体全体で魔力を感じたり操作できたりする場合には有効なのだが、「魔力拳」技能の場合、水に近づけるのは手だけで良いのだ。

泉なのに安全地帯指定されているのは、第1マップの温情措置の一つらしい。今いるS1の畑エリアも安全地帯になっている。たまにモンスター襲来イベントはあるが、拒否すれば、普通にやり過ごせるのだ。

「ナビー。モンスターを狩りに行く。モンスターがいそうな草むらはどっちだ?」

「草むらはこっちです。ご武運を。」

せっかく、街の外周にいるのだ。だから、その辺のモンスターを探して狩るとしよう。

ナビーの先導に従い、モンスターを探して狩る。正確には、モンスターの居そうな場所をうろつき、襲ってきたものを狩る。

「魔力が80%まで回復しました。」

「ナビー。最短距離で湧き水の所へ戻りたい。先導してくれ。途中のモンスターは倒す。」

「わかりました。湧き水はこっちです。」

瞑想によって魔力が回復したら、湧き水地帯に戻って魔法習得に勤しむ。

畑エリアには複数の湧き水があるのか、同じ所に戻ってきているだけなのかは知らない。が、ナビーの先導に従えば湧き水の所に行けるのだし、どちらにしても訓練できるので、些細なことだな。

繰り返していると、16時を過ぎていた。ちょうど、3回目の湧き水道場が終わった所だ。

ログイン制限時間も近づいてきているので、街に戻る。

昨日と同様、耐久力回復、素材卸、食事を済ませて、その日はギルドでログアウトした。

なお、南エリアはモンスターがあまり多くなかった。故に、昨日ほどの稼ぎにはならなかった。

ゴブリンと狼以外にも遭遇したモンスターがいた。戦闘中の触鑑定は以下の通りだった。

プヨどり:

Lv: 1

種別: モンスター、鳥

HP: 38%

状態: 敵対

説明: 大きな進退をしているがまだ成長途中の鳥。始まりの街では、油を抜きつつ焼き鳥にして食べられている。鳥としては動きが遅いため処理しやすい。

ビッグアント:

Lv: 1

種別: モンスター、虫

HP: 27%

状態: 敵対、捕縛

説明: 全長1.3メートルほどある大きな蟻。普段は地中を移動しているが、時より地上に出てきて狩をする。硬い甲殻は牙を通さないが、打撃には弱い。

これらのモンスターからは、鶏肉や羽、甲殻などが収集できた。後者2つは、集めて防具の素材にすることもできるが、言ってしまえば序盤のザコの素材なので、こだわりが無いなら卸して資金と貢献度にするべし、という評価だった。

名前: ユー

HP: 100%

MP: 100%

状態: なし

所持金: 2310p

満腹度: 100%

レベル: 5

経験値: 17/214

体力: 22

魔力: 15

筋力: 13

防御: 24

精神: 13

知性: 24

敏捷: 3

器用: 4

技能:

適性: 体術3, 魔力拳2, 気留術2

技術: 触鑑定3

支援: 捕獲握力強化

耐性: 空腹耐性

特質: 盲人, 鈍感, 効果変化 欠損, 正々堂々

体術: 強撃, 足払

気留術: 癒気, 瞑想

魔力拳: 魔拳, 魔盾

装備:

獣革のナックル, 下級武道着, 銅編の革帽子, 獣革の小手, 獣革の靴, 綿布の靴下, 銅の首飾り

魔盾は、小さな盾を出す技だ。けっこう頑丈な盾が7出てくるらしいのだが、持続時間があまり長くないため、俺には使えないだろう。どこから飛んでくるかわからない攻撃にピンポイントで合わせるためには、「直観」と「危険感知」の併用が必要なのだが、俺はその両方を持っていないし、「鈍感」の影響で、今後も得ることはできないだろう。

次の日も早朝から魔法訓練に充てる。場所は昨日と同じ南側にした。

一応、ナビーにギルドの依頼について問い合わせたが、素材卸、畑仕事、荷物運びなど定番のものしか掲載されていなかった。北エリアのモンスターも既に駆逐されたとのことだ。

ということで、ナビーの先導に従い畑エリアの湧き水地帯へ向かう。

うる覚えだが、通ったことのある道な気がする。同じ南門から出るのだから、同じ所に向かうのだろう。

水場に到着したら、さっそく訓練を始める。

一度手を水に浸して確認したら、水面まで戻し、魔力拳を使用していく。

そうやって訓練を進めていたら…

「よう、あんた。昨日もここにいたな。」

後ろから話しかけられた。同年代くらいの男だろうか?住民だろうか?

「ん、あぁ、どうも。そうだな。この辺にいたぞ。」

「そうか。水に手を漬けてるみたいだが、何やっているんだ?」

「これか。水の魔力を感じ取る訓練だな。もしかして、邪魔だったか?」

「いや、問題は無いぞ。俺は畑に撒く水を汲みに来ただけだからな。邪魔しないってなら、ここに居て良いぞ。」

この人は、住民兼、農家の人なようだ。

「助かる。訓練にちょうど良い水だからな。」

「そうか。確かにこの湧き水は森を通ってきた地下水だからな。俺も、この水で生活していたら魔法を覚えたんだぜ。」

なんと、住民ながら畑の湧き水で魔法使いになってしまった事例発見である。

「ほぉ。森の地下水か。いいな。」

「おうよ。でも、こんな所で水の魔法とは不思議なやつだな。北の泉に向かうってやつが多いと聞いているぞ。」

「そうらしいな。だが俺が、魔力を感じられるのはこの手だけでな。だから、ここでいいんだ。」

「そうか。まぁ、俺だってできたんだ。頑張りな。」

「俺だって」と言うが、この人は相応の訓練をしているはずなのだ。

魔法の習得には、魔力を感じたり制御したりする技能が必要だ。先天的に持っていないのであれば、努力をするか、リスクを負わなければ習得なんてできない。

また、技能があっても、意識をして魔力を扱う必要がある。水を生活用水として垂れ流しているだけではダメなのだ。

「おっと。隣失礼するな。」

そう言って農家さんは隣で何かをし始めた。

音からして、バケツ辺りを沈めているようだ。そして、それを持ち上げて去って行った。

少し、水しぶきがかかった。まぁ畑に撒く水だし、量も少ないのだから無視して良いだろう。

その後2時間ほど手を近づけ、MPが減ってきたら畑を離れ狩る。昨日と同じだ。

ただ、今日はモンスターとあまり出会わなかった。そのため、稼ぎとしては微妙だったが、消費も少なかったので、昼前には湧き水の所まで戻ってこれた。

再び訓練を始める。

まとめウィキだと、そろそろ条件が満たせるはずだ。長くても明日には習得はできるだろう。そう思っていると…

「おーい、そこのあんた!助けてくれ!」

朝に会った農家さんっぽい声がした。