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「ユー様、おはようございます。」
「おはよう、ナビー。今日はS2 ミーミの村を目指す。ただ、道中のゴブリンの様子も知りたいから、交通路から少し外れた所を先導してくれ。」
「わかりました。ご武運を。」
時刻は 7:21 だった。
冒険者ギルドで聞いた通りなら、ゴブリンの出現が活発になっているらしい。
なので、まずはS1エリアのゴブリンを探訪しつつ、S2に入ることにしよう。
始まりの街を出て、さらに南へ進む。
「畑エリアを出ました。これから、交通路を少し外れて南へ進みます。こっちです。」
ナビーの先導を受けながら進んでいく。
遠くの方で、何か騒いでいるような声が聞こえる。ゴブリンっぽい。
とはいえ、そんな理由だけで声の近くへ行くわけではない。あくまでも、近づいてきたら戦うスタンスである。第一、そこに到着する頃にはゴブリンが散っているかもしれないのだ。
そうして、歩いていると、複数匹のゴブリンと思われるものが、こっちにかけてきた。
ギャッギャという声もしているので、たぶんゴブリンたちだろう。
杖を収納し、構える。
すると、上からぽふってなった。正面からぶったたかれたんだと思う。当然、効果は無かったので接近し、掴んで殴る。
「ギャーッ!」
吹っ飛んで、一撃で倒れたようだ。
続いて、腰の辺りに棒っぽい何かが触れた。棍棒を振り払ってきたのだろう。いつも通りのポフッとした感覚だ。
それで位置がバレたので、近づいて掴む。そして、「纏水」からのパンチ!
「ビシャ!ギャギャーッ!」
水が飛び散るような音、そしてゴブリンは倒れた。
水属性を纏わせたので、こういう音になったらしい。別に、パンチのせいで、ゴブリンから何かが飛び出したわけではないのだ。
もう、攻撃してくるゴブリンはいなさそうなので、杖を出して再び歩き始める。
その後、15匹ほどのゴブリンと戦った。
「纏土」も試したが、こっちは、普通にドカッとした打撃音になった。纏うのが乾いた土なので、拳が硬さを増した感じなのだろう。
続いてやってきたのは… 推定ゴブリンアーチャーだ。歩いているだけなのに、草の上に、木の矢が積もっていったのだ。
木の矢は音も無く飛んでくる上、草原では風切り音も聞こえない。つまり、感知不可能であるが故に、無効化できたのだろう。
遠くの方で、ゴブリンが騒いでいたが、その声は小さくなっていった。件のアーチャーで、こっちに攻撃が効かなかったため逃げたのだろうか?それとも、別の所で狩をしている人の方へ行ったただのゴブリンだったのだろうか?
なお、木の矢については、拾える物は拾っておいた。自分では使わないが、お金にはなるのだ。
木の矢:
種別: 投擲
説明: 雑木を削って作成した屋。槍投げのように投げることもできるが、通常は弓などに装填して発射して使う。威力は低いが、数を揃えやすい。
その後、ゴブリンを借りながら進んでいると、ゴブリンファイターにも出会った。
倒した後のアナウンスで知った。なお、特筆することは何もなかった。
しいて言えば、途中から近くに屋が転がり始めたことだろうか。別のアーチャーだろう。
次に出会った、変わったゴブリンは…
「ギャーッ!」
叫びながら突進してきたので、そのまま受け止めた。そして、ボイーンとはじかれてすっころんだ。
近づいて、正面にある盾に触れたことでわかった。ゴブリンシールダーだ。触鑑定で確定させた。
ゴブリンシールダー:
Lv: 5
種別: モンスター、ア人
HP: 93%
状態: 敵対
説明: 守りに覚醒したゴブリン。ただし、盾に任せて突進してくることが多い。
せっかく転がっているならということで、横から掴んで、纏水を打ち込む。
「ギャギャーッ!」
その後、起き上がったが、すでに至近距離。
起きた所悪いが、横から掴んでしまう。こうすると、ゴブリンシールダーは盾が邪魔で思うように動けなくなるのだ。
そして、足払いで再び転ばせる。今度はうつぶせに転がってしまったので隙だらけだ。
掴んだ状態で強撃、纏水と交互にたたき込む。
シールダーというだけに防御力が高く時間がかかったが、倒すことはできた。
なお時間がかかるのは、うつぶせに倒れている相手への攻撃は、正々堂々による軽減対象であるためだ。仰向けにしたかったのだが、一体化しているとしか形容できないシールドのせいで、正面から攻撃できなかった。
この辺りは、もうすぐ投げ技を覚えるはずなので、それで解決できると思う。
またしばらく、普通のゴブリンとのバトルが続いた。
途中で武器を持ったゴブリンもいた。が、鳴き声が普通のゴブリンだった。触鑑定でも「ゴブリン」だった。
そして、運命の出会いを果たした。
ゴブリンボクサー:
Lv: 5
種別: モンスター、ア人
HP: 100%
状態: 敵対
説明: 体術に覚醒したゴブリン。素早いパンチやキックを得意とする。また、自身の傷を癒す術も備えている。
ギャッギャと騒ぎながらパンチやキックを繰り出してきたので、もしや!と思った。掴んで触鑑定したら案の定だった。
「ボクサーか!待っていたぞ。スパーリングしようぜ!」
実は、体術を使う相手とは、しっかりじっくり戦いたいと思っていた。
理由は、体術系技能の育成に必要だからだ。盗んで学べというべきか、自身の系統に近い技能を持つ相手を観察することが、習得条件になっているものがあるのだ。
というわけで、あえて掴む行動は取らずに、お互いにパンチやキックを打ち続けた。
相手を掴んでいないので、普通に攻撃を交わされたり受け止められたりする。だが、それで良い。
相手からのパンチやキックに対しても、受けなどを試みる。あまりうまくいかないが、大部分はそもそも効果が及ばない。
そして、お互いにダメージが積もったら回復…
たまに、横から別のゴブリンに乱入されたりもしたが、てきとうに殴り飛ばして、スパーリングを続けた。一度、ファイターが乱入してきた時は、さすがにちゃんと処理したが。
「おい、ボクサー。俺のパンチはこいつだ!受けてみろ!」
「ギャッギャーッ!」
見え見えの動作で強撃を貯めて宣言してみたら、こいつ、乗ってきたぞ。
そして、お互いの拳がぶつかり合った。まさか合わせてくれるなんて、こいついいやつだ。
「おぅ。満足したぜ!」
「ギャ!ギャーッ!」
そうして、1時間経っただろうか…
スパーリングを終えたのだが、ボクサーはやる気だった。いや、モンスターだから当然か。
なので、スパの成果として習得した投げ技で一気に倒した。
うん。こいつ、強撃や連撃といった純粋物理しか使えないから、足払いからの攻撃とか、魔力拳で戦えばあっさり倒せるんだ。
「ゴブリンボクサーを倒した。経験値を17獲得しました。」
「技能 受身, 不動の守り を獲得しました。」
「称号 下級拳士 を獲得しました。」
いやぁ、欲しかった技能や称号が取れたぞ。
ゴブリンボクサーとのスパーリングもそうだが、合いの手でいろんなゴブリンが入ってきたことも効いているな。
条件はそこそこ満たしていたものもあったのだが、体術の経験が足りていなかったのだ。それを、今回ガッツリと稼ぐことができた。
下級拳士:
効果: 駆け出しの拳士を意味する称号。体術や、気を用いる技能が向上(微)。
称号は、職業であったり、街での活躍などを通して得られるもので、何かしらの効果が永続敵に付くようになる。
今回習得したのは、拳士に関する基礎称号だ。関連する技能を育てていて、且つ、類似した系統の職業を持つ相手から教えを得たり、戦ったりすると開花する。なお、「拳士」に関連する職業を有している場合と、そうでない場合とで、習得の難易度が大きく変わるそうだ。そりゃ、「拳士」なのに、「下級魔法使い」が簡単に生えたら違和感抜群だろう。
受身:
効果: 敵の攻撃を受け流す技能。
不動の守り:
効果: 立ち止まっている時、被ダメージ軽減(小)、ひるみ耐性(小)。
正直、攻撃を受け流す技能は、使う機会は少ないと思う。どこを攻撃されるかわからないことの方が多いからだ。
ただ、この技能が無いと、「拳闘士」の称号が生えないので、今回狙ってみた形。ゴブリンボクサーなら、比較的、攻撃の予測ができるので対応しやすかった。
「不動の守り」は、プレイスタイルに合っている技能だ。立ち止まっていれば物理に強くなる。
なおこちらは、、別の場所で習得する予定だった技能になる。
具体的には、攻撃は重いが速度の遅いゴーレム系モンスターを相手に防御を続ける、という方法を用いる予定だったのだ。
得るものは得られた。メイジやアーチャーなどは未確認だが、あいつら近づいて来ないのでどうにもならない。それに、遠距離から攻撃されているなら無害なのだ。
ということで、交通路に戻り、村へと歩き出した。
なお、その後もゴブリンとの狩をしながら進んだおかげで、レベル8になった。
名前: ユー
種族: ヒューマン
職業: 武僧
性別: 男
称号: [下級拳士], 異界の旅人, 夢見る者
HP: 83%
MP: 27%
状態: なし
所持金: 2750p
満腹度: 35%
レベル: 8
経験値: 65/517
体力: 27
魔力: 18
筋力: 16
防御: 28
精神: 16
知性: 28
敏捷: 3
器用: 5
技能:
適性: 体術8, 魔力拳4, 気留術5, 魔法(土1, 水1)
技術: 触鑑定3, 精神集中1, 受身4
支援: 捕獲握力強化, 逆境を超える心, 不動の守り
耐性: 空腹耐性
特質: 盲人, 鈍感, 効果変化 欠損, 正々堂々
体術: 強撃, 足払, 投落, 連撃, 反撃
気留術: 癒気, 瞑想, 強化
魔力拳: 魔拳, 魔盾
土: 纏土, 集土
水: 纏水, 集水
装備:
獣革のナックル, 銅編の下級武道着, 銅編の革帽子, 獣革の小手, 獣革の靴, 綿布の靴下, 銅の首飾り