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「武具屋に到着しました。入り口はこっちです。」
目的の武具屋に着いたようなので、そのまま入口へ向かう。
すると、ここも木の扉にぶつかった。扉の構造はギルドと同じだった。引っ張って中へ入る。
「いらっしゃい!」
中から野太く、威勢の良さそうな男の声がする。
店の中は石造りのようだった。まぁ武器を扱うので、木だと何かの事故でぶっ壊れるだろう。
「おや?あんたは盲人だな。俺はドンゴラだ。武具作りしているぜ。」
どうやら、この野太い声の男が店員のようだ。
「そうだ。頭防具、あと脚部防具の調達を検討したい。」
「なるほど。よく見せてくんな。」
この声の主はドンゴラと言うらしい。用件を伝えると、近づいてきて、装備に触れて回っていた。触鑑定… ではないだろう。
「ふむ。服、小手は良さそうだな。が、確かに頭と、あと膝か?足も、ちょっと物足りないって感じだな。武器も、通じはするが、といった所か。」
「目利きができるのか?ドンゴラさんの言う通りだ。」
「おぅよ。長年やってっからな。で、どんな感じの装備が欲しい?」
「そうだな。俺は武僧で、拳を主に使っている。装備は、防御寄りにしたい。」
「なるほどな。それだと、今着ているような防具が良さそうだな。防御特化なら鎧や具足だが、アレは体術との相性がちと悪い。」
「やはりか。なら、今着ている感じの装備をアップデートできるようにしたい。」
「そうだな。ちょっと待ってな。」
その後ドンゴラさんは離れてガサゴソ…
そして、以下の装備を持ってきた。
牙鱗のナックル
種別: 武器・ナックル
説明: 牙と鱗を用いて制作された、突起のあるナックル。パンチ力を向上させる。打撃が効きにくい敵にも通りやすい。
価格: 8000p
炎の鉄拳:
種別: 武器・ナックル
説明: 炎鉱石を埋め込んだ魔法のナックル。魔力を込めると炎の力を宿したパンチが可能になる。炎属性の攻撃、魔法などの効果を増幅する。
デメリット: 炎属性魔法の適性を持たない場合、炎以外の属性魔法の精度が低下 (中)
価格: 10500p
甲羅ヘルム:
種別: 防具・兜
説明: 硬亀の甲羅を加工して製作した兜。見た目は良いと言えないが、高い物理防御を誇る。
価格: 6000p
甲鱗の帽子:
種別: 防具・防止
説明: 甲殻や鱗を組み合わせることで、着用性と防御力を両立した帽子。炎、水に対する僅かな耐性もある。
価格: 7500p
水中花の靴下:
種別: 防具・靴下
説明: 水中で花を咲かせる植物の素材を加工して製作された靴下。防御力は低いが、装備者の足を守る魔力が込められている。
価格: 4000p
青銅編の鱗膝当て:
種別: 防具・膝当て
説明: 糸状に加工された青銅と、鱗を用いて制作された膝当て。軽く、柔軟性に優れる。
価格: 8500p
地蛇の鱗靴:
種別: 防具・靴
説明: 地中蛇の鱗をベースに強化した靴。砂地や岩場でも安定した活動が可能になる。
価格: 10000p
いろいろあるようだ。
ドンゴラさんの許可を経た上で、試着して確認していく。
「どれもなかなか良いな。正直、一歩先を行く性能だと思うぞ。」
「そう言ってくれるか!うれしいぜ。」
持ってきてくれた装備は、正直言えば第4マップでも更新が不要なほどに優秀だろう。素材の良い所がしっかり生かされているように感じる。
それと、面白い武器として、「炎の鉄拳」があった。これは、安全な炎属性魔法の習得に使えることが良い。また、鉄のナックルと同程度の攻撃力はあるし、炎属性を少ない消費で使用できるので、相手によって使い分ければMPの節約になるだろう。
また、始まりの街から付き合ってきた靴下についても、新しいものを持ってきてくれた。防御力は無いが、足への衝撃を軽減する効果、回復を促進する効果、それから、熱や溶解に対する耐性を備えた魔法の靴下だった。
「なぁ、この靴下、なんでこんなに安いんだ?魔法のアクセサリーの類だろう?」
「そいつか?少ない量でたくさん作れるからだぜ。あと魔法効果についても、素材の性質そのままだから、俺は特殊なことは何もしていねえんだ。」
ということらしい。まぁ安いなら助かる、というのは本音だ。予想していたことだが、欲しい物を揃えるとけっこうギリギリになりそうだからだ。
あともう一つ… 突っ込んでおきたい物がある。
「それと、甲羅ヘルムが安いのは、見た目の問題なのか?」
「あぁ、そいつな。残念ながらその通りだ。その甲羅ヘルムは硬いし耐久も抜群なんだ。ただ、外装を変えると性能がガッツリ低下しちまうんだよな。」
頭に亀の甲羅… それは確かに強烈だろう。でも、別ゲームのウィキで、頭おかしいんじゃないの?って値段で売られていた装備を思い出す。値段相応の防御力していたなぁ。
だが、実際の所、この甲羅、驚くほど優秀だ。甲鱗の帽子よりも防御、耐久共に高い。そして、なぜか木属性弱体などのデメリットも、重量や行動制限の類も表記されない。
「なるほど。なら、甲鱗の帽子意外を一通り買いたい。どれも必要だからな。」
「おいおい、作った俺が言うのも難だが、甲羅ヘルムでいいのかい?」
「甲鱗の帽子より強いんだろう?なら問題無い。今の俺に必要なのは、ダンジョンを超えられる強さと武具だからな。」
「ダンジョン?あんた、ソロで挑むのか?そいつはお薦めできねぇぞ。だが、ここまで来ているんなら、なるようにはなるってやつか?」
ということで一気に購入。合計48500pなり。
けっこうギリギリだった。胴体装備の更新が無ければ足りなかっただろう。
「これ代金な。」
「おうよ。ただ、装備のサイズ調整をしてやるから、待っているんだぞ。」
「助かる。それと、もらい物なんだが、これのサイズ調整も依頼できるだろうか?」
「あん?新しい武道着な。痛んでるわけじゃなさそうだし、問題無いぜ。ついでにやっちまうから出しといてくれや。」
その後、中級武道着も含め、調整をしてもらった。
ただ、今回は染色はしないことになった。理由の一つは甲羅ヘルムだ。なぜか染色すると性能が落ちるらしい。
それと、呪いを浄化したことで手に入れた聖銀の小手も染色NGだった。これは、防具としての格が高過ぎて、この街の薬品だと弾かれるのだと言う…
店を出ると、時刻は 16:23 だった。
これから外に行くのは無理だろう。資金も少ないので、街巡りも厳しい。
ということで、ナビーにギルドに掲載されていた依頼を問い合わせる。すると、薬草の仕分けクエストがあった。しかも安価ではあるが現物ではなく現金が出るそうだ。
さっそくギルドに戻り受注、薬草仕分けを行なった。
「え?あの、ユーさんでしたよね?そ その、頭は…」
と職員に驚かれもした。「必要だから新調した」という返答をしてみた所、「必要なのはわかりますが、街中では脱いだ方が良いと思いますよ」と言われてしまった。確かにオート装備でパージできるのだから、街中で甲羅をかぶる必要は無かったかもしれない。
こうして、資金も心もとないので、いったん街の探索は終わりにした。明日は、周辺で狩をしよう。
俺は、ギルドで夕食を取り、ログアウトした。残金2桁… 本当にギリギリだな。
名前: ユー
種族: ヒューマン
職業: 武僧
性別: 男
称号: [下級武僧], 異界の旅人, 夢見る者, 第2マップ突破者
HP: 89%
MP: 63%
状態: なし
所持金: 70p
満腹度: 95%
レベル: 13
経験値: 710/1359
体力: 34
魔力: 23
筋力: 20
防御: 36
精神: 20
知性: 36
敏捷: 4
器用: 6
技能:
適性: 体術11, 魔力拳7, 気留術7, 魔法(土5, 水6, 木2)
技術: 触鑑定6, 精神集中3, 受身6
支援: 捕獲握力強化, 逆境を超える心, 不動の守り
耐性: 空腹耐性
特質: 盲人, 鈍感, 効果変化 欠損, 正々堂々
体術: 強撃, 足払, 投落, 連撃, 反撃, 掴撃
気留術: 癒気, 瞑想, 強化, 帰療, 浄気
魔力拳: 魔拳, 魔盾, 爆拳
土: 纏土, 集土, 土槍
水: 纏水, 集水, 水槍
木: 纏緑, 育緑
装備:
牙鱗のナックル, 中級武道着, 甲羅ヘルム, 聖銀の小手, 青銅編の鱗膝当て, 地蛇の鱗靴, 水中花の靴下, 守り石の首飾り, 緑石の指輪