04-05 S3 港町へ続く野道

改定:

本文

「ユー様、おはようございます。」

「おはよう。今日は野道に出て狩るぞ。先導を頼む。」

ゲーム内時間7:33。ログインしたので、さっそく外へ向かう。

「S3 港町へ続く野道に入りました。」

入ってきた道を引き返すように、街の北門から外に出て、北上する。

「ナビー。この交通路から西にある浜に近づきたいが、それは可能なんだよな?」

「はい。西に進むと浜があります。浜までの道はなだらかな坂となっているため、歩いて行くことは可能です。」

「そうか。浜までの道は、砂地なのか?草むらや穴、木などはあるのか?」

「現在地付近には草むらや土の地面があります。浜に近づくと、地面が砂地のみに変わります。木や穴はありません。」

ナビーに確認した結果、遭遇する可能性のあるモンスターも把握できた。事前に調べておいたからな。

では、さっそく行くとしよう。

そう思い、交通路の境界にある草むらに足をかけようとして… ぷにっとした何かを踏んだ。

「いきなりだな!」

俺は急いで纏土を準備し、足元に向けて爆拳を放った。

結果、泥が飛び散る炸裂音、そして足元からそいつは離れた。ダメージは7割程度だろう。

スライム:

種別: モンスター・スライム

レベル: 11

HP: 28%

状態: 敵対

説明: 粘体系のモンスター。草むらに潜み、近づいた物を飲み込もうとする。

続いて、土槍を準備。ただし、踏み込むことはしない。

草むらにスライムが一匹という保証は無い。下手に踏み込んで2匹に群れられたら、手遅れになる場合もあるのだ。

そして、基本的に近くで待っていた場合、敵対したスライムは自ら寄ってくるが、未発見のスライムは動かない。つまり、1匹だけを釣り出すことが可能である。

そうやって待っていると、足に何かが乗ってきた。俺は土槍を打ち付けた。

「スライムを倒した。経験値29を獲得しました。」

予定通り、倒すことができた。ダメージも受けていない。

というわけで改めて草むらに向かった所、やはりというか、またぷにっとした感触。ついでに後ろから何かがぽふってなって、それが落ちて来た。ラッシュバードもセットなようだ。

とりあえず、スライムを爆拳で殴り飛ばした。その後、ピーピー鳴いていたラッシュバードを通常攻撃でボコボコ…

その間に、足に絡みついてきていたので、準備していた土槍ドリルパンチで迎撃。

「スライム, ラッシュバードを倒した。経験値49を獲得しました。」

MPの消費が少し激しかったので、瞑想する。

本当は、土槍を使うのはもったいない。ただ、クールタイムの問題があるため、仕方なく使っている。纏水うや纏木は、スライムには効きが弱いのだ。

そういう意味では、購入した炎の鉄拳を早く活用したい。ただ、まだ戦闘で使えるほどには制御できていないのだ。

とりあえず、回復もそこそこできたので、再び草むらに踏み出そうとして…

またぷにった。今日はスライム大当たりの日かもしれない。

ただ、今回は纏土からの爆拳を打ち込んだ所、HP85%以上を削れた。なので、纏緑からの拳だけで倒すことができた。

とりあえず、何匹でも来い!という思いで、再度踏み込んだ所、もうぷにっとしたものは感じなかった。

どうやら3匹でおしまいのようだった。いや、スライム以外の普通のモンスターと戦いたかったので、喜ばしいことなんだけどな。

そうして進んでいくと、地面が砂になった。これで、帰り道はともかく、スライムは無くなった。

そんな俺を祝福はしていないだろうが、モンスターが飛び掛かってきた。

「ブォォォッ!」

と正面からだったが受け止めることに成功。強撃を打ち込んで吹き飛ばす。

「ヴヒーッ!」

シーボア:

種別: モンスター・獣

レベル: 10

HP: 61%

説明: 海のあるエリアを走り回っている猪種。砂でも転ばない特殊な足の構造をしている。肉は脂が少なく食べやすい。

直後、右からもぶつかられたが、これは不意打ちが強く出て衝撃なし。掴撃で吹き飛ばした。

その間に横から噛みつこうとして、牙が刺さらないボア発見。さっきのボア、復帰早いな。纏緑からの連撃で攻める。

「ブヒッ、ブヒッ、ブヒッ、ブヒッ!」

木属性が弱点だったこともあり、シーボアの一匹は4打目で砕け散った。

そして、空振りになる予定だった一発が、たまたま残りのボアにぶつかった。

「ブヒッ!」

距離が離れていたのでダメージは高くは出なかったが、突進が止まった上に声を挙げたことで位置が判明。俺はボアを掴み、投落をたたき込んだ。

「ブッヒーーーッ!」

「シーボアたちを倒した。経験値65を獲得しました。」

無事に倒せたようだ。ただ、シーボアは、この浜辺をけっこうな速度で徘徊しているらしいので、またどこからともなく沸いてくるだろう。

とりあえず、もう少し海の方へ近づいていく。

その後、シーボアを2匹、ラッシュバードを2匹倒した。そして、次に襲ってきたのは…

「ゲコゲッコーッ!」

カエルの水鉄砲だった。歩いていたらゲコゲコ声が聞こえて、その後、近くの砂が水びたしになっていた。

「ゲコーッ!」

再び水をかけられたが、声がしたことで位置判明。纏緑の爆拳を打ち込んだ。

アシッドフロッグ

種別: モンスター・水生

レベル: 12

HP: 39%

説明: 体内で生成した酸を吐き出してくる巨大カエル。夜になると集団で活動することがある。

「ゲコゲッコーッ!」

吹き飛んだカエルが、飛び掛かってきた。鳴き声が長くて位置が割れているので、直撃するだろう。とりあえず、土槍ドリルパンチで迎撃する。

「ゲコーッ」

「アシッドフロッグを倒した。経験値34を獲得しました。」

そのままドリルパンチに刺さり、アシッドフロッグは消えてしまった。飛びつこうとしたら前方から槍が生えてきたのだ、仕方なかろう…

そんな戦いを経て、俺は、海の近くまでやってきた。

ちゃんと、波が砂に打ち付けられ、小粒の砂を舞い上げたり流したりしているのが聞こえる。

今立っている場所も、潮の満ち引きによっては海中にある部分であるらしく、湿って硬くなっている。

ちなみに、このマップだと海の中にもモンスターはいる。が、首が浸かる程度まで海に入らなければ遭遇することはできない。

また、海の水は苦手なのか、シーボアもアシッドフロッグもここまでやってこない。ラッシュバードは来るが、もはや拝啓となってしまっている。

ただし、一匹だけ、この限られた領域で遭遇できるモンスターがいる。はずなのだが、今日は出てきてくれないようだ。まぁ通常だと探知技能で探す必要のあるヤツだからな。

ここまで来たので、ちょっと実験…

集水で水を手のひらの上に集めてみた。そして触鑑定を行なう。

薄い海水:

種別: 水

説明: 海などで採取できる塩分を含んだ水を薄めたもの。飲用はできるが喉が渇くので推奨できない。

続いて、この水に浄気を使ってみる。

澄んだ薄い海水:

種別: 水

説明: 海などで採取できる塩分を含んだ水を薄めたもの。飲用はできるが喉が渇くので推奨できない。

集水の魔法で出てくる水は、あくまでも周辺から少しずつ集めて固めたものだ。故に、海で使えば海水に近くなる。空気中の水分も含んでいるため、海水100%ではないようだが…

つまり、飲み水として活用する場合には、水を濾過する手段は必要なようだ。

そして、浄化効果のある浄気を使うと、水の不純物は減らせるが、塩分は消えないようだ。

そう思うと、先日の水洗作業を思い出す。まぁ、薬草をしみ込ませた布で擦った時の汚れの落ちを良くする用途だったので、「濡らす」ための水だったわけだが…

なおこの件は、まとめウィキでも「飲用できる水が欲しいなら持ち歩け」とされている。飲み水を生み出す手段自体はあるのだが、生産系技能や機材が必要、MPがもったいない、料理人から買うと安くて美味しい、などの事情があるからだ。

とりあえず、浜辺エリアで遭遇するモンスターは全てだったはずだ。

夜になると出てくるヤツもいるのだが、俺は夜に徘徊する予定は無いので、今日はこいつらを狩ることになるだろう。すでに、遠くでブヒブヒ言ってるのが聞こえている。

ということで、俺は砂地を徘徊して、モンスターハントに興じた。

それから5時間が経過し、現在15時…

「ブッヒー!」

燃える拳と言っても良いほど赤くなった拳の一撃を受けたシーボアがまた一匹倒れた。

炎の鉄拳の扱いに慣れて来たこともあり、シーボアやラッシュバードを焼くのに活躍している。なお、アシッドフロッグは熱耐性があるので牙鱗のナックルで倒している。

この辺り、普通にモンスターが2~3匹くらい出てくるので、狩がとても捗っている。おかげで、レベルは15になり、技も新たに3つ習得した。

腕刃: 腕全体に魔力の刃を纏わせる。斬撃や刺突が可能。

石縛: 自身、または触れた対象に石を纏いつかせる。自身に使用すると防御上昇、対象に使うと行動阻害になる。

緑槍: 自然の力を槍状に加工。魔力拳下では拳の前方に固定される。

まず、以前、話に挙げた、腕に魔力を纏わせて振り回す術を得た。これにより、体術でナチュラルに斬撃や刺突が可能になったと言える。ただし、腕を伸ばして使うことが前提なので、投げ技との相性が良くない。

次に、土属性魔法の需要があった影響で、補助魔法「石縛」を習得した。この魔法は、相手を石化させる魔法ではあるが、その手段は「小石を集積する」という物理的な手段である。このため、行動を邪魔したり、自分や味方の防御を高めたりする手段として活用される。

最後の「緑槍」は、木属性版ドリルパンチだ。木のドリルだと魔法ぽくないからなのか、自然の力という謎エネルギーになっている。

ということで、今日は街に帰ることにした。

なお帰り道でも、ボアが突進してきたり、スライムをぷにってやったり、ラッシュバードが落ちてきたりしていた。