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「着いた。ここが、ギルド推奨の錬金術店だよ。」
というわけで、本日最後の目的地、錬金術店に到着した。
「ん?この街、錬金術店は1つしか無いと聞いたのだが…」
「あぁ、推奨店はここだけってことだね。他にも2件ほどあるけれど、ギルドとして人に勧めるには、まだちょっと足りないかな。」
旅人や商人が行き交う街には、多くの店もある。その中で、本当に実力があるという店を、ギルドで紹介しているのだろう。
「いやいや、リーネちゃん?あなたの基準で測るのは厳し過ぎると思うわよ。」
「あぁ、セラさん聞こえていたの。ずいぶん耳がいいね。」
「店の前で話をしていたら聞こえるでしょうに。」
「それもそうだね。それで、今いいかな?お客さん連れて来たんだ。」
店の方から推定店員と思われる女性の声がしている。そして、リーネさんとは仲が良さそうだ。お仕事関係だろうか?
「あぁ、そっちの人ね。いいよ、入ってきて。」
「じゃ、ユーさん、入るよ。」
リーネさんに引っ張られて店に入った… と思う。空気が屋内っぽいからな。
声が通っていたことで感じていたが、たぶんこの店には扉が無い。潮風は大丈夫なのだろうか?あと床も木だが、大丈夫なのだろうか?
「いらっしゃい。そちらの方は初めましてね。」
「あぁ、冒険者のユーだ。」
「私はセラよ。あれ?何か気になることがあるって顔ね?」
「そうだな。お仕事とは関係ないと思うが聞いて良いか?」
「いいわよ。」
「この店、扉を設置していないし、床も木床だと思うのだが、潮風は大丈夫なのだろうか?と思ってな。」
「あら、錬金術に興味ある感じかな?魔道具を設置して、潮風など外からの刺激を弾くようにしているのよ。錬金で作った物の中には、デリケートな品もあるからね。」
「あぁ、なるほど。木床なのに砂粒っぽさを感じなかったのは、そういうことだったのか。それで、入り口は開けていて大丈夫と…」
「そうそう。入ってくる時に違和感を感じたなら、それは魔道具の影響だから簡便してね。生物に害は出ないから。」
話を聞いて納得した。同時に、無対策で小屋を建てると、入り口が砂まみれになるなど、このゲーム世界、変な所でリアル準拠にしていると感じた。
ただ、ここまでやるのは、扱っている商品がデリケートな場所、錬金や調薬関係のお店だけらしい。それと、商人ギルドで購入できる露店セットにも、この魔道具の簡易版が搭載されていることも教えてもらった。料理に砂や潮風が入らないように、とのことだ。
「話戻すね。この人は盲人なんだ。ダンジョン攻略に向けて、いろいろ物資を集めているんだよ。」
「なるほどね。でもリーネちゃんほどの人がわざわざ手伝うなんて、不思議なこともあるのね。」
「まぁね。ちょっと訳ありなんだ。」
リーネさん、さすがに上級鑑定で起こった悲劇については語りたくないようだ。いや、ある種の機密事項なので語れない、というのが正しいだろうか?
とりあえず俺から話を進めるとしよう。
「10日ほど前にこの街へ来た冒険者だ。いくつかやりたいことがあって、ダンジョン攻略はその一つだな。それで、必要な物資を揃えるためにギルドへ協力を依頼した結果、リーネさんに手伝ってもらえているんだ。」
「へぇ~。リーネちゃんと繋がるなんて、なかなか凄いことよ。この子、この街でトップの鑑定や直感技能持ちなんだから。」
「そうらしいな。実際、食料の調達時に助かったよ。」
「ふ~ん、歳相応に落ち着いている感じね。リーネちゃんって、けっこうかわいいのよ?」
「かわいいね。確かにそう思う。俺は、人生を楽しんでいる人だと思ったぞ。」
「ふ~ん。ユーさんはそんな風に見ていたんだね。それとセラさん、本人の前でそんなことを聞くのは関心できないな~。」
「アハハ、ごめんごめん。それで、何をお求めかな?」
というわけで、ポーション類、浄水筒などについて聞いてみたら、一通り持ってきてくれた。以下が例の浄水筒だ。
浄水筒(小):
種別: 錬金具・飲料
説明: 液体を浄化して飲み水に変える不思議な水筒。見た目よりも多くの水を入れて持ち運ぶことができる。容量は大樽1個分。
価格: 12000p
浄水筒(中):
種別: 錬金具・飲料
説明: 液体を浄化して飲み水に変える不思議な水筒。見た目よりも多くの水を入れて持ち運ぶことができる。容量は大樽4個分。
価格: 30000p
高級浄水筒(小):
種別: 錬金具・飲料
説明: 液体を浄化して飲み水に変える不思議な水筒。見た目よりも多くの水を入れて持ち運ぶことができる。容量は大樽1個分。通常品より高品質の水が得られる。
価格: 22000p
手で触れてみた感じは、まとめウィキに書かれていた通りの水筒だった。「浄水筒(中)」でもそれは変わらない。
また、せっかくなのでそれぞれの水について味見をさせてもらった。どれもミネラルウォーターみたいな感じの味だったので、ウィキにある「美味しい」は間違っていないだろう。ただ、俺には味の違いはわからなかった。
「ユーさんはソロだよね?それなら、普通の小で良いと思うな。」
「そうだな。大樽1個分もあれば、十分だと思う。それに、正直、俺には味の違いがわからなかった。」
「ユーさんが味を気にしないなら、普通の小でいいと思うわよ。品質10段階の4と5だと味覚強化系の技能が無いとわからないから。生産職なら気にするべきだけど、ダンジョンに挑む冒険者がこだわる必要は無いわ。」
というわけで、「浄水筒(小)」を手に入れた。後で、てきとうに水を注いでおこう。
その後、俺とリーネさんはギルドへ戻り分かれた。
「今日は助かった。」
「ダンジョンかぁ。気をつけてね。正直、盗難防止の指輪まで準備しているユーさんが死ぬとは思わないけどさ。」
「そんなことは無いぞ。俺にはどうすることもできないギミックもあるからな。閉じ込め式スライムプールとか、海底とか…」
「それ、ユーさんじゃなくても死んじゃうやつだからね。私だって生き残る自信は無いかな。」
こうして、必要な準備が整ったと思う。あとは運に祈りつつ、明日から、ダンジョンへ挑もう。
そうだ。先日までの性かで、俺自身もけっこう変わったぞ。
名前: ユー
種族: ヒューマン
職業: 武僧
性別: 男
称号: [下級武僧], 異界の旅人, 夢見る者, 第2マップ突破者
HP: 100%
MP: 100%
状態: なし
所持金: 4370p
満腹度: 100%
レベル: 18
経験値: 0/2688
体力: 47
魔力: 30
筋力: 30
防御: 47
精神: 25
知性: 47
敏捷: 8
器用: 8
技能:
適性: 体術13, 魔力拳9, 気留術9, 魔法(土8, 水6, 木8, 炎6)
技術: 触鑑定7, 精神集中9, 受身6, 疾駆6, 安定移動12, 遊泳8
支援: 捕獲握力強化, 逆境を超える心, 不動の守り, 海の心
耐性: 空腹耐性, 柔軟
特質: 盲人, 鈍感, 効果変化 欠損, 正々堂々
体術: 強撃, 足払, 投落, 連撃, 反撃, 掴撃
気留術: 癒気, 瞑想, 強化, 帰療, 浄気
魔力拳: 魔拳, 魔盾, 爆拳, 腕刃, 伝衝
土: 纏土, 集土, 土槍, 石縛
水: 纏水, 集水, 水槍, 水縛
木: 纏緑, 育緑, 緑槍, 弦縛
炎: 纏炎, 着火, 炎槍, 熱縛
装備:
牙鱗のナックル, 中級武道着, 甲羅ヘルム, 聖銀の小手, 青銅編の鱗膝当て, 地蛇の鱗靴, 水中花の靴下, 守り石の首飾り, 緑石の指輪
まず、資金稼ぎのために狩も続けたことで、レベル18になった。このマップでは上限レベルである。
次に、予定通り炎属性魔法を習得。これでゴーストもスライムも狩れると思っていたら、貫通属性の「伝衝」が来てしまった。スライムはこっちで十分なんだよな。
最後に、走り続けて「疾走」が「疾駆」に進化、さらに海水浴の成果として「柔軟」と「海の心」を習得した。
疾駆:
説明: 必要な時、瞬時に最高速度で駆け抜ける技術。レベルに応じて、加速が早まり、走行中のスタミナ消費を削減。筋力、敏捷が増加(微)
柔軟:
説明: 耐性の一種。打撃耐性(微)、投げ技耐性(小)
海の心:
説明: 海に親しんだことで授かった祝福の一種。水属性耐性(微)、呼吸時間増加(小)、体力、防御、知性が増加(微)
各種技能習得の成果として、能力値が増加した。敏捷はついでに増えた。
あとは技もいろいろ習得できたので触れておこう。
伝衝: パンチの衝撃を相手の内側へ伝える。物理や打撃耐性を貫通。スライムやカエルなどに効果絶大。
水縛: 水の膜を纏わせる。自身に使うと熱耐性や知性上昇。相手に使うと筋力低下や沈黙。
纏炎: 炎の力を拳に纏う。手が燃えることは無い。
着火: 火種を出して着火する。着火地点に注意しないと、変な所が燃える。
炎槍: 炎属性版ドリルパンチ。これも手は燃えない。
熱縛: 炎の膜を纏わせる。自身に使うと筋力や精神上昇、相手に使うと燃焼効果。着火にも使えるが危険。
弦縛: 手から弦が出てくる。自身に使うと身動きが取れない代わりに、HPや状態異常への回復促進、隙間だらけだが網のように巻けば壁に使える。相手に使うとマヒと行動阻害。
インベントリー (通常アイテム):
ポーション X 15
MPポーション X 25
解毒ポーション X 5
安定ポーション X 5
魔払ポーション X 5
高級携帯食 X 15
串焼き X 15
魔力パン X 15
ドライフルーツ X 5
テント X 10
煙玉 X 10
虫避け薬 X 10
脱出の札 X 1
布マスク X 3
浄水筒(小) X 1
インベントリー (貴重品):
冒険者証 X 1
インベントリー (装備品):
柔木の杖 X 1
樫の杖 X 1
炎の鉄拳 X 1
盗難防止の指輪 X 1
耐海武術着 X 1