04-09 錬金術店で最後の準備

改定:

本文

「着いた。ここが、ギルド推奨の錬金術店だよ。」

というわけで、本日最後の目的地、錬金術店に到着した。

「ん?この街、錬金術店は1つしか無いと聞いたのだが…」

「あぁ、推奨店はここだけってことだね。他にも2件ほどあるけれど、ギルドとして人に勧めるには、まだちょっと足りないかな。」

旅人や商人が行き交う街には、多くの店もある。その中で、本当に実力があるという店を、ギルドで紹介しているのだろう。

「いやいや、リーネちゃん?あなたの基準で測るのは厳し過ぎると思うわよ。」

「あぁ、セラさん聞こえていたの。ずいぶん耳がいいね。」

「店の前で話をしていたら聞こえるでしょうに。」

「それもそうだね。それで、今いいかな?お客さん連れて来たんだ。」

店の方から推定店員と思われる女性の声がしている。そして、リーネさんとは仲が良さそうだ。お仕事関係だろうか?

「あぁ、そっちの人ね。いいよ、入ってきて。」

「じゃ、ユーさん、入るよ。」

リーネさんに引っ張られて店に入った… と思う。空気が屋内っぽいからな。

声が通っていたことで感じていたが、たぶんこの店には扉が無い。潮風は大丈夫なのだろうか?あと床も木だが、大丈夫なのだろうか?

「いらっしゃい。そちらの方は初めましてね。」

「あぁ、冒険者のユーだ。」

「私はセラよ。あれ?何か気になることがあるって顔ね?」

「そうだな。お仕事とは関係ないと思うが聞いて良いか?」

「いいわよ。」

「この店、扉を設置していないし、床も木床だと思うのだが、潮風は大丈夫なのだろうか?と思ってな。」

「あら、錬金術に興味ある感じかな?魔道具を設置して、潮風など外からの刺激を弾くようにしているのよ。錬金で作った物の中には、デリケートな品もあるからね。」

「あぁ、なるほど。木床なのに砂粒っぽさを感じなかったのは、そういうことだったのか。それで、入り口は開けていて大丈夫と…」

「そうそう。入ってくる時に違和感を感じたなら、それは魔道具の影響だから簡便してね。生物に害は出ないから。」

話を聞いて納得した。同時に、無対策で小屋を建てると、入り口が砂まみれになるなど、このゲーム世界、変な所でリアル準拠にしていると感じた。

ただ、ここまでやるのは、扱っている商品がデリケートな場所、錬金や調薬関係のお店だけらしい。それと、商人ギルドで購入できる露店セットにも、この魔道具の簡易版が搭載されていることも教えてもらった。料理に砂や潮風が入らないように、とのことだ。

「話戻すね。この人は盲人なんだ。ダンジョン攻略に向けて、いろいろ物資を集めているんだよ。」

「なるほどね。でもリーネちゃんほどの人がわざわざ手伝うなんて、不思議なこともあるのね。」

「まぁね。ちょっと訳ありなんだ。」

リーネさん、さすがに上級鑑定で起こった悲劇については語りたくないようだ。いや、ある種の機密事項なので語れない、というのが正しいだろうか?

とりあえず俺から話を進めるとしよう。

「10日ほど前にこの街へ来た冒険者だ。いくつかやりたいことがあって、ダンジョン攻略はその一つだな。それで、必要な物資を揃えるためにギルドへ協力を依頼した結果、リーネさんに手伝ってもらえているんだ。」

「へぇ~。リーネちゃんと繋がるなんて、なかなか凄いことよ。この子、この街でトップの鑑定や直感技能持ちなんだから。」

「そうらしいな。実際、食料の調達時に助かったよ。」

「ふ~ん、歳相応に落ち着いている感じね。リーネちゃんって、けっこうかわいいのよ?」

「かわいいね。確かにそう思う。俺は、人生を楽しんでいる人だと思ったぞ。」

「ふ~ん。ユーさんはそんな風に見ていたんだね。それとセラさん、本人の前でそんなことを聞くのは関心できないな~。」

「アハハ、ごめんごめん。それで、何をお求めかな?」

というわけで、ポーション類、浄水筒などについて聞いてみたら、一通り持ってきてくれた。以下が例の浄水筒だ。

浄水筒(小):

種別: 錬金具・飲料

説明: 液体を浄化して飲み水に変える不思議な水筒。見た目よりも多くの水を入れて持ち運ぶことができる。容量は大樽1個分。

価格: 12000p

浄水筒(中):

種別: 錬金具・飲料

説明: 液体を浄化して飲み水に変える不思議な水筒。見た目よりも多くの水を入れて持ち運ぶことができる。容量は大樽4個分。

価格: 30000p

高級浄水筒(小):

種別: 錬金具・飲料

説明: 液体を浄化して飲み水に変える不思議な水筒。見た目よりも多くの水を入れて持ち運ぶことができる。容量は大樽1個分。通常品より高品質の水が得られる。

価格: 22000p

手で触れてみた感じは、まとめウィキに書かれていた通りの水筒だった。「浄水筒(中)」でもそれは変わらない。

また、せっかくなのでそれぞれの水について味見をさせてもらった。どれもミネラルウォーターみたいな感じの味だったので、ウィキにある「美味しい」は間違っていないだろう。ただ、俺には味の違いはわからなかった。

「ユーさんはソロだよね?それなら、普通の小で良いと思うな。」

「そうだな。大樽1個分もあれば、十分だと思う。それに、正直、俺には味の違いがわからなかった。」

「ユーさんが味を気にしないなら、普通の小でいいと思うわよ。品質10段階の4と5だと味覚強化系の技能が無いとわからないから。生産職なら気にするべきだけど、ダンジョンに挑む冒険者がこだわる必要は無いわ。」

というわけで、「浄水筒(小)」を手に入れた。後で、てきとうに水を注いでおこう。

その後、俺とリーネさんはギルドへ戻り分かれた。

「今日は助かった。」

「ダンジョンかぁ。気をつけてね。正直、盗難防止の指輪まで準備しているユーさんが死ぬとは思わないけどさ。」

「そんなことは無いぞ。俺にはどうすることもできないギミックもあるからな。閉じ込め式スライムプールとか、海底とか…」

「それ、ユーさんじゃなくても死んじゃうやつだからね。私だって生き残る自信は無いかな。」

こうして、必要な準備が整ったと思う。あとは運に祈りつつ、明日から、ダンジョンへ挑もう。

そうだ。先日までの性かで、俺自身もけっこう変わったぞ。

名前: ユー

種族: ヒューマン

職業: 武僧

性別: 男

称号: [下級武僧], 異界の旅人, 夢見る者, 第2マップ突破者

HP: 100%

MP: 100%

状態: なし

所持金: 4370p

満腹度: 100%

レベル: 18

経験値: 0/2688

体力: 47

魔力: 30

筋力: 30

防御: 47

精神: 25

知性: 47

敏捷: 8

器用: 8

技能:

適性: 体術13, 魔力拳9, 気留術9, 魔法(土8, 水6, 木8, 炎6)

技術: 触鑑定7, 精神集中9, 受身6, 疾駆6, 安定移動12, 遊泳8

支援: 捕獲握力強化, 逆境を超える心, 不動の守り, 海の心

耐性: 空腹耐性, 柔軟

特質: 盲人, 鈍感, 効果変化 欠損, 正々堂々

体術: 強撃, 足払, 投落, 連撃, 反撃, 掴撃

気留術: 癒気, 瞑想, 強化, 帰療, 浄気

魔力拳: 魔拳, 魔盾, 爆拳, 腕刃, 伝衝

土: 纏土, 集土, 土槍, 石縛

水: 纏水, 集水, 水槍, 水縛

木: 纏緑, 育緑, 緑槍, 弦縛

炎: 纏炎, 着火, 炎槍, 熱縛

装備:

牙鱗のナックル, 中級武道着, 甲羅ヘルム, 聖銀の小手, 青銅編の鱗膝当て, 地蛇の鱗靴, 水中花の靴下, 守り石の首飾り, 緑石の指輪

まず、資金稼ぎのために狩も続けたことで、レベル18になった。このマップでは上限レベルである。

次に、予定通り炎属性魔法を習得。これでゴーストもスライムも狩れると思っていたら、貫通属性の「伝衝」が来てしまった。スライムはこっちで十分なんだよな。

最後に、走り続けて「疾走」が「疾駆」に進化、さらに海水浴の成果として「柔軟」と「海の心」を習得した。

疾駆:

説明: 必要な時、瞬時に最高速度で駆け抜ける技術。レベルに応じて、加速が早まり、走行中のスタミナ消費を削減。筋力、敏捷が増加(微)

柔軟:

説明: 耐性の一種。打撃耐性(微)、投げ技耐性(小)

海の心:

説明: 海に親しんだことで授かった祝福の一種。水属性耐性(微)、呼吸時間増加(小)、体力、防御、知性が増加(微)

各種技能習得の成果として、能力値が増加した。敏捷はついでに増えた。

あとは技もいろいろ習得できたので触れておこう。

伝衝: パンチの衝撃を相手の内側へ伝える。物理や打撃耐性を貫通。スライムやカエルなどに効果絶大。

水縛: 水の膜を纏わせる。自身に使うと熱耐性や知性上昇。相手に使うと筋力低下や沈黙。

纏炎: 炎の力を拳に纏う。手が燃えることは無い。

着火: 火種を出して着火する。着火地点に注意しないと、変な所が燃える。

炎槍: 炎属性版ドリルパンチ。これも手は燃えない。

熱縛: 炎の膜を纏わせる。自身に使うと筋力や精神上昇、相手に使うと燃焼効果。着火にも使えるが危険。

弦縛: 手から弦が出てくる。自身に使うと身動きが取れない代わりに、HPや状態異常への回復促進、隙間だらけだが網のように巻けば壁に使える。相手に使うとマヒと行動阻害。

インベントリー (通常アイテム):

ポーション X 15

MPポーション X 25

解毒ポーション X 5

安定ポーション X 5

魔払ポーション X 5

高級携帯食 X 15

串焼き X 15

魔力パン X 15

ドライフルーツ X 5

テント X 10

煙玉 X 10

虫避け薬 X 10

脱出の札 X 1

布マスク X 3

浄水筒(小) X 1

インベントリー (貴重品):

冒険者証 X 1

インベントリー (装備品):

柔木の杖 X 1

樫の杖 X 1

炎の鉄拳 X 1

盗難防止の指輪 X 1

耐海武術着 X 1