05-11 成長した俺たちと新しいダンジョン

改定:

本文

ルーカスとの森通いを始めた日から3日ほど経過した。

途中、ルーカス自身の畑の世話があったり、ギルドでの依頼をこなしたりして過ごした。なので、森に通ったのは2回だったりする。

おかげで、ルーカスもレベル12に到達した。

それと、ルーカスが自分の畑で作業している時に、俺はソルットに転移して、物資の補給や、技能の育成を進めた。特に光属性魔法は、森のモンスターとの相性が悪かったのだ。

その成果として、俺のステータスは以下の通りになった。

名前: ユー

称号: [ダンジョン踏破者], 下級武僧, 異界の旅人, 夢見る者, 第2マップ突破者

レベル: 20

体力: 51

魔力: 33

筋力: 36

防御: 51

精神: 27

知性: 51

敏捷: 9

器用: 12

技能:

適性: 体術18, 魔力拳15, 気留術15, 魔法(土12, 水13, 木12, 炎13, 光8)

技術: 触鑑定10, 精神集中13, 受身15, 疾駆11, 安定動作3, 遊泳11

支援: 捕獲握力強化, 逆境を超える心, 不動の守り, 海の心

耐性: 空腹耐性, 柔軟, 即死抵抗, 物理抵抗

特質: 盲人, 鈍感, 効果変化 欠損, 正々堂々, 真理

体術: 強撃, 足払, 投落, 連撃, 反撃, 掴撃, 飛蹴, 突撃

気留術: 癒気, 瞑想, 強化, 帰療, 浄気, 陣気, 活気

魔力拳: 魔拳, 魔盾, 爆拳, 腕刃, 伝衝, 破魔

土: 纏土, 集土, 土槍, 石縛, 石波

水: 纏水, 集水, 水槍, 水縛, 水波

木: 纏緑, 育緑, 緑槍, 弦縛, 緑波

炎: 纏炎, 着火, 炎槍, 熱縛, 炎波

光: 纏光, 集光, 光槍

「活気」は、「癒気」と違い、即効性のあるHP回復技だ。回復量も大きいのだが、消費が大きいのとクールタイムが長いのが欠点である。

「光槍」は、当然のようにドリルパンチだ。ちょっと違うが、打突という意味では一種の「聖拳突き」ができるようになったぞ。

あと、「光縛」の習得アナウンスは出たのだが、直後に「真理 の効果によって削除されました」と言うアナウンスが出た。この魔法、幻影を用いて相手の視覚を惑わすものだからだろう。

その他では、触鑑定がレベル10になり、復元鑑定の有効範囲が広がった。30秒以内に触れた物を参照できる鑑定だったが、複数の物に触れていた場合に、選択ができるようになった。正直、使いどころは、あまり無さそうだけどな。

受身の成長と物理抵抗は、ソルットのギルド地下訓練場で育てた… いや、育てさせられたものだ。野道で光魔法を訓練したので、その過程で貯まったラッシュバード素材を卸しにいったことが悲劇の始まりだった。

「ま~た、こんなに狩ってきて。ギルドとしては助かるけれど、挨拶する乗りで狩って来なくてもいいんだよ?」

「光魔法を習得できたのでその訓練だ。今はヒッツの森なんだが、あそこじゃ相性悪くてな。迷いの森までに育てておきたいんだ。」

「あ~、東行っているんだね~。訓練で思い出したのだけれど。私も体術の訓練したいから、手伝ってよ。」

「体術の訓練?必要なのか?」

「ゴーレムとは別件で、最近必要になってね~。それに、ユーさん、訓練は好きそうだし。」

「まぁ、時間はあるからかまわないぞ。ただ、レベル隊が違い過ぎる。水晶の洞窟や漁師の浜に挑む拳士の方が適切じゃないか?」

「それが、そうでもないんだよ。防御が足りないというか、素早いんだけど足りないというか…」

「俺はどっちも足りてないと思うぞ。」

「大丈夫大丈夫。ユーさんは私が知る誰よりも硬いから。ゴーレムのパンチを直受けできる人なんていないし。」

だそうだ。ただね、あの人、筋力も敏捷もめっちゃ高いんだ。

そして、わざわざ、技も攻撃部位も宣言してから打ち込んできた。そうなると、不意打ちでなくなるから、全力で耐えて回復するしかないわけで…

結果として、俺は死に戻りしてもおかしくないほどにボッコボコにされた。体術じゃなかったら普通に死んでいただろう。

おかげで、「物理抵抗」が生えたし、体術も受身も気留術も急激に育った。なお、本来の目的である彼女の体術訓練になったのかは謎だ。

いや、「活気」と「物理抵抗」が得られたのがギリギリだった。HP3%まで減らされたからな。

物理抵抗:

説明: 耐性の一種。物理攻撃のダメージを軽減する。軽減料は、一定時間内に受けた物理攻撃の数に応じて増していく。

これは、「物理耐性」の前に習得できる劣化版の技能だ。攻撃速度の速いモンスターや、モンスター複数に包囲されている時にはそれなりに役立つぞ。

「ねぇ、なんでいきなりそんな技能が生えてくるのかな?ずるくないかな?」

「生える原因を作ったのはリーネさんだけどな。あと、その音って、2本の剣を重ねている音だよな?」

「物理耐性に対する実験だよ。連双突破!」

「それ、体術じゃないし、上級技!」

ということで、このゲーム初の死に戻りも体験した。なおログによると、1撃目は正々堂々で微軽減してHP5割損、そして2撃目は直受けだったらしい。上級の技なのに1撃目を耐えられたのは、これが4連続攻撃だったからだ。

続いてルーカスのステータスだ。こっちは順当に強くなった。

名前: ルーカス

称号: [戦う農家], 農業主, 木工主

レベル: 12

体力: 37

魔力: 13

筋力: 28

防御: 19

精神: 11

知性: 19

敏捷: 22

器用: 35

技能:

適性: 農耕12, 木工12, 鎌術11, 槌術11, 採集8, 細工12, 魔法(土4, 水6, 炎6, 木2)

技術: 解体10, 運搬12, 危険感知9, 魔力操作6, 疾走4, 観察5

支援: 握力強化, 大地の心

耐性: 空腹耐性, 頑強, 暑気耐性

農耕: 収穫増加, 植物知識, 品質安定

木工: 刻細工, 木材鑑定, 品質安定

鎌術: 伐鎌, 受鎌, 連鎌, 俊鎌

槌術: 直打, 強撃, 頭打, 回転

採集: 採取量増加, 採取品質向上, 安全採取

細工: 素材縫合, 素材加工, 素材分解

土: 土球, 集土, 土槍

水: 水球, 集水, 水槍

木: 緑球, 育緑, 緑槍

炎: 炎球, 着火, 炎槍

まず、「戦う農家」称号を得た。通常の農家よりも戦闘時に補正が得られるので、狩に出る時には付けておくことを勧めておいた。なお、農耕や木工を行なう時には、元に戻した方が補正が大きくなるぞ。

続いて、レベル12になったことで、とりあえず魔法系の能力も2桁に乗った。低いのは相変わらずだが、魔力の総量が増えたことには違いない。

そして、新たに「観察」技能を得た。これは、「鑑定」の基礎となる技能だ。プレイヤーの多くは、利便性の観点からいきなり鑑定を取得するが、本来は「観察」、俺の場合は「触察」などから派生させる技能だったりする。

最後に、槍系の魔法が使えるようになった。槍が飛んでいくというシーンは、ルーカスの何かを刺激したようで、森でも撃ちまくっていた。

そんなステータスを紹介したのには理由もある。昨日、ようやく、有用なダンジョンを見つけたからだ。

植物と爬虫類の坑道:

種別: ランダムダンジョン

残り時間: 71:01:44

階層数: 6

植物系は、農家系のルーカスとの相性が良い。基本的に鎌が特効になる上、「伐鎌」を使うと低レベルの植物は確殺できるからだ。

また、この世界の坑道系ダンジョンの場合、地面が硬く道幅も広いため戦闘しやすいし、モンスターも基本的に地上にしかいない。弦を壁や天井から這わせてくるのは第4マップだが、天井も壁も遠いので、物理的に届かない。

あと、爬虫類系のモンスターも出るが、同様の理由で地面に潜んだり、壁から襲ったりすることができない。総じて、対処しやすいと言える。

ただし、坑道系ダンジョンの場合、ダンジョン内が暗いため松明などが必要だ。それと、広くて迷路のようになっているので、各層の踏破に時間がかかる。まぁ第2マップのダンジョンなので、最短距離だと6時間、隅々までマッピングしても2日もかからないそうだけどな。

「ルーカス。いよいよダンジョンだな。」

「あぁ、早く行きたくてうずうずしているぜ。」

「昨日、しっかり準備もしたし、残り時間も十分。モンスターも何とかなるだろう。」

「坑道だっけか?この辺には無いから、どんな物が採取できるのか楽しみだぜ。」

「坑道の場合は茸が多いそうだ。あとは発掘だな。」

「発掘?それでつるはしか?こいつを握るのは初めてだな。」

ルーカスは発掘の経験が無いらしい。始まりの草原にも発掘ポイントはあったが、モンスターのいるエリア内だったから仕方ないことだろう。

というわけで、ルーカス、俺の順にダンジョンへ突入した。

「ダンジョン 植物と爬虫類の坑道に入りました。現在1層です。」

「マジか。想像よりもずっと暗いな。入り口しか見えないぜ。」

どうやら、坑道の中はとても暗いらしい。ルーカスは索敵も視力強化も持っていないので、どうにもならないだろう。そんな時に使うのが松明だ。

松明:

種別: スポットアイテム

説明: 着火することで周囲を明るく照らす。正しく使えば炎は2時間程度持続する。

価格: 100p

「坑道だからな。買った松明を使うと良いぞ。」

「あぁ、こいつか。着火。確かに明るくなったな。」

「明るくなったら周りを見てみるといい。壁に松明があるだろう?」

「壁?あぁ、確かに何か見えるぜ。」

そう言いながらルーカスは駆けて行った。まぁ入り口近くはモンスターが沸かないらしいからいいか。

「おぉ、確かにこいつは松明だ。これ、点火すれば… おぉ!明るくなった!」

ルーカスは、ちゃんと松明を見つけることができたようだ。

暗い坑道を進むには、坑道の要所に設置された松明に着火することで、明るいエリアを広げることが有効だ。ただ、その松明を見つけるために、自身でも照明を持ち歩く必要がある。

照明については、松明による炎や、光属性魔法の「集光」によるライト、それと同じ効果のある武器や魔道具などがある。いわゆるヘッドライトもあるぞ。

なお一般的には安価な松明が用いられる。魔道具は買うと高額なため、第2マップのダンジョンだと割りに合わないらしい。

だが、松明を持っていると片手が塞がるため戦闘がやりずらくなるという問題がある。そこで、モンスターと遭遇したら明るいエリアに逃げ込み、インベントリーに松明を収納する方法が推奨されている。

「それでユーさんは松明は使わなくていいのか?」

「俺は不要だな。あっても意味が無いと言うが…」

「いや、だって、暗いと見え… あぁ、そうか。確かに要らないか。」

「ただ、そうだな。おくたんは持てるか試してみよう。おくたん、これを持ったまま移動できるか?できるなら、受け取ってくれ。」

俺は、着火した松明を手に持った上で、しゃがんでみた。すると、手から松明は引き抜かれた。

「お、ゴーレムも松明は持てるんだな。ちゃんと動いているみたいだぜ。」

「それは良かった。あと、俺もこっちを装備すれば松明の代わりにはなるな。」

「な なんだ?燃える拳か?」

「炎の鉄拳という武器だな。昔使っていたものだが、ここなら大丈夫だろう。」

そして、俺たちはダンジョンの奥へと進み始めた。