05-12 E2D 植物と爬虫類の坑道

改定:

本文

俺とルーカスはダンジョンへと進んで行った。と言っても、ルーカスは着火しながらなので、あちこち走り回っているが、俺は前進あるのみだ。

「なぁ、ユーさん。着火はできるだけした方がいいのか?」

「坑道は迷宮のような構造になっている。通った道がわかるようにするように着火した方が良いぞ。」

「あぁ、目印だな。それは大事だよな。」

そんな話をしながら歩いていると、

「うぉ!何かいるな。」

「明るい所まで戻れ。松明をいったんしまって迎撃だ。」

「だな。おぉ、茸が歩いてやがる!」

「たぶん、さまよう茸だな。」

「よし、先手必勝だ!」

その後、ざっくりとした音がした。このゲームでは、茸も植物系に分類されているため、ばっちり特効が乗るだろう。

「おや?一撃じゃねぇか。なんだ、これだったら、無理に誘い出す必要なかったぜ。」

「まぁ、植物系は倒しやすいと思うぞ。ちなみに、くっつかれると毒を巻かれるから解毒な。」

「わかったぜ。まぁ、俺も初めて見るモンスターいるだろうから、そういうのはちゃんと観察してから戦うようにするぜ。」

「そうだな。植物だけじゃなくてトカゲや蛇も出るぞ。」

このダンジョンでの出現が予想されるモンスターは、以下の9種類だ。第1マップ~第3マップまでのモンスターとも言える。

さまよう茸: 小さな足が付いていて歩き回る茸。ぶつかると毒の胞子を受ける。

地を這う茂み: 森にもいたモンスター。近づいてきて体をこすりつけてくる。葉っぱによる斬撃。

フィッププランター: シダ植物のようなモンスター。シダをムチのようにたたきつけたり、巻き付けたりしてくる。

寄生花: 動く花型のモンスター。茎を絡みつかせて吸血攻撃をしてくる。

モンスターセポリー: 花型のモンスター。風魔法を使う。

スネーク: モンスター、というか蛇そのまんま。毒は無い。

ポイズンスネーク: 毒持ちになった蛇。通常はキトル山に生息。

地蛇: 地中を移動し、足元から襲ってくる蛇。港町に続く野道の、夜の浜辺エリア限定。

いたずらトカゲ: すばしっこいトカゲ。噛みついてくる。HPが減ると逃げ出す。

「なんだ?分かれ道か?どっち行くべきだろうか?」

「そうだな。どうせ正解はわからないのだから、左から行ってみるでどうだ?右とか左とか考えるのは面倒だろう?」

「あぁ、確かにあっちこっちだと見落としそうだな。」

そんな感じで分かれ道も探しつつ、進んでいった。

戦闘に関しては、ルーカスが見つけしだい狩っていったので、俺はただついていくだけになっていた。

「あっと、行き止まりだ。引き返すしかないようだぜ。」

「そうか。さっきの分かれ道まで戻るか。」

「ん?ちょっと待ってユーさん。花っぽい何かが見えるぜ。あれもモンスターか?」

「モンスターだろうな。もしかすると、セポリーかもしれないな。」

「セポリー?あぁ、ユーさんが言っていた魔法を使う花か?もうちょっと近づいてみるか。」

「セポリーなら、風の魔法を使うから注意な。風魔法は見えにくいぞ。」

ルーカスは、モンスターセポリーに向かってかけて行った。そして、

「ぐへっ!これが魔法か。こんにゃろ!」

正面から風球を受けつつも接近して切り裂いたようだ。

「いてて。魔法って正面から受けたの初めてだが、けっこういてぇな。」

「だな。今回は風球だったが、アレが槍になると刺さるから注意だぞ。」

「あぁ、そうか。俺が浸かっている槍を、モンスターも浸かってくるのか。今後、防具も考えないといけないのか?」

「このダンジョンは、あくまでもヒッツの森と同程度に加減されているからな。イスタールに行くなら、武具のグレードアップは必要だ。そのための金を、今稼いでいるとも言うぞ。」

ゲームの王道だが、武具のアップグレードは大事だ。俺だって、それは厳かにできないからな。

「そうだな。それで、槍なんか、どうやって受けるんだ?やはり鎧か?」

「それもあるが、軽装でも良いものはあるぞ。例えば合革や鱗だな。けっこう硬いし、燃えにくいようになっているぞ。あとは、布装備でも、魔法が込められているものなら、ダメージ自体を減らすことができる。」

「へぇ~。つまり軽装でもそれなりには硬くなれるってことか?」

「そうだ。ただ、防具だって万能じゃないから、攻撃を交わしたり、受け流したりする技術を磨くことも大事だ。冒険者ギルドの訓練場で他の相手に挑むのも良いぞ。」

「ん?あぁ、なんかやり合っているやつらがいたのは、そういうことだったのか?」

そんな話をしつつ進んでいくと、2層への階段を見つけたようだ。なお、モンスターについては、全部ルーカスが狩っていたので、俺は何もやることがなかった。

「階段だ!こいつを下りればいいのか?」

「階段だったか。そうだな。次の層へ行けると思うぞ。」

「そういえばユーさん。蛇が2種類いたんだ。色が違ったが、あれは別種のモンスターでいいんだよな?」

「たぶんな。俺も実物を見たわけじゃないからわからんが、このダンジョンだと3種類ほど違う蛇が出るそうだ。」

「そうか。茸もそうだったが、森じゃ見ないモンスターも多いんだな。」

「ダンジョンのモンスターは、他の地域のモンスターと出会うチャンスでもあるな。場合によっては、ダンジョンでしか出会えないモンスターもいるぞ。」

「そっか。じゃ、降りて次に行こうぜ。」

そして、2層に入ったのだが…

ドシーンという地面が揺れる音が聞こえた。

「な なんだ!」

「これは、来たか。モンスターハウスだな。」

モンスターハウス。それは、フロア1つがだだっ広い部屋になっており、モンスターで溢れている空間だ。まとめウィキによると出現率は32回に1回程度らしい。なお、階段を見つければ全てを撃退する必要は無い。

「モンスター… マジか。あちこちいるぜ。こっちに来ているな。」

「だな。二人で分かれて撃退しよう。」

「だ だが、囲まれたら厳しいぜ。」

「なら俺が前に出よう。このダンジョンの群れなら、問題無く狩れるだろうからな。ルーカスは後ろに抜けて来たやつを頼む。あとは、溢れている植物をてきとうに処理してくれ。鎌なら一撃だろうからな。」

「お おぅ。わかったぜ。」

こうして、俺が前線でモンスターに群れられる戦いが始まった。

まだ距離があるらしいので、筋力、防御を強化して構える。あと、出しっぱなしにしていたおくたんは送還しておく。

最初に来たのは正面からだった。ぽふってなったので、掴んだらさまよう茸、強撃で処理!

次に横から牙っぽい何かで噛まれそうになったが食い込まず… 掴んでからの爆拳で粉砕!ポイズンスネークだったようだ。

さらに横から何か体に触れたので掴んだら弦だった。フィッププランターか!至近距離にはいないと思われるので腕刃で切り落とす!近づいてくるまで無視でいいな。

ん?今度は膝の辺り?あぁ、いたずらトカゲか。こんにちわ、パンチをプレゼントだ!

モンスターはまだまだたくさんいるな。細々したものが多いから少々面倒ではあるが、触れようとしたものをてきとうに払いのけていれば良いだろう。そろそろルーカスも植物処理してくれないかな?フィッププランターの本体が寄ってきてくれないんだ。

一方のルーカス…

「あ ありゃどうなってんだ?レベルの差ってやつなのか?」

ユーを前線に配置したことで、囲まれることなくモンスターを処理で来ている。大半のモンスターはユーにくぎ付けなのだ。しかも、現在進行形でモンスターが集まってきている。

そしてユーだが、攻撃を受けているようだが、傷付いている様子が見られないし、毒も負っていないように見える。

近くに寄ってきた蛇もトカゲも茸も、掴んでからのパンチで処理している。反撃系の技を使っているようにも見える。

それと、時より遠くから弦や、風の球が飛んできているのだが、ユーさんは全く臆していない。防具を揃えて鍛えれば、あんなに体は硬くなるのだろうか?

そうして観察していると、俺もがんばらないとと思えた。何かが沸き上がる感覚もする。

いや、気のせいじゃない。風の魔法が使えるようになったようだ。あの花の魔法を見ていたからだろうか?

俺は鎌を持ち、モンスター狩に加わった。

そうして加わってみると、モンスターは群れているように見えて、あんがい統制が取れていないことがわかってきた。後ろから花を切り倒しても、他のモンスターが反応することがあまりない。さすがに近づいたり、でっかい音を立てると違うのだろうが、暗くて見えにくいのはあっちも同じなのかもしれない。

そこから10分ほどで、モンスターの群れはいなくなった。