05-13 E2D 転移ゲート解放イベント再び

改定:

本文

「モンスターハウスのモンスターが全滅しました。」

モンスターハウスの場合、モンスターを殲滅すると通知が出る。どうやら終わったようだ。

ルーカスも途中から駆け回って狩りをしていたようだ。近づいてこない弦も、時々感じるそよ風もなくなったからだ。

「おーい、ユーさん。大丈夫だったか?」

「あぁ、問題無い。ルーカスもお疲れさんだ。」

「おぅよ。だが、ユーさん、すげぇな。あの群れに囲まれて無傷なのかよ?」

俺が無傷に近いのは、正々堂々の効果、第4マップ以降の装備、それと高めの防御のおかげだ。

あとダメージ自体は受けていたが、手が空いた時に癒気で回復していた。

「俺の場合は、敏捷や回避を切り捨てて、耐える方に特化しているんでな。」

「そういえば、ユーさんが走り回っている所を見ないな。いつも歩いていたようだが、それが素だったりするのか?」

「まぁそんなものだ。その分の頑丈さだな。」

「そっか。戦い方っていろいろあるんだな。」

俺たちは話しながら次の層へ向かった。なお、モンスターハウスの場合、フロア進入地点でマップコンプ状態になるので、ナビーが階段を見つけられる。

その後、3層、4層と問題無く進んで行き、5層に続く階段の手前で俺たちは休むことにした。

この時、ステータスの確認をしたのだが、ルーカスは更なる成長を遂げていた。

名前: ルーカス

称号: [戦う農家], 農業主, 木工主

レベル: 13

体力: 39

魔力: 13

筋力: 29

防御: 20

精神: 11

知性: 20

敏捷: 25

器用: 41

技能:

適性: 農耕12, 木工12, 鎌術13, 槌術11, 採集8, 細工12, 魔法(土5, 水6, 炎6, 木2, 風1)

技術: 解体11, 運搬12, 危険感知11, 魔力操作7, 疾走6, 観察13, 直感3

支援: 握力強化, 大地の心, 視力強化(暗), 反応強化

耐性: 空腹耐性, 頑強, 暑気耐性

農耕: 収穫増加, 植物知識, 品質安定

木工: 刻細工, 木材鑑定, 品質安定

鎌術: 伐鎌, 受鎌, 連鎌, 俊鎌, 急所看破

槌術: 直打, 強撃, 頭打, 回転, 震打

採集: 採取量増加, 採取品質向上, 安全採取

細工: 素材縫合, 素材加工, 素材分解

土: 土球, 集土, 土槍

水: 水球, 集水, 水槍

木: 緑球, 育緑, 緑槍

炎: 炎球, 着火, 炎槍

風: 風球, 操風

新たに風属性魔法、直観、視力強化(暗)、反応強化が生えていた。

これにより、戦闘への移行が素早くなったり、危険に対する備えがよりスムーズになったりした。あと関連して、弱点を探る鎌技「急所看破」が生えた。

風属性魔法については、俺も習得は目指している。現在、乾燥扇が稼働中だ。

翌日…

「ルーカス、おはよう。」

「おはよう、ユーさん。今日もよろしくな。」

「おぅ。それでさっそくなんだが、この次の階層では特別なことがある。」

とりあえず、この後に転移ゲート関連イベントがあるので、ルーカスにも心の準備をしてもらう。どちらかと言うと、急に体が動けなくなったりするので慌てないように… といった意味合いだが。

「ん?特別なこと?まさか、モンスターハウス再びか?」

「いや、違う。ダンジョンの挑戦者に対するご褒美がもらえるようだぞ。俺も以前もらってな。」

「マジか?ご褒美って、誰からだよ?」

「俺にも詳しくはわからないんだ。ただ、悪いことにはならないし、一度しか見られないものだ。だから、じっくり目に焼き付けておくと良いぞ。」

「珍しい物だからよく見ておけ、ってことか?それならわかったぜ。」

そこまで話ができたので、俺たちは5層の入り口へ入った。

そして、ルーカスに対しての転移ゲート解放イベントが始まった。

「な なんだ?体が… 動かねぇ!」

さっそく、以前も聞いたことのある、何やらピキピキという音が出始めた。そして、やはりルーカスは身動きが取れないらしい。

「あぁ、落ち着け、ルーカス。大丈夫だから。」

「そ そうか。わかったぜ。って、ユーさん?何やってるんだ?」

とりあえずルーカスを落ち着かせておく。そして、俺自身は、音のしている場所へと近づいてみることにした。

動画を聴取して知ったことなのだが、実はこのイベント、対象者以外は動くことが可能らしいのだ。

それで、動けなくなったキャラを無理やり動かそうとしたり、ポーズを取って撮影して楽しんだりしていたようだった。なお検証によると、イベント中に対象者を外から動かすことは不可能、座標転移系の魔法を含め、あらゆる手段が無効になるらしい。それを使って、「光の本流から現れる勇者」みたいなネタ動画も作られていた。

「ダンジョン。それは、この世界に存在する不思議の一つ。それは泡沫のように、現れては消えていく。昨日見た姿は形を変える。」

俺は、その声の聞こえる位置へ歩いて行った。さっきの音がしていたのもこの辺りだったな。

「しかし、そこに人々は踏み入り、そして持ち帰ることができる。あなたも、そんな不思議に挑む者。この場に立つことが、その証明。」

うん。近くで聞いてみると、やはり頭に流れたのではなく、妖精と思われる物体から出ているようだった。手を伸ばしてみてもすり抜けたけどな。

「世界の未知に挑む者よ。新たな道を切り開く者よ。未開の大地へ赴きなさい。そして、あなたの答えを摘み取りなさい。」

ふむ。妖精はたぶんこの辺りだな。高い所にいると思っていたのだが、あんがい低い所にいるんだな。

「そのための鍵の一つを授けましょう。さぁ、鍵を手にしなさい…」

そして、ここで消えて鍵が現れると… うんん、うん??

「う 動けるようになった。今のはいったい何だったんだ?」

「ん?あぁ、さっきの声が聞こえただろう?とりあえず、鍵があるはずだから、手に掴むんだ。」

「鍵?あぁ、そこに浮いてるな。」

そうして、ルーカスは鍵の元へ駆けて行き、それを手にした。

その鍵は、俺が聞こえていた音とは違う所にあった。

そして俺が触れていた謎の物体は手から溶け落ちるように消えた…

「ルーカスが、旅人の印を手に入れました。」

「技能 真理 が成長しました。」

流れからして、このイベント、いろいろな偽装工作が仕込まれているのかもしれない。それはそうと、真理が成長?

真理2:

説明: 真実を看破し、虚偽を滅する資格を得た。自身に対して偽りを与える干渉を無効化する。知性、精神上昇(微)。

デメリット: 自身も偽装に関わる能力を発揮できなくなる。

文面から、いくつかの精神干渉や幻影の類が無効になったらしい。いや、ちょっと待て。これ、もしかして眠り歌などにも有効か?確かアレ、精神耐性装備で防げるとウィキにあったような…

あと、知性、精神のベースが+1された。こちらは、まぁうれしい、といった所だ。

それと、消えてしまった謎の物体の触鑑定結果は以下の通りだった。

旅人の導き手:

種別: その他

説明: 詳細不明。

真理: この物体に触れることができるのは、真理を見抜く力を有するものだけである。そして、実際に触れることのできた者は、偽りの姿に惑わされることなく、その存在に行きついた者である。この世界の創造主は、この者によってもたらされる、新たな未知の発見を祝福するだろう。

こちらについては、結局の所どうなるのかがよくわからない。祝福というからには、悪いことではないと思う。いや、俺自体には影響は無くて、周囲に影響を与える感じか?う~ん…

「なぁ、ユーさん。旅人の印って物が手に入ったんだが、これは何なんだ?」

とりあえず、真理の謎はもういいだろう。俺は旅人の印、そして転移ゲートについて説明した。

「マジか?転移って、あの村の中央にあるヤツか。たまに冒険者が行き来しているのは知っていたが、こいつが必要だったんだな。」

「正確に言うと、イスタールにあるだろう錬金店で加工してもらうためのアイテムだな。だが、そこまで行けば、ルーカスでも行ったことのある街へ簡単に移動できるようになるぞ。」

「つまり、畑を維持したまま遠くへ行けるんだな?そいつは最高だ!」

「そういうことだ。とりあえず、今日はダンジョンを踏破して、準備ができたらイスタールへ行こう。」

「あぁ、そうだな。最下層にボスってのがいるんだろ?楽しみだぜ!」

というわけで出発。これまでと同様に進んで行き、程なくして最下層に続く階段までやってきた。

で、最下層に突撃したんだが…

「な なんだありゃ?フィッププランターの亜種か?」

「それは俺もわからないな。ルーカス、行けそうか?」

「鎌が効くなら行けると思うぜ。つたを一つずつ切ってみるか!」

ということでルーカスが突撃。俺も近づいて行ったが、すぐにばっさばっさとやっていたようで…

「ダンジョンボス ジャイアントシダクラゲの討伐に成功しました。」

「ダンジョン 植物と爬虫類の坑道 の攻略に成功しました。報酬を選択して下さい。」

俺が触る前に滅んでしまった。「伐鎌」で即死はしなかったようだが、低レベルダンジョンだし、鎌が特効だったのなら、あのばっさばっさで逝かれることも当然だろう。

そして報酬だが、

俺が選択できたのは、「木属性魔法の技能書」、「巨大な種」、「ゴーレムコア」だった。

ルーカスが選択できたのは、「力の種」、「巨大な種」、「復活薬」だった。

そこで、ゴーレムコアと力の種を交換することにした。ルーカスは念願のゴーレムを入手できるし、俺も自己強化できるので相互利益というやつだ。

なお「巨大な種」は生産系の素材だ。栽培で育てると「膨らみ草」という満腹度回復アイテムに、錬金では「巨大化」に関連するアイテムが作れる。ただ、第4マップで手に入るため、ダンジョンで狙う価値があるか?というと微妙な所だ。たぶん、始まりの街でも生産系プレイヤーが植えているだろう。

あと、技能書で習得できる技能を既に所有していた場合だが、関連する技能への経験値に還元される。今回のケースでは、「魔法(木)」と「魔力拳」の経験値が増えることになる。魔力拳が増えるのは、魔力の制御技能を兼ねているからだ。