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無人だったギルドの図書室でのお勉強?が終わった俺たちは、必要物資入手のため雑貨屋へ歩き始めた。
その道中、お互いに鑑定をすることにした。その結果、アヤはこんなことになっていた。
名前: アヤ
種族: ヒューマン
職業: 印術師
性別: 女
称号: [下級印術師], 下級画家, 異界の旅人, 第2マップ突破者
レベル: 16
体力: 15
魔力: 31
筋力: 15
防御: 13
精神: 36
知性: 26
敏捷: 26
器用: 59
技能:
適性: 小刀13, 印術8, 描画19, 彫刻19, 魔法(土17, 水17, 木17), 採集11
技術: 鑑定15, 魔力操作14, 危険感知12, 潜伏9, 精神集中8, 直感6
支援: 世界知識, 視力強化(色), 繊細, 絵心
小刀: 疾突, 刀払, 連切, 投剣
印術: 魔印(役霊, 炎鎖, 水霧, 運鳥), 魔陣(活力, 守り), 遠隔発動
描画: 模写, 速記, 産色, 縮画, 修復
彫刻: 刻刀, 硬刻, 空刻, 水刻, 修復
土: 土球, 集土, 土槍, 画土, 石縛, 石波, 石柱
水: 水球, 集水, 水槍, 画水, 水縛, 水波, 水柱
木: 緑球, 育緑, 緑槍, 画葉, 弦縛, 緑波, 緑柱
採集: 採取量増加, 採取品質向上, 安全採取
装備:
鉄の小刀, 魔布のローブ, 合布の頭飾り, 合革のブーツ, 合革の小手, 魔払いの護符
印術師なのに印術がサブウェポン化している不思議。それ以上に、絵に注ぐ情熱がヤバい。もうすぐ中級画家になるし、「繊細」や「絵心」という器用補正の技能まで生えている。
また、視力強化においては、「色識別」を強化する技能が生えている。微妙な違いも逃さず認識できることは凄いのだが、本来は画家系の生産技能である。
幸い、装備を整えたというのは本当だった。さすがに魔法使い寄りな装備に変えたようだ。
「魔法は増えたな。」
「うん。今は、風と炎も勉強しようと考えているよ。でも、まだ足りないみたい。」
「あぁ、それなら俺が両方使えるから、後でそれを観察すると良いぞ。」
「あぁ、いいな~。後で見せてね。」
「ところで、なんで印術のレベル低いんだ?」
「ん?そうなの?召喚はいっぱいしているよ?」
「ん?いっぱい?まさか、役霊でも短期間しか出さないのか?」
「そうだけど?だって、出しっぱなしだとMP減るし、動画でもみんな、必要な時しか出していないじゃん。」
うん?動画から入った故の誤解だろう。読んだ本はどこ行った?と突っ込みたいが、そういう事情なら仕方ない… と思うことにしよう。
「印術は、基本的に注いだ魔力で召喚体の維持時間が決まるから、説明に書かれていない限り維持コストはかからないぞ。それと、動画で短期間の召喚をするのは、見映えが良いとか、召喚時のみ乗せられるバフを乗せるとかの特殊な事情だぞ。」
「え?そうなの?」
「そうだ。それで大事なことだが、召喚に支払うコストを少なくしてばかりいると、印術が育たないぞ。注いでいる魔力が少ないし、召喚体と接する時間が短いことが原因だそうだ。」
「え?それ本当なの?召喚体は育つって書いてあったけれど、それって、私の能力依存じゃないの?」
「原理としては召喚士と同じだぞ。近くに置いておくと、召喚主の波長と適合していくそうだ。」
ということで、「役霊」で出てくる召喚体を長期召喚して随行させるように言っておいた。なお随行に関しては、「見た目がかわいいし、話を聞いたなら出さない理由が無い」と即答された。
そんな話をしつつ、雑貨屋に到着。俺は彼女の後に付いて入った。
「いらっしゃい。」
中からした声は、のんびりした感じのおばあちゃんの声だった。
「あぁ。ダンジョン探索のためにいくつか買いたいものがあるんだ。」
「迷いの森のダンジョンかな?」
「その予定だな。それで、欲しい物なんだが…」
俺は、必要な物と個数をいろいろ挙げていった。
「ユーさん、なんでそんなに細かく覚えてるの?」
「ランダムダンジョン遠征時のお薦めアイテムがあってな。俺はそれに従っているぞ。」
「あぁ、そういうのもあるんだね。さすが…」
「先人たちの知恵は役に立つからな。」
ということで問題無く買い物完了。ポーション類も買えたので、錬金術店は寄らなくても良さそうだ。
「ありがとうね。気を付けて行ってらっしゃい。」
「こちらこそ助かる。」
お礼を言って店を出た。
なお、補充した物資は次の通りだ。
ポーション X 40
MPポーション X 40
毒消しポーション X 20
安定ポーション X 20
魔払いポーション X 20
テント X 10
煙玉 X 15
松明 X 20
脱出の札 X 2
ドライフルーツ X 10
HP、MP、身体、精神、魔法系異常の回復、定番のスモークテント、松明、そして緊急時の脱出アイテムだ。こっちの方が死に戻るよりリスクが少ないからな。
なお、煙玉5個はアヤに持たせておく。後衛食が囲まれた時の保険だ。
「さて。必要な物が揃ったから、もうダンジョンに行こうと思えば行けるが、どうする?錬金術店も行くか?」
「う~ん、興味はあるけれど、お金が無いんだよね。だから、行かなくて良いかな。」
「そうか。なら、行くとしよう。」
そういうことになったので、俺たちは東出口へ向かっていたのだが…
「アレ?ユーさんじゃねぇか。外行くのか?」
ちょっと前に巣立ちしたルーカスを拾った。
「ん?ルーカスか。畑を見に行くと言っていたが、そんなに時間経ってないぞ。いいのか?」
「あぁ。問題無かったから戻ってきたぜ。とりあえず一狩やってみるかと思ってな。」
「そうか。俺たちも森だな。後ろの連れのためダンジョン探しの予定だぞ。」
「ほぉ?お嬢ちゃんか。」
「え、あ、うん。えぇと?」
俺はルーカスとアヤについて、簡単に紹介した。
「彼はルーカスだな。ヒッツの村で出会って、一緒にこのイスタールまで来た冒険者だ。で、こっちがアヤさんな。始まりの街の南にある村で一緒にゴブリン狩をしたことがあって、再開したのはさっきのことだ。」
「へぇ~、ゴブリン狩ねぇ。南ってのが楽しみになってきたぜ。」
「あ、うん。アヤです。よろしくお願いします。」
「あぁ、堅苦しいのは好きじゃねぇから軽くていいぜ、お嬢ちゃん。」
「あ、うん、わかった。それと、私も呼び捨てにしてもらっていいかな?お嬢ちゃんって言われるのも、ちょっと恥ずかしいんだ。」
アヤは、知らないおっさんとのコミュニケーションにあまり抵抗は無いようだ。
「ところでルーカス。良かったら、一緒にダンジョン探し行くか?分かれる前に買い揃えた物資で足りると思うぞ。」
「ん?俺はかまわないぜ。森もダンジョンも行きたいと思っていたからな。」
「え?ユーさん、誘っちゃうの?」
「ルーカスは前衛のかき回しを得意としているから、あんたの身を守るのに役立つと思ってな。ただ、俺と違う意味で被弾も多いから、アヤさんの支援があると彼にとっても助かるだろう。」
「そうなんだ。じゃ、よろしくね!」
ソロでここにいるアヤなら、前後から挟まれても何とかできる、つまり召喚体に護衛を任せられるのだろう… と思っていた。のだが、印術育ってないという事態に正直困惑していたのだ。
一応、彼女とのパーティ戦術について考えはあったのだが、ルーカスという前衛、しかも、自分から駆け回ってモンスターを引き付ける役がいるならより安泰だ。
ということで、3人パーティを結成した俺たちは、連れ立って、迷いの森へと入っていった。
「E3 迷いの森 に入りました。」
「さて。ゴーレムも出しておくか。」
「おぉ、そうだな。俺のゴーレムも試運転だぜ!」
俺とルーカスは、各々のゴーレムを召喚した。
「え?何これ?モンスター?」
「あぁ、アヤさんは初めてだったか。魔道人形、ゴーレムだな。」
「ゴーレムなの?そっちは人っぽいけど、これ、蛸だよね?」
「そうだな。この世界のゴーレムは、いろいろな形状にできるぞ。形状によって特性が変わるから、人型じゃないゴーレムもありなんだ。」
「ふ~ん。それ、私も手に入れられる?」
「ゴーレムは、ダンジョン踏破報酬の一つだ。運が良ければ手に入るぞ。」
彼女もゴーレムをご所望のようだ。まぁソロプレイヤーなら1体はいると便利だからな。
「わかった。それで、このゴーレムたちは、何ができるの?片方は槍みたいだけど、そっち、スコップだよね?」
「槍の方はルーカスのゴーレムで、戦闘と支援回復だな。蛸の方は俺の代わりに採集だ。」
「採集?それで蛸?なんで?」
「その辺りは仕事している所を見た方が早いと思うぞ。」
「そっか。わかった。」
「なぁ、ユーさん。ゴーレムへの指示はどうしたら良いんだ?それとも、てきとうに戦ってくれるのか?」
「スパイクだったな。基本は、突撃して蹴り散らせと言っておけばOKだ。回復については、勝手に助けてくれるから、特に指示はしなくて良いぞ。」
「ほぉ、そいつは簡単だな。だが、俺とターゲットが重なることは無いか?」
「その辺りは動かしてみないとわからないな。だが、看護する修正を与えてあるから、邪魔はしないはずだぞ。」
「なるほどな。じゃ、さっそく行くぜ!」
ということで、ゴーレムへの指示出しも終わったので、さっそくダンジョンへ向かうとしよう。
なお、俺のインベントリーは以下の通りとなった。
インベントリー (通常アイテム):
ポーション X 40
MPポーション X 40
毒消しポーション X 20
安定ポーション X 20
魔払いポーション X 20
高級携帯食 X 10
ドライフルーツ X 10
テント X 10
煙玉 X 15
松明 X 20
脱出の札 X 2
布マスク X 3
浄水筒(小) X 1
冷却コップ X 1
乾燥扇 X 1
インベントリー (素材):
なし (妖精素材は倉庫へ移動済)
インベントリー (貴重品):
冒険者証 X 1
旅人の鍵 X 1
ゴーレムコントローラー (おくたん) X 1
インベントリー (装備品):
柔木の杖 X 1
樫の杖 X 1
炎の鉄拳 X 1
耐海武術着 X 1
甲羅ヘルム X 1