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E3 迷いの森には、以下の6種類のモンスターが出現する。なお夜になると変化するが、夜はテントにこもるので考慮しない。
さまよう茸: 植物系。先日探索した「植物と爬虫類の坑道」で遭遇したアレ。
ライドモンキー: 身軽で、木の上を移動して近づいてくる小さい猿。ただし、エンカウント時には地面に降りる。爪による直接攻撃のみだが、たいてい3~4匹の群れで来る。
ゴースト: 霊体系モンスター。水属性魔法で攻撃してくる。
ミドリガラス: 保護色になっていて視認しにくい鳥。木属性魔法が使える。
ノコギリバチ: 小型の蜂だが、体から刃が生えており、体当たりしてくる。常に2~4匹ほどで行動。
グリーンスライム: レベルが上がっただけのグリーンスライム。地面にいて、踏むとちょっと嫌になる。それだけ。
ということで歩いていたのだが…
「猿が3匹来るぜ!降りてきた所をやればいいんだよな?」
「鑑定できたよ。ライドモンキー3匹だね。」
「とりあえず降りてくるまで待機だな。どこに来るかわからないから、追いかける必要は無いぞ。」
ライドモンキー3匹が近づいてきたようだ。
「キー!キー!」
どうやら降りてきたようだ。
「とりあえず活力だね。」
「行くぜ!スパイク、突撃だ!」
アヤが継続回復の「活力」を付与し、ルーカスがスパイクと突撃していった。
この魔法、道中のモンスター処理が安定する魔法として有名だ。消費が少ないのに継続時間が長いこと、戦闘終了後も回復が残ること、指定座標の範囲に効果が及ぶため、範囲指定が適切なら2~3人くらいにまとめて付与できるのが理由だ。
「キー!ウッキー!」
で、一匹、俺の元にやってきたらしい。爪が少し体に引っかかるが止まったので、掴撃したら一撃だった。
その後、ほとんど被害も無く戦闘終了した。ルーカスが少々引っかかれたらしいが、活力の効果でもう回復している。
次に出会ったのは、さまよう茸と、ゴーストのようだった。
「アヤさん、ゴーストの処理を頼む。茸は俺がやるぜ。」
「わかった。ストーンピラー!」
アヤが使ったのは、指定地点に石や水などを垂直に打ち下ろす「柱」系統の魔法だ。どうやら、遠くにいたため、着弾までに動かれることを避けたようだ。
そして、HPの低いゴーストはこの一撃で撃沈。さまよう茸も、鎌が特効になっているのでさっくり処理されたらしい。
「アヤさん、助かったぜ。だが、あの柱すげぇな。」
「柱?あぁ、さっきの魔法だね。ルーカスさんもいろいろ浸かっているみたいだから、その内使えるようになるんじゃないかな?」
「そいつは楽しみだぜ!」
その後、出会った新モンスターはノコギリバチだった。ライドモンキー戦の途中で後ろから襲われた形だった。
「ん?危険感知が…」
「前に見えないなら後ろだろうな。俺が行こう。」
「ん?あ、本当だ。さっきの分かれ道からかな?」
俺は向きを変えて進んで行くと、微かに羽音が聞こえた。虫の羽音が、近づいているような気がする。そう思った所で、顔に何か触れた。
俺はそれを掴み、爆拳で迎撃。この一撃で倒れたようだ。まぁ、虫は打撃に弱いからな。
そして、横からも何か触れていたが、ぼい~んとなったらしく、手を伸ばした時にはいなくなっていた。
とりあえず向かってくれないと話にならないと思ったら、横で水音がした。たぶん、アヤの魔法だろう。
他には… とりあえず、向かってくる音が無いのでいいか… 2匹だったのだろうか?
「ん?どうしたの?もう蜂はいないみたいだよ?」
どうやら2匹しかいなかったようだ。
そんな具合に、はっきり言って問題になるモンスターはいなかった。
まぁ、役割分担もできているし、3人とも、ソロで戦える能力は育っているのだ。モンスターが群れても分断できれば、どうということは無いのである。
「それにしても、スパイク強いな。ゴーレムって、こんなに強いなんて思わなかったぜ。」
「うん。突進で蹴散らしていたね。あれって、ボアレックスを参考にしているのかな?」
「あぁ、ユーさんの入れ知恵だから、俺もよくわわからねぇんだ。だが、言われてみればそうか。ボアレックスに似ているな。」
どうやら、スパイクとルーカスの愛称は抜群なようだ。
これには、ルーカスの戦闘スタイルもあるが、彼自身が生産職系のビルドであることも関係している。何しろ、攻撃力、防御力、敏捷のいずれもルーカスより高い上、反応強化や安定動作など、戦闘職に必要とされる技能も搭載しているのだ。
なお、本来のゴーレムは持ち主よりも弱い。これは、「技能のレベルが、主のレベルの6割」という設定なのが原因だ。
順当にキャラを育てていれば上級に至る技能が、場合によっては初級止まり、というケースすらある。実際、スパイクの技能レベルはまだ1桁である。
故にゴーレムの運用は、役割を決めて特化させることが推奨されている。あるいは、育成条件を無視して技能を設定できることを生かしたトリッキーなゴーレムもあるらしい。
「ルーカスは鎌と槌を使うから、重量計のモンスターや群れとは相性が悪いと思ってな。あと、アヤさんも支援したからわかると思うが、近接戦闘するから被弾もする。その穴を埋めるような性能にしてあるぞ。」
「盲人なのに、なんでわかるんだよ?確かに、群れやデカいモンスターはきつかったがよ。」
「装備の調達や、狩などに立ち会ったからだな。あとは先人たちの知恵だ。」
「ユーさん、なんで、体術以外の情報もそんなに詳しいの?もしかして、あのサイトを作った人?」
「それは、俺が旅を楽しむためだな。俺にできること、できないこと、同種のモンスターに出会った場合の対処など、考えることは多いんだ。ちなみに、外にいる時に追加でいろいろ調べているぞ。」
余談だが、まとめウィキに関して言えば、ウェブサイトを作ったり、運営したりしている管理者はいるが、彼らが、そこに掲載されているあらゆる情報に精通しているとは限らない。
ウィキに掲載される情報は、ゲームを愛するプレイヤーたちが持ち込み、アップデートしていくものだ。そして、製作者や管理者の役割は、サイト内の情報を熟知することではなく、サイト自体が健全な状態になるよう、導くことだからだ。
とはいえ、まとめウィキを立ち上げる人は、ゲーム内の情報を知ることや、ゲームそのものに対して貪欲に取り組める人種であることは多い。故に、アヤが言う「サイトの製作者や管理者が情報に精通している」のは、間違ってはいないかもしれない。
そんな感じに話をしながら歩いていると、目的のダンジョンを見つけた。
ア人と不死の遺跡:
種別: ランダムダンジョン
階層数: 8
残り時間: 42:23:11
「ア人と不死の遺跡か。条件は悪くないが、挑むか?」
「ん?ここはどういうダンジョンなんだ?」
「ア人系と不死系が出るんだよね?ゴブリンとかスケルトンということかな?」
「出てくるモンスターはそんな感じだな。正確には、コボルトやゾンビ、ゴースト辺りも出てくると思うぞ。」
「そういえばゴブリンも、いろいろな武双をするんだったか?コボルトもか?」
「だな。妖精の狩場で戦えるルーカスなら問題は少ないぞ。ただ、筋力高いモンスターが多いから、殴られたら痛いけどな。」
「遺跡っていうのは、どんな感じ?現実の遺跡と同じような感じかな?」
「俺が知っていることは、吹き抜けだから松明なしでも歩けるとか、あちこちに壁や柱があるから潜伏できるとか、モンスターが四方から来ることもあるとかだな。即死するような危険は無いから、入って見た方が早いぞ。」
ということで、特に反対も無かったので入って見た。
「ダンジョン ア人と不死の遺跡 に入りました。現在1層です。」
「マジかよ!これじゃ廃墟じゃないか。」
「遺跡って、古い古い町の跡地だから、廃墟っていうのは間違っていないかもね。でも、不規則というか、変な所に変に残っている感じだね。」
「その辺はダンジョンの不思議だな。」
「それで、次の階層の入り口って、どこにあるんだ?迷路って感じには見えないぜ。」
「あぁ、左右を見てみるといいぞ。壁で囲まれているから、一本道に近いんだ。」
「そういえばそうかも?遠くの方が壁になっているから、とりあえずまっすぐ進むしか無いみたいだね。」
遺跡ダンジョンは、以前、俺が挑んだ荒野と同じ、まっすぐ進んで最奥に行けば良い、というダンジョンだ。一応、隠し小部屋もあるのだが、最奥に向かうだけなら無視して良いらしい。
「わかったぜ。隊列はどうする?」
「森と同じで良いと思うぞ。ただ、あまり離れない方が良いだろうな。」
「広いし、柱から出てきた理するからだな。」
「じゃ、ルーカスさんが前で、ユーさんが後ろかな?私は真ん中にいるよ。」
「そうだな。それとも、ユーさん、前に出るかい?」
「足が遅くて良ければそうしようか。ただ、その場合ルーカスには、アヤさんの護衛を頼みたい。」
「護衛か。いずれ、そういう依頼も受けるなら、練習になりそうだな。いいぜ。」
ということで隊列も確認したので、さっそく攻略を始めるとしよう。