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トマの塔で修行すること2日… 俺は、レベル25に上がった。現在は、1層を散策、それが終わったら2層に上がり散策… といったことをしている。
2層は、通路があちこちにあるため、四方からモンスターがやってくることもあった。ゴーレムのサンドイッチは無かったが、ネズミ4匹に群がられて、さすがに何度かかじられた。まさか組み付いてかじってくるとは思わなかったぞ。
あと、狙っていた睡眠耐性が手に入った。抵抗を通り越して耐性だ。
引き込み罠を発見したのだが、なんと、その中に妖精の狩場のMVPことスイニーが入っていたのだ。
スイニーは、くすぐりやスリープタッチなどのデバフ攻撃を仕掛けてくるが、攻撃技は持っていない。一応、MPを枯らすと通常攻撃してくるらしいが、ダメージを受けると睡眠が解除される特性故、通常時にそんなことはしてこない。
ということで、俺はスモークテントを展開しログイン制限時間をリセット。で、あとは耐性上昇装備を外して飛び込んだ。
その後は、とりあえずスイニーを無視してフィールド内を散策。当然、擽られたり、歌われたり、眠らされたりしたが、HPが減らないので一切無視。
途中で、種切れになったらしくポカポカしてきたので、MPポーションを無理やり押し込んでやった。モンスターでもポーションを与えると回復するので、以降、その繰り返しで、MPポーションが尽きるまで遊んだ。
何というか、おっさんにじゃれている子供という感じだった。まぁ見た目が子供らしいし、確かにじゃれていたというのが正しいだろう。
そしてわかったことだが、こんなプレイングをしているとモンスターも学習するらしい。途中から、歌が無くなったのだ。効果が無い行動の使用頻度が減った感じだろう。
その後、アナウンスを確認できたので終了。攻撃に切り替えて倒した。いや、だって、モンスターだし、倒さないと出られないし。
睡眠耐性:
説明: 状態異常耐性の一種。睡眠状態を受けにくくなる。また、睡眠を受けた場合の復帰を早める。体力上昇(微)
脱力耐性:
説明: 耐性の一種。身体能力を低下させる攻撃を受けにくくなる。防御上昇(微)
モンスターと戯れる者:
説明: モンスターに愛を持って接する意思のある者の称号。モンスターの敵意を抑制し、懐かれやすくなる(小)。テイムモンスターの成長を促進(小)。
戦闘終了後、俺は脱出の札でダンジョンから脱出した。デバフの影響で、筋力と防御が下がっていたからだ。実際、「筋力-42%, 防御-71%」だった。
で、時間を確認したら当然のように夜中だった。10時間ほど戯れていたらしい。半分くらいは寝ていたと思うけどな。
そんなことをしつつも、変な技能や称号が生えなかったのは、モンスターとの戦闘という扱いだったからだろう。性質上、殺意とは言えないだろうが、あっちは本気だったはずである。
なお、「モンスターと戯れる者」は、「モンスターと触れ合う者」の上位称号であるが、通称「モフモフ称号」と呼ばれており、習得者が多いらしい。その習得条件もまとめウィキで開示されている。
その習得条件は、「レベル差5以下の通常モンスター1匹と対峙し、2時間以上を過ごすこと、且つ、その過程で、以下4つの条件を達成すること」だ。
- 対象のモンスターへ攻撃しない。
- モンスターから自身へのアクションを100回以上受ける。攻撃でなくても良いが、スタミナかMPの消費を伴うものでなければならない。
- 消耗したMPやスタミナを3回以上回復させる。
- 自身、及びモンスターが、他のあらゆるモノに注目しない
条件にすると複雑そうだが、実際には「テイムしたモンスターと、何も無い個室で2時間ほど遊ぶ」が最適解と言われている。敵対モンスターでなくても、さらに言えば攻撃を受け続ける必要すら無いからだ。そして、人類とのスキンシップが好きで、前進を動かすモンスターとの相性が良いのである。
なお、もう一つの本命だった、引き込み罠の個室探索も達成できた。地面は塔と同じ石の床、壁も天井もある個室だった。密閉空間だが空気があったのはダンジョンの不思議というやつだ。
そんな本命以外にも、宝箱を2つ発見できた。
1つは、「赤石の指輪」という、「緑石の指輪」の炎属性バージョンだった。正直、「緑石の指輪」も含め、今となっては誤差にしかならない強さなのだが、デメリットがあるわけでもないので、空き装備枠である指に着けることにした。
もう1つは、呪われた小盾で、浄化したら砂に消えてしまった。なお呪いの効果は、「外せない&不意打ちされた時の被ダメージが50%増加」というものだった。
それと、浄化依頼を続けたおかげで「中級僧侶」の称号が得られ、晴れて「中級武僧」になることができた。そんな俺のステータスは以下の通りだ。
名前: ユー
称号: [中級武僧], 異界の旅人, 夢見る者, 第3マップ突破者, ダンジョン踏破者, モンスターと戯れる者, 下級魔法使い, 下級賢者, 下級魔拳士
レベル: 25
経験値: 216/5564
体力: 63
魔力: 45
筋力: 56
防御: 66
精神: 38
知性: 70
敏捷: 10
器用: 14
技能:
適性: 近接体術3, 中級魔力拳2, 中級気留術2, 魔法(土17, 水17, 木17, 炎17, 光17, 風13, 闇7, 氷7)
技術: 触鑑定16, 精神集中18, 受身21, 疾駆11, 安定動作5, 遊泳11, 空手8, 冒険者指導8
支援: 捕獲握力強化, 逆境を超える心, 不動の守り, 海の心, 薬草知識, 世界知識, 識別
耐性: 空腹耐性, 柔軟, 即死抵抗, 物理抵抗, 毒抵抗, マヒ抵抗, 睡眠耐性, 脱力耐性
特質: 盲人, 鈍感, 効果変化 欠損, 正々堂々, 真理2
近接体術:
下級: 強撃, 足払, 投落, 連撃, 反撃, 掴撃, 回脚, 押撃
中級: 霊掴, 振討, 制拳, 滝落
中級気留術:
下級: 癒気, 瞑想, 強化, 帰療, 浄気, 陣気, 活気
中級: 気送
中級魔力拳:
下級: 魔拳, 魔盾, 爆拳, 腕刃, 伝衝, 破魔
中級: 複合
土: 纏土, 集土, 土槍, 石縛, 石波, 土刃
水: 纏水, 集水, 水槍, 水縛, 水波, 水刃
木: 纏緑, 育緑, 緑槍, 弦縛, 緑波, 緑刃
炎: 纏炎, 着火, 炎槍, 熱縛, 炎波, 炎刃
光: 纏光, 集光, 光槍, 光波, 光刃
風: 纏風, 操風, 風槍, 風縛, 風波
闇: 纏闇, 集闇, 闇槍
氷: 纏氷, 冷却, 氷槍
装備:
牙鱗のナックル, 中級武道着, 雷避けのベルト, 銀編の魔布帽子, 聖銀の小手, 銀編と合革の膝当て, 地蛇の鱗靴, 水中花の靴下, 守り石の首飾り, 緑石の指輪, 盗難防止の指輪, 毒避けの指輪, 赤石の指輪
ゴーレム おくたん:
形状: 蛸型
職業: 採集家
レベル: 25
体力: 38
魔力: 3
筋力: 35
防御: 49
精神: 3
知性: 49
敏捷: 38
器用: 73
技能:
適性: 採集15
技術: 水泳15, 素材探知15
支援: 自動転送, 戦意隠蔽
特質: 魔道人形, 魔道吸収, 多客, 戦闘回避, 再生, 蛸の体
ついに、魔力拳と気留術も中級に至った。両方とも、特化系ではなく既存の能力を強化するルートに進めることにした。なお、各ルートの違いは以下の通りだ。
魔力拳:
中級魔力拳: 汎用ルート。純粋強化。
魔力体: 拳以外の場所も使えるように拡張するルート。役割が気留術とかぶる上、俺の場合、足技を強化しても腐りがちなので除外。
放魔拳: 遠隔攻撃の制限を緩和するルート。拳から魔法が飛ばせたり、射程が伸びたりする。遠距離攻撃は求めていないので論外。
属性拳: 特定の属性に特化するルート。反する属性魔法の適性を失うが対象の属性は大きく強化される。ソロだと属性スライム系で詰むと思われるので論外。
気留術:
中級気留術: 汎用ルート。純粋強化。
中位気術: 気放術との特性と複合されるルート。気を外にも放てるようになる。遠距離を求めていないので論外。
聖気留術: 僧侶寄りのルート。回復や浄化に特化する。ただ、強化や防御、反撃が伸びないので除外。
気宿術: ヨガや拳士寄りのルート。攻撃、強化、自己回復に特化する。一方、「浄気」や「陣気」など外部に干渉する能力を失うので除外。
そんな強化を経て、いろいろな技が増えた。
制拳: 光槍ドリルパンチではない、本物の聖拳突き。なお、攻撃属性は打・突の複合で、相手が光属性を弱点としている場合にダメージが増える効果がある。
滝落: 投落の上位技。掴んだ後跳躍、押し付けながらたたき突けるモーションだった。
気送: 後に使用する気留術を、触れている対象に与える。他社の強化や回復ができる珍しい手段。
複合: 習得している属性魔法を2つ配合した魔法が使用できる。混ぜた結果、特性が変わる場合もある。例えば「風+炎」で「爆発」、「土+水」で「泥」など。
土刃, 水刃など: 起点指定魔法の「柱」系統が魔力拳の影響で変化したもの。最大40cmくらいまでの刀身を生み出す。攻撃や受けに使えるが、一定時間毎に維持コストが必要。なお本来は中級魔法に分類され、刀身は90cmくらいまで伸びる。魔力拳仕様で縮む代わりに習得が早まっているのだろう。
また、ここまで魔法技能を育てた影響もあり、「下級魔法使い」称号が生えた。そして、「下級魔法使い」が条件になっていた複合称号の「下級賢者」と「下級魔拳士」も生えた。まぁ、使うことは無いだろう。
あとは触鑑定でも、「簡易鑑定」ができるようになった。スイッチ式の技で、有効にしていると、手が触れただけで物体の名称が通知されるようになる。また簡易鑑定は、相手に鑑定通知が飛ばない。おかげで、とりあえず触れたモンスターがすぐにわかるようになった。
ただし、簡易鑑定だけでは、触鑑定のレベルは上がらない。また、本棚のように、オブジェクトが密集している所に触れると通知の洪水が来る。なので、使い分けが必要だ。
そんな俺だが、今日は「E2 ヒッツの森」にやってきている。
俺のレベルが25になったことで、おくたんの「採集」技能がレベル15になった。これにより、おくたんは、茂みや木、岩などに隠された道やお宝を発見できるようになった。
「ナビー。森の北東部を散策する。特に道は決まっていないので、通れそうな通路を先導してくれ。」
「了解しました。」
「おくたん、今日は採集はしなくていい。代わりに、怪しい個所を見つけたら知らせてくれ。そうだな、スコップと鎌を打ち鳴らしてくれ。」
まとめウィキによると、森の北東部にお宝が眠っているらしいのだ。これは、1プレイヤーにつき1個入手可能だ。
道中のモンスターは、まだ低い氷や闇の魔法のレベル上げに使う。そうやって倒しながら進んで行くと、おくたんがカンカンと音を鳴らし始めた。どうやら見つけてくれたらしい。
近づいていくと、杖が木に引っかかった。そして、手で触れてみた所…
幻の木:
種別: オブジェクト
説明: 実態があるように見える木。伐採斧を宛がうと消滅し、背後に隠された道を示すだろう。
間違いなく真理がやらかしている。まとめウィキ情報では、鑑定結果は「ヒッツの木」らしいからな。
というわけで、おくたんに伐採斧をぶつけてもらうと、木が倒れる音がしつつ、実態は地面に沈んでいくように消えていった。まぁ、本当に木が倒れたら交通の邪魔になるので、音だけするというのは知っていたんだが…
そして、その先には情報通り、宝箱が置かれていた。開けると、「魔力の種」が入っていた。ダンジョン最奥部などで手に入る「魔力」の基礎値が増えるアイテムだ。
ヒッツの森のお宝は、これだけでいい。実は南西にも「索敵の技能書」があるのだが、俺には不要だからな。
なお、「E3 迷いの森」にも同じようなギミックはあるのだが、こちらについては、復活薬や素材が主だったので、行かなくて良い、という判断をしている。