08-07 ブレイオVSN1フィールドボス

改定:

本文

「ユー様、おはようございます。」

「おはよう、ナビー。今日は、キトル村へ向かうぞ。先導してくれ。」

「了解しました。キトル村はこっちです。」

始まりの草原で狩を続けること3日… ブレイオは、レベル7に上がった。

「幼体」は、レベルアップに応じてデメリットが緩和される技能だった。とはいえ、レベル5の段階でも、まだまだレベル0のモンスターに劣っている。レベル7になって、ようやく超えた… といった所だ。

なお、レベル5まで上げた時にMPの条件を満たしたので、一発「広雷」を使わせてみた。

結果、この辺りのモンスターだとHP6~8割が溶けるようだった。そして、ブレイオ自身は雷を吸収して回復していたので、「クールタイム終了しだい連射」が可能と言える状況だった。

それと、広雷の仕様は、トマの塔で使われたものと同じだった。ゴロゴロとした音が響いてから5秒ほど経過した後、ズドーンという音がした。威力が足りれば、きっと「モンスターの群れをやっつけた」のような趣旨の通知があるだろう。

この特徴から、魔法自体の発動はバレバレだし、賢いモンスターは防御するなどしてくるだろう。場合によっては、発動を妨害してくるモンスターもいるかもしれない。

ちなみにトマの塔では、カイムさんは結界を張って防御、リーネさんは雷霊鬼の後ろからカイムさんの結界まで駆け戻っていたらしい。よって、あそこで直受けしていたのは俺だけだったとのこと…

つまり、広雷は強いが、知っていれば防ぐ手段はそれなりにある。またボス部屋のような閉鎖空間でなければ、範囲外へ逃げることも可能な場合もある。そういった事情は、心に留めておくべきだろう。

名前: ブレイオ

種族: 雷の幼鬼精

レベル: 7

体力: 7

魔力: 16

筋力: 13

防御: 8

精神: 17

知性: 8

敏捷: 6

器用: 10

技能:

: 槌術10, 体術6, 魔法(雷10)

技術: 念話1, 魔力操作12, 魔棍生成9, 浮遊9, 投擲4, 受け身7, 危険感知8, 疾走16, 跳躍8, 安定移動11

支援: 言語(人類), 世界知識

耐性: 吸収(雷)

特質: 精霊(雷), 半実半霊, 執着者, 幼体

槌術: 強撃, 受槌, 振払

体術: 強撃, 足払

雷: 雷球, 通電, 雷槍, 電縛, 広雷2

そんなブレイオを連れて、今日は始まりの草原を北上中だ。

今日は、いよいよN1フィールドボスを倒して、次のマップへ向かう。さすがにブレイオのレベルアップが厳しくなってきたからだ。

「主人。モンスター、見えてる。戦わない?」

そうやって歩いていると、ブレイオがモンスターを視認したらしい。ブレイオに遠視はまだ無いので、モンスターが交通路の外側、わりと近い所まで迫っているのだろう。

「今日は戦わないぞ。この道を進んだ先にいるボスに挑戦するからな。」

「ボス、強い?」

「今のブレイオには手強い相手になるだろう。だから、道中は体力を温存しておくんだ。」

「わかった。ついてく。」

第1マップでは、モンスターは交通路に入ってこない。正確には、交通路にいる者に対し、攻撃本能が著しく抑制されるようだ。その抑制効果が、第2マップ以降は弱まるので、第2マップからは交通路でもエンカウントするのである。

なお、第1マップでも、交通路から狙撃する、あるいは、挑発系の技能でヘイトを稼ぎトレインしてくることで、交通路にモンスターを招き入れることが可能だ。この方法は、モンスターの増援を抑制しつつ、狙ったモンスターを狩る手法として紹介されている。

「始まりの草原 北端に到着しました。間もなく、キトル山の領域に入ります。」

早朝から北上を続けて14時頃… ようやく、目的の場所に到着した。

「主人。この先、何か、危険!」

「そうだ。危険なヤツがいる。だが残念ながら、そいつを倒さないと先に進めないんだ。」

ブレイオの危険感知は、ちゃんと仕事をしているようだ。仕事をしなくても結果は変わらないんだけどな。

「大きい、蟻!」

「だろうな。ブレイオ、行けるか?」

「行く!」

「まずは、雷球だ。その後は電縛をかけてみると良いぞ。」

始まりの草原 北部のフィールドボスは、「アーマーアント」。ビッグアントが全長2メートルくらいに巨大化し、体に鎧を纏っているらしい。攻撃力は低めだが、鎧のおかげで物理や炎に強いのが特徴だ。

なお、今回も俺は待機だ。俺が戦うと、ただのパンチでも数発で討伐できるだろう。その程度に、レベルの差が開いている。

とはいえ、さすがにアーマーアントがこっちに来たら、俺が狩るとしよう。ブレイオには俺を庇わなくて良いと伝えてあるからな。

一方、こちらはブレイオ…

主人であるユーに、召喚石から解放してもらった。外ではなかったが、なんだか懐かしい雰囲気のある場所だった。

主人は名をくれた。そして、いろいろなことを教わった。一緒に来ていた人、リーネもカイムも良い人だった。

次に召喚された時は、本がたくさんある部屋だった。本を読むと、知らないことを知ることができるらしい。

本を読んでくれた人は、リーネやカイムとは違った。でも、字の読み方を教えてくれる良い人だった。

主人も、本を読んで強くなったらしい。強くなるためには、体を動かす以外にも必要なことがあると知った。だから、本をたくさん読んだ。

その次に、外に出た時は、海だった。砂を投げたり、走ったりした。

主人から、いろいろな魔法を見せてもらった。手から水が出たり、火が出たり、暗くなったりしていた。魔法の本に書いてあった、属性というものだろう。

、少し前から、モンスターと戦い始めた。

たまに負けることもあったけれど、主人は助けてくれた。そして、強くなった。

目の前に、大きな蟻がいる。雷の球や、電気の縄は良かった。でも、金棒はあまり効かなかった。まだまだ力が足りない。

「ブレイオ。近づいたら強撃だ。その後はいったん離れると良いぞ。」

主人に教えてもらった通りに攻撃している。蟻は動きは遅いが、噛まれたら大変だ。鳥のクチバシよりも危険だと感じる。だから、攻撃したら下がるということは良いと思えた。

そうやって戦っていたら、蟻が主人の方へ行ってしまった。後ろから攻撃しているのに、こっち向いてくれなかった。

そして、ユー。

「おっと。こっち来たか。なら仕方ない。」

アーマーアント、ブレイオから逃げるためか、まさかのこっちにやってきた。ギシギシと音がするので、それなりに位置がわかるのだ。

というわけで、体に触れた所で、足元から持ち上げて投落!

「N1 フィールドボス アーマーアントの討伐に成功しました。 N2 のマップが解放されます。」

やはりレベルによる暴力は偉大だった。なお、持ち上げた時に触鑑定した。

アーマーアント:

種別: モンスター・フィールドボス・虫

レベル: 5

HP: 49%

状態: 敵対・捕縛

説明: この地域に生息するビッグアントの首領。金属のように硬い鎧に包まれており、生半可な武器は通らない。なお、鎧は脱ぐことが可能で、何らかの理由でひっくり返った場合、鎧から脱出して復帰しようとする。

識別:

体力: 50

魔力: 10

筋力: 15

防御: 25

精神: 10

知性: 20

敏捷: 10

器用: 15

属性: 無

説明にもある通り、通常の攻撃はあまり通らない。だが、ひっくり返すと鎧から出てくる習性があるため、そこを襲うと大ダメージが見込める。

また、まとめウィキによると、手足や顔、継ぎ目っぽい所などが無防備であるらしい。それ以前に、鎧部分を攻撃してもノーダメージではないので、蟻からの攻撃を適切に処理できるならごり押しも可能だそうだ。

「やった、蟻、倒した!」

「おぅ。よくやったぞ。」

「主人、強い。」

「そうだな。ブレイオも、これくらい強くなって欲しいぞ。そうすれば、行きたい所に自由に行けるようになるからな。」

「わかった。強くなる。外、楽しい。」

やはり、真理が説明していたように、ブレイオは外の世界に対する関心は強いようだ。その関心を糧に育ってくれれば、俺としてもうれしい限りである。

「キトルの村に入りました。」

その後、道なりに歩いて、問題無く第2マップに通じる村「キトル村」へ到着した。なお、今回はブレイオを召喚したままだ。

「家、人、いる!」

「村と呼ばれる集落だ。今回は一緒に歩こうな。ブレイオは、周りの様子を見ながらで良いからついて来てくれ。」

「わかった。見て回る。」

村であれば、街と比べて、刺激は弱いはずだ。草原での活動に慣れたブレイオなら、きっと順応できるだろう。

また、ブレイオはまだまだ「幼体」技能持ちだ。いろいろな体験をした方が良いはずだ。まぁ、それ以上に、旅行仲間なので、必要な時以外は召喚したままで良いだろう、というのもある。

なお、おくたんについては従来通り、「マップ切り替えで自動送還」としている。おくたんは勝手に成長はしないし自己意思も無いからだ。

あと、役割が「道中で勝手に採集する」ことなので、こういう設定にしないと、俺自身が忘れてしまう可能性もある。なおブレイオも、自由に狩をするようになるなら、同じ設定をする可能性はあるぞ。「どこ行ったかわからない時は、マップ切り替えすれば戻って来る」は、まとめウィキでも紹介されていた手法だからな。

それはともかく、まずはギルドへ向かうとしよう。