09-08 お薬道場、そして観光終了

改定:

本文

「続いて、調薬所へ向かいます。しかし、近くに露店があります。果実が見えます。」

「果実か… 行ってみようか。」

武具屋を出た次は、調薬所だ。ナビーは「近い順に」と言っていたので、きっと、錬金術店より近いのだろう。

そして、それとは別に露店も発見。露店めぐりは続ける予定でもあったので、当然立ち寄ることにした。

そこで売っていたのは、バナナや柿、葡萄などの果物だったので、必要量を補充した。なお、「キトル山産」なのだが、転移を用いて他の街へも輸出されているため、俺自身は何度も食べたことがある。「購入」ではなく「補充」なのはこのためだ。

「調薬所に到着しました。入口は閉まっています。こっちです。」

その後、調薬所にも到着した。お薬を扱っているだけあり、ちゃんと入口を塞いでいるようだ。大半のお薬はインベントリーの中だろうから、汚れようが無いだろうけれど。

入口に近づくと、武具屋と同じような石の階段があった。階段を置いている建物が多い印象だが、何かこだわりがあるのだろうか?

その階段を上ると、杖が木ではない何か触れた。手も伸ばしてみると、木枠にガラスがはめられたような扉だった。杖は、ガラス部分にぶつかったらしい。

そして、取っ手を発見したので押してみたら、普通に動いたので、そのまま中へ…

店の中は、広がりを感じたと共に、人の声もけっこう聞こえている。まるで、冒険者ギルドの受付のようだ。お薬は住民も買うだろうから、もしかしたらギルド以上か?

「ナビー。受付に行きたい。」

「現在、全ての受付に人が並んでいます。」

「全てということは、受付は複数あるのか?」

「はい。受付は4つあります。」

「なるほど。尤も列が少ない所には何人いるんだ?」

「3人です。」

「わかった。なら、そこへ先導してくれ。」

「列の最後尾へ移動します。こっちです。」

店の中は、大混雑ということはなかったが、列がいっぱいになる程度に人は集まっているようだ。一番空いている所で3人なのだから、少なくとも15人以上が受付で何かをしていることになる。

そのまま、ナビーに「ここです」と言われた場所へ移動し待機する。そして、漏れ聞こえる声を拾ってみた。

結果としては、定番のお薬やポーション類を購入する人が多いようだった。風邪薬や解熱剤といった話も出ているので、NPCもやはりお世話になっているのだろう。

なお、「風邪薬」などのアイテムには、「自然治癒の促進」や、「一時的な耐性向上」、あるいは「体力の一時的な上昇」といったバフ効果があるものが多く、対応するポーションよりも安価でもある。ただし、得られる効果が微量、且つ、連続の服用に制限があるため、常用するのは難しい。

「受付が利用可能になりました。こっちです。」

5分ほど待っていたら、無事に受付が開いた。

なお、漏れ聞こえた声の印象から、受付の人は中年くらいの男性のようだ。長く勤めているのか、あるいは自分で調薬しているのか、手続きが慣れている印象だった。

「いらっしゃいませ。こちらは、ノンノリア調薬所の受付になります。」

「いくつか探しているお薬がある。それから、ポーションを補充したい。」

「了解しました。では、先にポーションからよろしいですか?準備の間に、お薬の方を伺いましょう。」

「わかった。ポーションだが…」

俺は、N3攻略に向けて必要なポーションを買いそろえていった。と言っても、いつもの回復、治療系のポーションだが…

この調薬所最大の売りは、第3マップにして初の「復活薬」が入手できることだ。だが、俺たちには以下の理由から不要である。

  1. 俺が死んだ場合、おくたん、ブレイオは強制送還されてしまうので、俺を復活させるには、パーティメンバーが必要になる。
  2. おくたんやブレイオは、復活薬で復活させられない。それぞれ、違うアイテムが必要で、いずれも「調薬」の領分ではない。

「承りました。準備させますね。それで、お薬ですが、どういったものをお求めでしょうか?」

続いてお薬の購入だ。俺は、まとめウィキに掲載されていた情報に従って、微量なバフの得られるお薬を買い集めていった。

「調薬所」だが、まとめウィキ上では「付与魔法の入門店」とか「身体強化の師匠」などと解説されている。つまり、技能の習得や育成のために有用なのだ。

「付与魔法」などの技能を習得、育成するためには、「さまざまなバフに対する理解」が必要だ。具体的には、「該当するバフだけをかけた状態で一定時間活動する、且つ、バフが切れた後に一定時間活動する」という複合条件があり、これに各種お薬の効果が、連続使用の制限も含めて適合するのだ。

「それなら、魔法でバフをかければ良いじゃないか?」という考え方もできる。もちろん、その考えは正しいのだが、実際には難しい。例えば「水縛」のバフ効果は「熱耐性、知性上昇」という複合バフなので、条件が満たせないのだ。

なお、俺の場合は「気留術」の「強化」で身体能力系のバフは条件を満たしているはずだ。だが、耐性上昇系のバフについては適合する技を持っていなかった。

「お お買い上げありがとうございました。でも、飲みすぎには気を付けてくださいね。」

「わかっている。一気に飲むわけでも、制限に反して飲むわけでも無い。」

「はい。それと、お薬を飲むと脱力したり、眠くなったりするものもありますので、ご注意くださいね。」

お薬だけで60個ほど購入したからだろう。心配されてしまった。

なお、制限を無視して服薬すると、中毒症状を受ける。具体的には、自然治癒でしか治らない毒を負ったり、半日ほど飲食ができなくなったりする。なお、その行為を繰り返すと、「薬物中毒者」という凶器称号が生えるぞ。

それとは別に、一部のお薬には副作用として、軽度の睡眠や脱力効果が付いているものもある。ただ、これらについては耐性があるので踏み倒せるだろう。

「助かった。お薬は、数が間違っていなければ要らないと思うが、ポーションは補充するかもしれない。」

「承知しました。またのお越しをお待ちしております。」

必要な物も買いそろえたので、ひとまず調薬所は終わりで良い。では、本日の最後、錬金術店に向かおう。

「錬金術店に向かいます。こっちです。」

「いや、待ってくれ。ナビー。今日はやめておく。」

当初は、錬金術店にも行くことを考えていたのだが、今日は止めることにした。いろいろイベントがあって疲れたこともあるのだが、それ以上に、実の所、錬金術店で欲しい物が無かったのである。

ということで、今日の観光はおしまい。その後俺は、ギルドへ戻った。

「主人。このティー、不思議な味。甘い。」

「そうだな。確かにこれは紅茶に近い味わいだな。」

ギルドでやったことは、ブレイオと共に購入した茶葉の飲み比べだった。

今日は、ひとまず前半5種類について飲み比べてみることにした。ティーで回復する満腹度は少ないので、5杯くらい一気に飲んでも問題無いのだ。

「ブレイオは、好みの味はあったか?俺はスイート濃厚ブルーセージだな。抹茶みたいな味だった。」

「全部美味かった。でも、イエローハニーはまた飲みたい。」

「イエローハニーか。はちみつレモン風味だったな。他のも味見するが、今度見つけたらまとめ買いするとしよう。」

残念ながら、「大好物」は見つけられなかったが、ヒントみたいなものは見つけられたのかもしれない。言われてみると、はちみつやレモンを使った料理を食べていないな。

「主人、茶葉、味が豊富。いろいろな葉っぱからできている。」

「そうだな。どうすればこんな味になるのかわからないものもあるが、ブレンドの具合は良いように感じる。」

茶葉の味は、いろいろあった。ハーブティーなはずなのに、はちみつレモンな風味もあった。葉っぱ以外にも何か混ぜているのだろうか?

とりあえず、美味しかったという茶葉については、ゲーム内のメモ機能に鑑定データを張り付けておこう。また、一致する茶葉が見つかった場合に通知するようにしよう。大量生産で同じ茶葉を作っているのなら、これでうまくいくだろう。

その後、残りの満腹度に対応した軽食を取り、俺はログアウトした。

明日は、ランダムダンジョンでも探してみよう。できれば、N3の階層型ダンジョンで、ブレイオのレベルを上げ切手しまいたい所だ。

なお、ダンジョンが見つからない時は、トマの塔へ向かう予定だ。正直、雷の通りが悪いので、そうならないで欲しい所だが…

最後に、インベントリーの整理をした。直近で不要そうな物は倉庫へ移動したり、売り払ったりした。

インベントリー (通常アイテム):

ポーション X 30

MPポーション X 30

ハイポーション X 5

毒消しポーション X 15

安定ポーション X 15

魔払いポーション X 15

フレイバー薬 X 60

テント X 5

煙玉 X 5

松明 X 5

魔除けの葉 X 100

脱出の札 X 2

布マスク X 3

採取用手袋 X 4

高級携帯食 X 10

茸焼き X 30

フルーツ X 30

ブレンド茶葉 X 30

浄水筒(小) X 1

冷却コップ X 2

発熱コップ X 2

ダンジョン発見機 X 1

木製テーブル&チェアセット (3人用) X 1

インベントリー (貴重品):

冒険者証 X 1

旅人の鍵 X 1

ゴーレムコントローラー (おくたん) X 1

解放の証 (視覚) X 1

契約の証 (ブレイオ) X 1

インベントリー (装備品):

炎の鉄拳 X 1

魔弾鋼のナックル X 1

白木の杖 X 1

樫の杖 X 1

鉄の短メイス X 1

耐海武術着 X 2