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「ユー様、こんばんわ。」
「おぅ。こんな時間だが、今からヒマラン大草原へ向かうぞ。いつも通り、先導を頼む。」
「了解しました。まず、 E4 古き塔の都 トマ へ転移します。こっちです。」
ゲーム内で20時を過ぎた頃に、俺はログインした。
今回は、ヒマラン大草原へ向かい、レベル上げをしつつ、次の街を目指す予定だ。
しかし、今回は夜間の移動とする。このマップに関して言えば、夜に挑むことが推奨されているからだ。
「E5 ヒマラン大草原に入りました。」
というわけで、トマを経由して、再びヒマラン大草原にやってきた。今回はガッツリと狩りをする予定だ。
「主人。今日は夜に挑むか?」
「そうだ。今回は夜の狩りだ。モンスターは電磁感応で探ってくれ。」
「心得た。だが、少し時間が欲しい。モンスターと、草の違いを探る。」
「かまわないぞ。ただ、植物系モンスターは、近づかないと動かないから、ここからだと違いはわからないかもな。」
さて。この大草原に出現するモンスターは、以下の通りだ。
シャドーキャット: 鋭い爪を用いて、俊敏な動きを生かしたヒット&ウェイを仕掛けてくる。また、爪を用いた衝撃波を放つ遠距離攻撃も持っている。
グリーンタートル: 人間サイズの亀。緑色の甲羅が保護色になっており、視認しにくい。甲羅の防御力で耐えながら接近戦を仕掛けてくる。なお、グリーンと付いているが炎に耐性がある。
ツインワイパー: 前兆2メートルほどあるらしい、頭が2つある蛇。ただ、片方は索敵や補助を担当しており、2回攻撃してくるわけではない。
リーフオストリー: 全身から鋭い葉っぱが生えた駝鳥。人が乗れる程度に大きく、葉っぱカッターを放ちながら突進してくる。
ヒマランホース: 草原内を走り回っている馬。人が乗れるくらい大きく、加速から調薬、足で踏みつけてくる。
ブラッディローズ: 動くバラ。近づくと吸血攻撃してくる。また、弱点である根本を攻撃しないとすぐに再生する。
ハンマープラント: 弦を巻き付けたり打ち付けたりしてくる植物。弦は長く、すぐに生えてくるため、胴体を攻撃しないと倒せない。
ハイグリーンスライム: グリーンスライムの進化種。潜伏している時には小さいが、踏むと人を飲み込めるくらいに大きく広がる。
モーリンバグ: 転がって移動する虫。地中に潜り、足元から突きあげてくることもできる。
クリプトン種: 武装したゴブリンの進化先の一つ。剣や槍、杖などを装備しており、物理や魔法で攻撃してくる。
この中で厄介なのが植物系の特性を持つモンスターたちだ。その最たる原因が、特質技能「光合成」にある。
名前から想像も付く人も多いだろうが、この技能があると、日中は自然回復促進とステータス上昇があるのだ。一方で、夜間に弱体化するデメリットも抱えている。故に、今挑んでいるのである。
「主人。だいたいわかった。あとは戦って確かめる。」
「よし。じゃ、行くぞ。ブレイオは、特にモーリンバグに注意な。」
ブレイオもだいたい把握できたようなので野に放ち、俺も向かうとしよう。ブレイオは、自由に戦わせた方が、お互いに楽だからな。
と、いきなり、前方でズドーンという音がした。雷属性の中級魔法「落雷」だったな。「広雷」と違い単体攻撃だが、その分コスパが良かったはずだ。
なお、ブレイオには、無暗に広雷は使わないように言ってある。攻撃範囲が広いため、意図せず大量のモンスターを釣り出してしまうからだ。
そのまま歩いていくと、足に何かが絡まるような感覚があった。
陣気を使うと、それはすぐに離れた。弦ではないようだ。
「ニャッ!」
いや、猫だった。この声はシャドーキャットか!
その後、シャドーキャットは泣きながら飛びついてきた。爪で指圧されたが受け止めつつ、抉拳を叩き込む。
「ウニャッ!」
地面にたたき落としたので、近づいて強撃、さらに連撃!
「シャドーキャットを倒した。経験値を129獲得しました。」
斥候型のモンスターで耐久が低めだったこともあり、倒し切ることができた。ここ最近は、格下ばかり倒していたので、これだけ技を叩き込んだのも久しぶりという印象だ。
シャドーキャット:
種別: モンスター・獣
レベル: 25
HP: 88%
状態: 敵対, 真理の枷+1
説明: 黒い体毛を生かして、陰に潜むような動きをする猫。鋭い爪を生かした戦闘を得意とする。
識別:
体力: 37
魔力: 50
筋力: 62
防御: 25
精神: 50
知性: 25
敏捷: 75
器用: 50
属性: 闇
弱点: 炎
「ギャギャッ!」
「ギー」
おっと。クリプトンだ。2匹はいるようだ。
そのまま戦闘に突入。構えていると正面から何かが出てきてぽふってなった。掴んだら案の定槍だったので、槍ごと投落!
次に、横から肩の辺りに何か引っかかった。いつの間にか隣まで来ていた胴体を掴み、こっちは滝落!
続いて、何かがぽふってなった。さっきの槍が起きたかと思って手を伸ばしたが、そこには何も無かった。魔法もいるか?
そんなことをしていたら、後ろからぽふってなり、捕まえたら槍だった。さっきの槍化どうかは知らないが、槍事引き寄せて掴撃!倒れたところに、新技の「連踏」を打ち込んだ。
「連踏」は、近接体術の新技で、ストンピング系統の攻撃になる。倒れた相手の上に乗って使うと、タップダンスのような不思議な感じで両足から蹴りが出て踏みつけることができる。あるいはドリルキックの類なのかもしれない。
途中で下のモンスターが消えたことでモーションが終了。その後、横から、また肩の辺りに… ん?下からも何か来てるか?腕刃を使い、上と下を凪いでおく。それで、下のは植物っぽい触感だった。
ハンマープラント:
種別: モンスター・植物
レベル: 26
HP: 100%
状態: 敵対, 真理の枷+1
説明: 伸縮する弦を使う植物型のモンスター。本体を破壊しない限り、弦は何度でも再生する。
識別:
体力: 13
魔力: 39
筋力: 52
防御: 13
精神: 52
知性: 13
敏捷: 26
器用: 78
属性: 木
弱点: 炎, 氷
ハンマープラントは、本体は非常に脆い代わりに、弦に対する攻撃でダメージを受けない特性を持っている。まだ出会っていないブラッディローズも同じような特性だ。
とりあえずは、近くにいるクリプトンを処理する。ハンマープラントの弦は、腕刃で凪いだらどこかへ行ってしまったからだ。
そして、クリプトンを倒し終えた頃、また足元から何かが伸びてきた。掴んだら、またハンマープラントの弦だったので、引きちぎってみた。すると、ちぎれた弦は溶けるように消えていった。枯れもしないのか… というか、切断しなくても良かったんだっけ?
とりあえず、弦が伸びてきたと思われる方向へ近づいていく。茂みがわさわさ揺れているような音はするが… ここは大草原。そんな音はあちこちからしているので、特定はできなさそうだ。
おっと、また弦が来たようだ。引きちぎるのが早そうなので、そのままぶちっとしておく。
だが、困ったな。巻き付けに来ているかもしれないから、手繰り寄せて… というのは難しいだろう。
「ブレイオ、そっちはどうだ?手が空いてるなら、こっちにいる植物を倒して欲しい。」
「植物は主人の正面にいる。」
なんだって?
前進して触れた何かを触鑑定した所、確かにハンマープラントだった。
どうやら、幸運にも正面まで来てしまったらしい。なら、炎刃だ!
「モンスターの群れを倒した。経験値を481獲得しました。」
近づいてしまえば問題無く狩れる。だが、この調子だと消費が重いのと、手数不足で事故が起こりそうだ。対策装備があっても、やはり植物は厳しいだろうか…
と思ったら、足元に何かが乗ってきた。亀か?と思って触れたら…
ハイグリーンスライム:
種別: モンスター・スライム
レベル: 26
HP: 100%
状態: 敵対
説明: 草原に生息するスライム。普段は身体を縮めて活動しているが、飲み込むべき相手に取り付くと広がろうとする。
識別:
体力: 39
魔力: 52
筋力: 13
防御: 65
精神: 52
知性: 39
敏捷: 13
器用: 26
属性: 水, 木
弱点: 氷, 炎
ここのスライムは徘徊するのか!
既に触れているので、炎波を使い、直接焼く。その後、もう片方の手で伝衝を打ち込み内部を破壊。これで撃退できた。
「ブレイオ。戦えているか?」
「戦えている。が、モンスターの数が多い。」
「だろうな。こっちも消費が大きい。今日は攻略を止めて、MPが減ってくるまで、この辺りで狩りにしよう。」
「心得た。」
その後、俺たちはMPが切れるくらいまで狩りを続け、その後はトマへ戻った。
成果としては、俺はレベル30に、ブレイオもレベル29に上がった。このまま、レベル32くらいまで狩りを続けるのも選択肢ではあるが、さてはて…
できれば狩りながら攻略と行きたかったが、分けて作戦を練るべきかもしれない。あるいは、野良パーティ募集に踏み込むべきか…