10-04 E5 大草原リベンジ、護衛を付けて守都え

改定:

本文

ヒマラン大草原は、想像よりモンスターとのエンカウントが激しいことと、どこにいるかわからない植物の処理が面倒であることがわかった。

ただ、幸いなのは、攻略を考えず、モンスターを探して狩るなら、問題は無いこともわかった。MPはそれなりに消費するが、HP回復にリソースを割かれずに済むのは良い。

それも踏まえた上で、まずは街への到着を目指そうと考えている。レベルは後からでも上げられるのだし、二次職もある。装備の更新もしたい。

とりあえず、手っ取り早い解決策として、フレンドに相談してみることにした。その結果…

アヤ: そもそもトマの塔が終わってない。

アステリア: 「中級虫除け薬」を使えばエンカウントをカットできる。下級だと獣や鳥、虫に若干効果がある程度。今回のネックである植物やスライムには効果が無い。1個2000pで作ってくれる。

カナミー: 検証するネタがあれば良いけれど、それ以外はお断りしているとのこと。それこそ、今は「真理」について検証する準備に追われている。

「お久しぶり、というほどではなかったですね。」

「まさか、あの金額で護衛に応じてもらえるとは思わなかったぞ。助かる。」

「問題ありません。第5マップの護衛依頼としては、適正な価格ですよ。むしろ、商人の護衛クエストに比べると気楽なものです。」

ということで、ルーウェン搭乗。ヒマランまでの道中の護衛をお願いすることにした。

なお、料金は20000pだ。冒険者ギルドに掲載されていた同種の護衛依頼報酬を元に設定した。

「E5 ヒマラン大草原 に入りました。」

というわけで、「護衛がいるなら夜に行く理由も無い」ということで、早朝から侵入、守都へ向けて歩き始めた。

「ふむ。ハイグリーンスライム、ハンマープラントですか。私が、あれらを狩れば宜しいのですね?」

「それでお願いしたい。本体がどこにいるかわからないのが厄介でな。」

ルーウェンには、植物やスライムの処理をお願いした。残りのモンスターは、俺たちで不通に処理できるからだ。

おかげで、それなりに戦闘しながらになったが、道中はとてもスムーズだった。植物とスライムがいないだけで、こんなに快適になるんだな、というのが正直な感想だ。

ただ、知っておきたいこともあったので、少し検証に協力してもらうことにした。

「ハンマープラント一匹になりました。周囲の露払いは任せてください。」

「わかった。正面に行けばいいんだな。」

検証1: 弦に巻き付かれた場合にどうなるのか?

まずは、放置して巻き付かせてみた。弦は、腹部、腕、足などに巻き付いてきた。簀巻きにする感じではないようだ。

結果、巻き付かれたことによるダメージは無かったが、「束縛」の状態異常は付いて、手足を自由に動かせなくなった。その後、別の弦で体を打ち付けてきたのだが、打ち付ける部位が安定しなかった上に音も無かったため、ダメージは一切受けなかった。

さらに、「陣気」を使用すると拘束が弱まることや、「腕刃」を使用すると、腕に巻き付いていた弦が千切れてしまうこともわかった。また、魔法も有効であり、「炎刃」や「炎波」を使って焼き切ることすら可能だった。

「おやおや。ハンマープラント単体なら、ユーさんは臆する必要は無いようですね。」

「そのようだ。巻き付かれても抜け出す策があることがわかったのは収穫だった。ルーウェンさんに露払いしてもらわなかったらサンドバッグになりそうだからな。」

検証2: 弦を手繰り寄せると近づけるのか?

巻き付かれた弦を処理した上で、伸びていた弦の1本を掴み、手繰りながら近づいていった。

結果、手繰る過程で、弦を巻き付けてくる動きはあったが、ちゃんと本体の所まで近づくことはできた。ハンマープラントに「弦を切り離す」というアクションは無かったのだ。

ただ、巻き付いてきた弦を処理するために、技や魔法が必要だったので、MPの消費的には微妙なこともわかった。何しろ、弦を手繰るために手を使っているので、引きちぎることができなかったからだ。

「ユーさん。捕獲握力強化がありましたよね?握りつぶすことはできそうですか?」

「ん?あぁ、なるほど。やってみよう。」

ルーウェンに言われて、そんな技能があったことを思い出す。

実際に、力を入れてみると、弦がギュッと握れる感覚はあった。だが、ゴリラがリンゴを握りつぶすような感じにはならなかった。

「残念ながら、今の俺の筋力では足りないらしい。」

「筋力ですか。では私も… これは、筋力があれば可能なようですよ。」

「なるほど。えぇと、強化 筋力… お、行けた!」

結果、ルーウェンはナチュラルに、俺は筋力をバフれば行けることがわかった。引きちぎる方が楽だが、強引突破はできそうだ。

「ユーさんの筋力で強化が必要ということは、およそ筋力100程度は必要なんでしょうね。」

「そうかもな。特化職なら、行けるということか。」

検証3: 吸血と正々堂々

次に、キトル山では様子がわからなかった吸血攻撃について検証することにした。マウンテンモスは触れようとしても逃げてしまう上に小さかったことが原因で、吸血攻撃が無効化されてしまったのだ。

「ブラッディローズだけになりました。回復の準備もできていますので、近づいてみてください。」

「助かる。」

ということで前進。すると、甘酸っぱい匂いがしてきた。薔薇を育てたことは無いが、「薔薇の香りの香水」をつけている知人からの匂いを感じた記憶を思い出す。

さらに近づいていくと、体に何かが絡みついてきた。手で触れてみると、茎のようなものだった。とりあえず触鑑定…

ブラッディローズ:

種別: モンスター・植物

レベル: 25

HP: 100%

状態: 敵対

説明: 甘い匂いで相手を惑わし、茎や花弁を介して吸血攻撃してくる。なお、葉っぱや茎は破壊してもすぐに再生する。

識別:

体力: 75

魔力: 25

筋力: 75

防御: 5

精神: 75

知性: 5

敏捷: 25

器用: 50

属性: 木

弱点: 炎

ブラッディローズの茎で合っているようだ。というと、既に吸血を仕掛けようとしていることになる。が、まだ、衝撃の類が無い。

さらに、近づいていくと、何かが腕に触れた。触ってみると、花びらっぽかったので、花弁のようだ。

少し待っていると、腕と腰の辺りから何かが刺さった感覚があった。HPも減り始めたし、何か抜けている感覚もある。チューという音も聞こえている。

とりあえず、何かの手違いで一気に吸収量が増したら死ぬかもしれないので、この辺りでおしまいにしよう。陣気を使用すると、本体が離れた。そして、花弁もわかっているので、掴んで炎波!

「ブラッディローズを倒した。」

その一撃で倒せたようだ。それにしても、拍子抜けだった。

「ユーさん。お疲れ様でした。」

「あぁ、助かった。だが、想像していたのと違ったな。」

「私も驚きました。あそこまで接近すると、一気に吸い尽くされてもおかしくないのですよ。いったい何があったのでしょう?」

「謎だな。花弁から腕に吸血されたことはわかったのだが…」

結局、よくわからないが、ブラッディローズの吸血もガッツリとダメージ軽減の対象になっていることがわかった。いや、放置していると吸血量が増す可能性はありそうだが、そうなる前に倒すべきなことには違いないので、現状の結果で満足して良いだろう。

ということで、検証タイムは終了。植物の処理は面倒なことには違いないが、脅威度は落としても良さそうだ。スライムの方がよほど危険だろう。

その後は、ルーウェンと前方のモンスターを狩りながら直進… 翌日の夕方前には目的地に到着したのだった。

「草原の守都 ヒマラン に入りました。」

「ルーウェンさん、今日は助かった。植物についても検証ができたしな。」

「依頼なので問題ありませんよ。むしろ、ユーさんたちが十分に戦えるので、楽な依頼でした。」

「わかった。これ料金な。」

俺は、ルーウェンに依頼料 20000p を支払った。

「受け取りました。そうそう、一つ忠告しておきますよ。今回の検証をカナミーさんに伝える予定があるなら、死に戻りする覚悟をして下さい。」

「ん?ハンマープラントとブラッディローズの件か?」

「その通りです。彼女も立派な検証班ですから、きっと、HP0になるまでの時間の測定をするでしょう。」

「あぁ、なるほど。それも、場合によっては複数回… もあるな。」

「その通りです。そうした検証が攻略の助けになることもあるので、必要性の否定はしません。ただ、死に戻りを伴う検証になると、トラブルも多いですからね。」

「なるほど。さすがに、今は植物に干からびるまで吸血される覚悟は無いな。」

「それなら、黙っておくと良いですよ。まぁ、我々プレイヤーは、HPが全損するだけで、干からびるわけではありませんけどね。」

とりあえず、検証板への報告も含めて、止めておこう。ルーウェンも、きっと黙っていてくれるだろう。

「あ、そうそう。ユーさん、もう一つお知らせするべき事項がありました。」

「ん?それは?」

「私の見立てですが、この草原のモンスターのポップが増えているようです。この守都を舞台とした防衛戦イベントの兆候かもしれません。」

「守都防衛戦… か。ウィキで読んだな。レイドだったか。」

「イベント開始時にこの街にいると強制参加になりますので、ギルドで実態の確認をしつつ、備えておくことをお勧めしますよ。」

さらに告げられたのは、この街のレイドイベント「E5 守都防衛戦」が近いというお知らせだった。