10-13 N4フィールドボス 氷像の悪魔ホムク

改定:

本文

「スカイレッサーデーモンを倒した。」

「ホムクの試練洞窟 5層へ入場可能です。」

現在、俺たちがいるのはホムクの試練洞窟4層の最奥。そして、この先には最下層、つまりフィールドボスがいる。

資金的に足りてはいないが、それなりに資金を集めることはできたので、そろそろフィールドボスに挑んでみよう!というのが現在の考えだ。

この洞窟のフィールドボスは、「氷像の悪魔ホムク」。氷漬けになって封印されていた悪魔が、試練となって解き放たれた!という話なのかはわからないが、こっちに襲ってくるのだ。

基本的な攻撃手段は、眷属であるプチデビルの召喚と、闇や氷属性魔法による攻撃、あとはブレスだ。近接攻撃手段は持たないが、こちらが接近すると縮地のような力で離れる性質がある。

ただし、召喚や、ブレスの使用直後に硬直する特性があり、この間に攻撃すると、与ダメージが跳ね上がる特性がある。また、接近攻撃のチャンスにもなっている。

俺とブレイオは、上記の戦い方を共有した上で、最奥へと突入した。

「ホムクの試練洞窟 最奥に入りました。」

最下層は、反響する音を聞く限り、それなりに広そうな空間だった。ボスが動き回るのに必要なスペースということだろう。

「主人。最下層は丸い部屋だ。中央に像がある。」

「なるほどな。前に行くぞ。」

ブレイオも部屋について教えてくれた。そして、件のボスは、正面にいるのだろう。

少し歩いていくと、部屋がしゃべっているような感じの声がした。トマの塔でもあった対話イベントだ。

「この地の試練に挑む者よ。名を名乗れ。」

「俺のことで合っているか?」

「その通りだ。名を名乗れ。」

「俺はユーだ。」

「ユーよ。己が向かうのは冷たき大地。人が失い、捨て去られた大地。なぜ、その地へ赴く?」

「俺が知らない大地を踏みしめ、歩んでいきたいからだな。」

「良かろう。ならば、最後の試練を乗り越え、その覚悟を示すがよい。」

その言葉の後、正面からガシャーンという音がした。たぶん、包んでいた氷が一気に砕けたのだと思う。

「オォォォォー」

そして、息を吐いているような声がする。きっと、長らく凍っていたので、体内の換気でもしているのだろう。

俺は、その声の元へと近づいていった。そして、捕まえた。

氷像の悪魔ホムク:

種別: モンスター・フィールドボス・ダンジョンボス・悪魔

レベル: 25

HP: 100%

状態: 敵対, 真理の枷+3

説明: ホムクの試練洞窟を統べる悪魔にして、万人。北の大地へ向かう者の資格を、そこに存在する闇と氷の力でもって推し量る。

識別:

体力: 1250

魔力: 450

筋力: 25

防御: 25

精神: 75

知性: 75

敏捷: 75

器用: 50

属性: 闇・氷

実は、最初の声には、相手に恐怖を付与するという意味のあるものだ。もう、戦闘は始まっていたのである。

当然、その効果が効かない俺は悠々と接近。光属性付与からの滝落、連踏、さらに、炎と光の複合を纏って、聖拳!さらに、回り込んでもらったブレイオによる纏雷衝撃!

ドシーン!ドドドドド!ズッドーン!ドカーン、バチバチ!というハデな音がして、ホムクのHPを50%ほど消し飛ばした。

その後、俺たちは端まで退避した。ここからしばらくは、ホムクによる連続攻撃が続くことを知っているからだ。

「グオオォ!ヤルナ!チイサキモノヨ!」

その後、周辺からポンポンと音が鳴り始めた。まずは眷属大量償還による物量攻撃が来るようだ。あれ?いきなりそれでいいの?

俺は急いで正面へ移動。同時に、室内にゴロゴロという音が鳴り始めた。もちろん、ブレイオによる広雷だ!

「ワガケンゾクヨ!ユクガヨイ!」

という声が正面から聞こえた直後、雷のドッカーンという音がした。そして、俺は再びホムクを捕まえた。さっきのセットはまだクールタイム中で使えないので、抉拳、投落、そして強撃を打ち込む!属性付与で光を載せてあるので、広雷も合わせて20%ほどはダメージが入った。

「ケケケケケ!」

おっと、残っているプチデビルが突っ込んできたので、爆拳で反撃!広雷で7割ほど溶けていたようで、この一撃で撃墜できた。

「ケケケ!ケケケケケ!」

「ケーケケケ!」

その後は、近くのプチデビルたちにぽふぽふされたが、声を挙げてくれたので位置判明。それを元に、捕まえては撃退していった。

「コオリのサムサをシレ!」

おっと、後ろからブレスが来るようだ。習得した「耐性付与」で氷耐性を付けた上で、「炎壁」を展開!

ホムクの声がした辺りから、シュワー!という音がこっちに飛んできた。たぶん、冷凍ビームではなく氷のブレスなのだろう。だが、俺は寒さを感じなかった。左右から冷たい空気っぽいものは流れてくるが、ちゃんと、正面は炎壁が防いでくれている。

それにしても、試し撃ちした時にも思ったが、「壁」系統魔法の壁はずいぶん小さいな。幅が2メートルくらいしか無いように思う。きっと、魔力拳の影響で、圧縮されているのだろう。

「グオーーー!」

おっと、前方に雷が落ちて、ホムクがノックバックしているようだ。もうブレスも大丈夫そうなので、俺も壁を解除して突撃!そして、再び捕まえることに成功した。アレ?もっと逃げまくるイメージだったんだけどな。

属性付与が切れていたので、再び光を付与して、クール明けの滝落!、連踏、聖拳のセットだ!

すると、ドシーン!という音が部屋中に響いた。どうやら、ホムクのHPを溶かし切ったらしい。

「万人を下した者ヨ。見事なり!」

うん。前情報に基づく作戦がぴったりはまったわけだが、心躍る戦いだった。持っている技能をうまく組み合わせられた感じもする。

でも、もっと、ホムクがあちこち逃げ回るのを苦労して追いかけて… という戦いを覚悟してもいたので、そこは消化不良かもしれない。まぁ、そういうのを連発されると面倒でもあるので、これはこれで良いな。

「N4 フィールドボス 氷像の悪魔ホムク の討伐に成功しました。 N5 のマップが解放されます。」

「ダンジョンボス 氷像の悪魔ホムク の討伐に成功しました。」

「ダンジョン ホムクの試練洞窟 の攻略に成功しました。報酬を選択して下さい。」

凍らぬ花のマフラー:

種別: 防具・首

説明: 決して凍ることのない花から生み出されたといわれる。持ち主が凍り付いた時、熱を発して癒すだろう。

識別: 冷気耐性(小)、凍結回復速度上昇(大)

魔抵抗の技能書:

種別: 技能書

説明: 使用することで、「魔抵抗」の技能を習得できる本。

悪魔の三槍:

種別: 武器・槍

説明: 闇の力を祝した三股の槍。また、股部分は刃でもあるため、切りつけることも可能。

識別: 持ち主の精神、闇属性を増幅(小)、光属性への耐性低下(微)

メモリーボード スノーマン:

種別: ゴーレム用メモリー

説明: ゴーレムに装着することで、技能「安定移動」、「魔法(氷)」、「魔力操作」、「冷気無効」、「凍結無効」を与える。

この4つなら、「凍らぬ花のマフラー」で良い。特に後ろ2つは、使い道が無いからな。

「魔抵抗」は、魔法系の状態異常や、「不思議な踊り」などの魔力に干渉する攻撃に抵抗するのに役立つ技能だ。いずれは欲しいと思っているが、適切な相手と遊んでいれば勝手に生えるので、ダンジョンクリア報酬としてもらうのはもったいないだろう。

ただ、これを読む限り、「安定動作」や「凍結体制」辺りは、おくたんに持たせておくべきかもしれない。魔生具店の所長さんに提案してみると、考えてくれそうだ。

「報酬を獲得しました。ダンジョン ホムクの試練洞窟 から脱出します。」

こうして、俺たちは無事に N4 をクリアしたのだった。

「N4 試練の門村 ホムク に入りました。」

「え?いきなり人が!って、ユーさんだ!」

ダンジョンから脱出した所、アヤの近くに出現したようだ。