12-07 S4 裁定の進化と英霊

改定:

本文

「技能 裁定 が上限レベルに達しました。」

「技能 裁定 が、 中位裁定 に進化しました。」

「称号 中位裁定者 を獲得しました。」

ナザ島の地下迷宮で戦っていたら、上記の通知があった。そういえば、こっちもだいぶレベル上がっていたんだったか。

中位裁定:

説明: 真理に従う者を導き、反する者を裁き、滅する力。

技能や称号の説明文には特に違いは無かったので、単純に上位互換になったのだと思う。とりあえず、「真理の枷3」と「枷の報い2」になっているので、強くなっているのは確かだろう。

それにしても「低位」から「中位」になったか。この表記から、今後の進化先は「高位」や「最高位」と名のつくものになるのだろう。「最高位裁定者」なんて称号になったら、凄く目立ちそうだ。いや、「裁定者」も未発見らしいから、今更だったか。

それはともかく、時間はまだお昼。ラフィのレベル上げの続きをしよう。こっちも楽しみだからな。

「ゲコーッ!」

「え?うわぁ~!なんか弾け飛んだ!」

残ったカエル述師と戦っているブレイオやラフィの近くで祈祷をしていたら、件のカエルが悲鳴を挙げて、続いてリーネさんも悲鳴を挙げた。

「ん?どうした?」

「あぁ、えっと、ユーさん。たぶん、 枷の報い が発動したみたいだよ。なんだけど、なんか、びっくりするくらい強くなってるよ!」

「そうか。見た目には変化はあったのか?」

「そうだね。枷が見えてキュっとなるのは同じだったけど、前よりも痛そうな見た目だったね。」

どうやら、今俺に何かがぽふってなったのは、カエル術師からの魔法攻撃だったのだろう。さっきから何度かぽふぽふなっていたので、それで「真理の枷」が貯まっていき、「枷の報い」からの「裁定の枷」がオート発動したようだ。

実際の威力がどれくらいなのかはわからない。ただ、リーネさんに聞くと、「カエル術師のHPは6割くらい残っていた」そうだ。「ヒマラン大草原」でレベル上げをしていた時に、「ハンマープラント」に2割程度しかダメージが入っていなかった当時から考えると、強くなっている気がする。

なお、「弾け飛ぶ」エフェクトについては、「裁定の枷」でモンスターを倒し切った時に出るものだ。以前、カナミーと検証した時に教えてもらった。ただ、専用エフェクトではなく、爆発系の攻撃や、締め付けるなどの全身圧迫系の技で倒した時にも同じエフェクトになるそうだ。

とりあえず、「裁定の枷」の威力が増した結果、今後は、モンスターがいつの間にか弾け飛ぶシチュエーションが増えそうだ。幸い、このエフェクトは視覚効果のみであって、実際に何かが飛び散るわけではない。

「ラフィのレベルが20に上がりました。」

「ラフィの進化が可能です。進化先を選択して下さい。」

そして、ついに本命… ラフィの2段階目進化の時が来た。

剣舞の魂:

種族: モンスター・ゴースト

説明: 剣を持つ少女の体を取る思念体。一定の成長を遂げた心身は、更なる成長を求め、舞い踊る。

剣舞の若英霊:

種族: モンスター・ゴースト

説明: 少女の姿を持つ思念隊。優れた才と強い心を育て、英霊に至るための土台を備えている。

「英霊」ルートが来たか。

妖精やゴーストから、1つ格上げされた種族になる。精霊とは違う意味で、格の高い種族だったはずだ。

なお、まとめウィキでも「英霊」系の召喚モンスターの情報は扱われていたと記憶している。ラフィとは違う種族だったので、「そういう種族があって、強くなりそう」ということしか読んでいないが…

ただ、「英霊」は、その名の通り、英雄の気質があるようなので、ラフィのキャラがだいぶ変わるのではないか?という印象はある。まぁ「剣舞の魂」も、今のブレイオみたいに言動や口調が変わるかもしれないけれど…

いや、「若英霊」とある。体は成長したけれど、まだ幼い感じなのだろう。説明文でも、「土台がある」だけなので、「大成できるかはわからない」とも読める。

とりあえず、進化先を挙げた上で、ラフィに聞いてみることにした。俺としては、進化すれば相応に強くはなると思うので、どっちでも良いと考えている。最終的に強くなる「英霊」ルートは魅力的だが…

「え?ラフィちゃん、英霊になる素質あるの!」

「そうらしいな。」

「ん?私、英霊にならないといけないの?」

「素質があるだけだな。ラフィが、英雄、あるいは英霊にあこがれているなら、選んでも良いと思っているぞ。」

「ん。英雄は凄い。なりたい。でも、私、英霊にはなりたくない。」

「そうか。なぜ、そう思うんだ?教えてくれ。」

「英霊、今までのように一緒にいられなくなる… 気がする。」

「そうか。だが、ちょっと迷ってもいるようだな。それは、やはり、強くなりたいからか?」

「ん。英霊、凄く強いって知ってる。強くなること、ユーたちのためになるなら、英霊でも良いと思った。」

たぶん、ラフィは、「英霊」の強さと危険性を本能的に認識しているんだと思う。それなら、無理して「英霊」を選ぶこと自体が間違いだろう。

説明文を読む限り、「若英霊」から、「英霊」になる条件は、ただのレベルアップだけではないようだ。つまり、下手をすると、「最後まで大成しない」という事態もあり得る。正確な条件はわからないが、例えば「進化する時の覚悟が必要」みたいな条件があったとすれば、既に詰んでいると言える。

「なら、剣舞の魂にしよう。絶対に英霊になって欲しいわけじゃないし、無理に進めたらろくなことにならなさそうだからな。」

「いいの?」

「英雄とは、自分で選んだり、なったりするものじゃなくて、仲間に認めてもらうものだ。つまり、ラフィが英霊にならなくても、誰かの英雄になることはできるんだ。まずは、俺たちの英雄になってくれるか?」

「ん。それ、いい。なりたい。」

「わかった。じゃ、進化だな。」

「ん。ユー。手、握って良い?」

「良いぞ。」

ということで、ラフィの進化先を決定した。通常ルート「剣舞の魂」だ!

思考入力にて進化先を指示した。すると、ラフィの周りに何か出てきて、包み込むような、あるいは取り込まれていくような音がした。

「ん?私、英霊にはならない。このまま、楽しい旅をしたい。」

おっと。何やら「英霊になれ!」的な何かがあるんだろう。選択してないのに捻じ曲げようとしてくるなんて、もはや悪霊だな。

ラフィが握っている手に力を感じる。そうだ。「真理の守り」で「虚偽看破」を付けておこう。ちょっとくらい役に立つかもしれない。

「英霊が英雄なんて嘘。私、だまされない。」

お?ちゃんと効果があったっぽい。それにしても、誰がそんなことを言っているんだろうか?ブレイオやリーネさんが無言だから、見える何かではないんだと思うが…

そんなことを考えていたら、触れていた手から感触が無くなった。いわゆる、身体の再構築が行われている影響で、触れられなくなったようだ。そして…

「ラフィは、剣舞の若魂 から 剣舞の魂 に進化しました。進化に伴い、能力値の再計算、並びに、技能が変化します。」

「称号 モンスターと心通わす者 を獲得しました。」

「条件を満たしたため、技能 伝信 を習得しました。」

「ユー。私、ちゃんと進化できた。ありがとう!」

そして、ラフィは、俺に抱き着いてきた。新調は150cmくらいだろうか。ちゃんと成長した腕力で、腕の辺りをニギニギしていた。

そんなラフィの触鑑定の結果は以下の通りだ。

名前: ラフィ

種族: 剣舞の魂

説明: 剣を持つ少女の体を取る思念体。一定の成長を遂げた心身は、更なる成長を求め、舞い踊る。

レベル: 20

体力: 45

魔力: 54

筋力: 42

防御: 33

精神: 57

知性: 39

敏捷: 66

器用: 66

技能:

適性: 舞剣術2, 武踊術1, 魔踊1, 魔歌1, 霊術17, 魔法(氷20, 風15, 月15), 採集15

技術: 念話2, 魔力制御1, 中級双剣1, 急所看破16, 危険感知19, 直観16, 索敵魔法14, 受け身19, 疾駆1, 多段跳躍1, 安定動作2, 遊泳8, 並列思考17, 観察16

支援: 言語(人類), 世界知識, 反応強化, 海の心, 視力強化(魔)

耐性: 冷気耐性, 凍結無効, 精神異常無効, 魔抵抗

特質: 魂態, 樹木殺し

舞剣術:

下級: 受払, 飛剣, 連撃, 回転, 強斬

中級: 舞剣1

武踊術:

下級: 強撃, 足払, 投落, 反撃, 連撃, 掴撃, 飛蹴, 突撃

中級: 避脚

魔踊:

下級: 誘踊, 引踊, 身交, 注舞, 癒踊

中級: 奪踊

魔歌:

氷歌: 鎮静, 奪熱, 寒震, 封癒, 吹雪

月歌: 輝月, 朧月, 集命, 集魔, 波月

中級: 指向制御

霊術: 吸魔手, 痛撃, 汲命, 凝視(束縛)

採集: 採取量上昇1, 採取品質上昇1, 安全採集1, 隠点発見1

魔法: 纏, 集, 槍, 縛, 波

氷: 氷柱

装備:

氷銀の剣, 聖銀の剣, 霊布の胴衣, 合革の靴, 水中花の靴下, 水中花の小手, 月光の腕輪, 魔力の指輪

魔踊:

説明: 呪文と一体化された踊りを行使する適性。

魔歌:

説明: 呪文と一体化された歌を行使する適性。

魂態:

説明: 実態を持つ霊体の特性。身体以上無効、即死無効、光・闇属性弱点、浄化特攻、薬品無効、治療無効、MP自然回復増幅、HP自然回復縮小。

本体の進化や各種技能の進化に伴い、能力値もかなり高くなった。

まず、「舞踊」と「歌唱」が、種族固有ルート「魔踊」と「魔歌」に進化できた。このルートは、精霊やゴースト、妖精などの限定ルートなのだが、例えば、相手の「中級歌唱」を「魔歌」で一方的に上書きできるそうだ。込められる魔力の質が段違いなのだろう。

続いて、歌唱に「月歌」が生えた。歌でHP吸収、MP吸収ができるようになってしまった。ただし、吸収の速度はかなり遅いらしい。

そして、とうとう「精神異常無効」になってしまった。悪魔の誘惑を跳ね除けたせいか、心が強くなりまくったようだ。

最後に、「若体」が消えて、「魂体」になった。文面上の効果は、「若魂体」と変わっていないが、弱点が緩和されたり、MPの回復速度が増したりしていたらいいな。

あと、俺の方も変化があった。「モンスターと戯れる者」の上位称号が生えてしまった。あと、その称号が原因で、「念話」の下位技能「伝信」も生えた。コレ、生えるものだったんだな。

モンスターと心通わす者

説明: モンスターと向き合い、親密に対話する者の証。

常時効果: モンスターに懐かれやすくなる(中)、対話系統技能の成長促進(小)、捕獲系統技能の成功率上昇(小)。

セット効果: 仲間モンスターの成長を促進(小)。

「おぉ、いいね、絵になるね。親子愛かな?ブレイオちゃんも抱き着きなよ。」

「我がか?」

「いや、抱き着かなくていいからな。」

トマの塔でブレイオが今の「雷の成鬼霊」に進化した時には、「これからも一緒に強くなって、いろいろな所に行こうな!」と言いながら拳を合わせた。今のラフィは、それに近い類のことをしているんだと思っている。その意味で言うと…

「ラフィ。ちゃんとブレイオやリーネさんにも挨拶して来い。仲間だからな。」

「ん。行ってくる。」

「お?ラフィちゃんこっち来ちゃう?しょうがないな~。」

「リーネは仲間。私を育ててくれたから。」

うん。多少、大人にはなったかもしれないが、本質は相変わらずなようだ。