12-12 祈祷術がようやく進化

改定:

本文

「技能 祈祷術 が上限レベルに達しました。」

西の森で狩りを続けて2日目… ようやく、「祈祷術」がレベル20に達した。

なお、これまでに習得した技を整理すると以下の通りだ。

知の加護: 魔法攻撃、精神異常への耐性を上昇。今の所、平均6%、最大10%くらいの効果量なため、誤差にしかなってない。

守の加護: 物理攻撃、身体異常への耐性を上昇。上昇量は「知の加護」と同じ。

癒の祈り: HP小回復。祈祷中は連続で発動できるが、治療効果なためラフィに効かない。

消毒の祈り: 新体系状態異常の回復促進。祈祷中は連続で発動できる。

鎮静の祈り: 精神系状態異常の回復促進。ラフィの「氷歌(鎮静)」と同じように使える。が、精神異常がヤバいなら「真理の守り」を付けた方が安全なので微妙。

結界の加護: 半径3メートルくらいの球体上の結界を作り、外部からの干渉を防ぐ。使用中は動けず、結界の維持にもMPが必要だが、割れても維持コストを払えばすぐに再生する。なお、結界の強度は「祈祷術レベルの 25%」だそうなので、現状だと誤差にしかならない。

うん。微妙である。下級技能だし、俺でも離れた仲間を支援できるという強みはあるので、我慢はしよう。というか、ブレイオやラフィの回復、復活手段が得られれば、その他の技はどうでも良い。

ということで、進化先を確認してみたら、俺に提示されたのは以下の通りだった。

  1. 中級祈祷術: 純粋強化ルート
  2. 生命祈祷術: 回復や浄化、復活などに特化したルート。
  3. 戦武祈祷術: バフ特化ルート。なお、祈祷中の攻撃に対する反撃技まで生える。
  4. 豊穣祈祷術: 生産職向けのルート。なお、経験値やドロップ増加系の技も生える。
  5. 占星祈祷術: 祈祷術で攻撃するプレイヤーに選ばれているルート。予知系の特殊バフや、呪い、即死攻撃なども使える。また、召喚モンスターに関わる技も生える。
  6. 古式祈祷術: 特殊ルート。習得者が少ないため情報募集中とされていた。

「生命祈祷術」、「戦武祈祷術」、「豊穣祈祷術」、「占星祈祷術」は、例の4神に紐づいたルートであるように読める。

その上で、俺は「占星祈祷術」を得ようと考えていた。予知系の祈祷は要らないが、召喚モンスターの回復や復活に関わる技が生えるからだ。

古式祈祷術:

説明: 祈祷を通じて、世界に満ちる魔法を行使する中級技能。歴史上から隠された本来の神、あるいは、その化身の力を引き出す。

本来の神やその化身とやらを俺は知らない。神の像は、始まりの街、ナザ島、迷宮都市で触ったが、どれもフォームが違ったからだ。ただ、「本来の~~」と言っているということは、また「真理」がやらかしているのだろうか。

そうなると、神様の像にまで偽装がかかっていたことになる。そうしないといけない何かが過去にあった、と解釈するのが妥当だろうか?まぁ、モンスターに滅ぼされた都市があったり、墓地ダンジョンから出てきた鬼に蹂躙されたり、という歴史があるので、影響しているのかもしれないか。

それはそうと、今は進化先だ。とりあえず、わからない技能が出てきたので、主な習得技について識別してみた。

なお、職業や技能については、「識別」を持っていれば、どういった成長をするのかや、注目すべき特徴などを知ることができる。だからこそ、「裁定者」というわけのわからない職業を選べたわけだ。

  • 回復、復活、戦闘補助、結界系の技を幅広く習得する
  • 非生物への回復など、一部の祈祷が持つ対象種族の制限を解決できる
  • 消費MPの増加を伴うが、全体的な祈祷の出力が向上する

結論としては、「中級祈祷術」の性能をMPで増幅させるような技能らしい。そして、召喚獣に対する制限を取り払えそうなこともわかった。

問題は「MPの増加」だ。確か、「占星祈祷術」で使える召喚獣の復活魔法は、「チャージタイム30秒、消費MP100、クールタイム10分」だったはず。それより多くなる覚悟はするべきだろうが、さすがに2~3倍くらいのコストだと思う。

「技能 祈祷術 が 古式祈祷術 に進化しました。既存の技が変化します。」

「古式祈祷術 復活の古祈1 を習得しました。」

「条件を満たしたため、称号 限界突破者 を獲得しました。」

ということで進化させちゃった。その結果…

知の古祈: 消費MP2倍。効果は未確認。

守の古祈: 同じく消費MP2倍。効果は未確認。

癒の古祈: 消費MP2倍。治療属性が消えていたので、ラフィに使えるかもしれない。

消毒の古祈: 消費MP2倍。効果は未確認。

鎮静の古祈: 消費MP2倍。未確認だが、そもそも使わないかも?

結界の古祈: 文面上は、消費MP、維持コストを増やすことで、結界の出力が調整できるようになった。

復活の古祈: 消費MP100で復活。クールタイム10分。一日2回まで使用可能。同一対象を復活できるのは一日1回まで。対象者に「生物」と書かれてない。

どうやら、復活については「連続使用の制限」で許してもらえたようだ。長期戦や連戦時に効いてくるが、一日に2回も戦闘不能になる時点で問題ありではあるか。

それよりも、「癒の古祈」だな。ちょうど、ラフィのHPがちょっと減っているので試してみよう。

「ラフィ。祈祷術が進化したから、試してみるぞ。」

「ん。大丈夫。」

「オッケー。露払いは任せてよ。」

念のため、ラフィが近くにいることを会話で確認してから、「癒の古祈」を使用した。その結果…

「ん?温かい。」

「お!ラフィちゃん、HP回復していくよ!」

「ん。痛いの、なくなった気がする。」

「次はブレイオな。」

「ぬ。以前より力が増したか?やはり、強化されたのだな。」

よし。ラフィの回復手段ゲットだ。正直、復活よりも重要な課題だったので助かる。

それと、普通に効果も増しているようだ。回復量が増えたのか、祈祷が100%届く範囲が増えたのかは知らないが、その辺りはこれから検証するとしよう。

「ユーさん、おめでとう。これで、ラフィちゃんの安全も増したね。」

「一応、復活も覚えた。何か事故があった時には試そうと考えている。」

「アハハ。そんなこと、無いのが一番だけどね~。」

「だな。そうならないためにも、俺たちはもっと強くなろう。」

その後は狩を再開。結局、周囲のモンスターはブレイオ、ラフィ、リーネさんがSAD(Search and Destroy)していくため、俺はバフや回復の祈祷を繰り返したのだった。

結果として、祈祷の効果はあまり増えていなかったが、100%の効果を発揮する範囲、及び、範囲から外れた時の減退率が緩和されていることが確認できた。「祈祷術」の頃は、有効射程が半径8メートルくらいだったが、今は15メートルくらいまでは100%の効果が及ぶようだ。

「あぁ!」

「召喚獣 ブレイオが戦闘不能になりました。」

と、事故があったようだ。たぶん、プチアースフェアリーの土槍辺りが刺さったんだろう。森の中は、狭い所もあるので、うまく回避ができないシチュエーションもあるはずだ。

とりあえず、「復活の古祈」を使用。が、対象者にブレイオがいなかった。その代わりに…

「ユー様。召喚モンスターを復活させる場合には、対応する契約の証を出現させる必要があります。」

とナビーに教えてもらった。言われてみると、カイムさんに復活させてもらった時にも、契約の証を預けていたな。

ということで、インベントリーから「契約の証(ブレイオ)」を取り出して、再び「復活の古祈」を選択。すると、ちゃんとブレイオが復活可能である旨の通知があった。

程なくして、復活は完了。カイムさんに復活させてもらった時と同じく、持っていた証が光るような感じの音がして、その後、正面に「ポン」と音がした。

「ぬ。我は… 負けたのか。」

「お、ブレイオ。復活できたようだぞ。」

「そのようだ。主人、助かった。土の妖精に包囲された。木に囲まれた場所故、逃げ場が無かった。」

「跳躍はできなかったのか?」

「ぬ?そうか。その手を失念していた。我もまだまだ力不足か。」

「跳躍を使うなら、木の上を移動する練習はしておいたが良いぞ。乗る場所が悪いと落下するからな。」

「心得た。リーネ、ラフィが戦いを終えているようだから、我はさっそく始めるとしよう。」

ということで、やはり復活手段は大事、ということのようだ。まぁ、森なんて言う所でブレイオが戦っていること自体が間違いなのかもしれないけれど。

あと、「契約の証」を出さないと復活できないことは注意しておこう。「契約の証」は破壊・譲渡不可ではあるし、無くしても勝手に戻ってくるらしいが、手に持っていると普通の戦闘はやりずらくなるからな。

そうそう。放置していた「限界突破者」だが、これは、「技能獲得や種などの効果で増えたベースの合計が 80 を超えた」という記念照合だ。名前は凄そうだが、幅広く技能を育てていけば、誰でも手に入れられるものである。ただ、これを持っていないと習得できない技能もあるので、上を目指す者には必要な称号だ。

限界突破者

説明: あなたは、この世界に生まれ出た時に定められた限界を超えた。しかし、これは新たな成長の始まりでもある。

常時効果: なし

セット効果: なし