12-14 VSアンデールの僕(スパ)

改定:

本文

閉じ込められた部屋にて、アンデールの僕との戦いになった。のだが、その内容は…

「ふん!貴様、裁定者ではないのか!」

「良い拳だな。ちなみに俺は武僧な。」

久しぶりのスパになっていた。

アンデールの僕は、最初は、魔法や槍と思われる何かを使っていた。のだが、例によってぽふんぽふんなって、真理の枷が積もっていった。

すると、俺に近接した上で、拳や足技を使った格闘で挑んできたのだ。ある意味で、「真理」をちゃんとメタっていると言える。で、その過程で俺も触鑑定ができた。

アンデールの僕:

種別: モンスター、エクストラボス、悪魔

レベル: 35

HP: 79%

状態: 敵対, 真理の枷+7

説明: かつて、この地を闇に沈めんとした大悪魔アンデールの僕。主の再臨に向けて暗躍を続けてきた。

識別:

体力: 1050

魔力: 105

筋力: 105

防御: 105

精神: 52

知性: 52

敏捷: 52

器用: 52

属性: 闇

弱点: 光

ステータスが、称号「マッスルファイター」の特徴だった。

確かに、「裁定者」の突破方法は、「正面から正々堂々と物理で殴る」だろう。そうすれば、「真理の枷」が貯まることは無いので、裁定者としての能力は発揮できない。

あと、「裁定者」は、魔法職に近い特性と反撃に特化している。「裁定の枷」は俺の「精神」でダメージ計算するし、「中位裁定」に進化した時のボーナスは「精神, 知性+1」だったからだ。これなら、生産職や魔法職とのシナジーもあるかもしれない。

結論として、「高い魔法攻撃力を使って裁定の枷で刈り取る」みたいなビルドをしていると、現在早退しているアンデールの僕との相性は最悪だ。それくらい、徹底的にメタっている辺り、よほど嫌なのだろう。

ただ、こいつ、あるいはこいつらからは、「裁定者が二次職」であることがすっぽ抜けている。ここはレベル30エリアなので、「強く育った一次職を使って、獲得したばかりの二次職を育てる」ものだ。つまり、「一次職で戦えば良い」ということになる。

あ、でも、俺を「裁定者」と呼ぶ程度に、しっかり諜報活動をしていたのなら、俺を生産職、あるいはヒーラーと誤解したのかもしれない。最近俺がしていたことを思い出してみると、「薬草の仕分け」、「浄化」、それから「祈祷」ばかりだったからな。

ということなので、久しぶりに拳で語り合うスパタイムを楽しんでいる。明日のレイドイベントは、集団戦、または、超巨大ボスを囲んで敲く転回になるだろうから、こんな機会は味わえないだろう。

アンデールは、たぶん、「上級体術」を使っている。「掌打」や「爆裂拳」、「流星蹴」などを使っている。きっちり技名を宣言するので間違いない。

ただ、遠距離技を俺がほぼ無効化してしまうため、近接戦闘を強いられている。結果、特化技能である「上位近接体術」には届かない。しかも、槍も使っていたので「己の武器は体」が無いことも影響しているだろう。

おっと、ちょうどよく体を捕まえたので、滝落からの、光波だ!こいつ、知性が低いので、魔法を混ぜるとよく通る。

「クク!面白い!格闘でここまで楽しめるとは!」

「お?やっぱりあんた、格闘派だったか。俺も楽しいぞ!」

この悪魔、もしかしたら馬が合うかもしれない。エクストラボスだから倒すけれど、よく話すし、わりと正面から体術で撃ち合ってくる。

「だが、お遊びはここまでよ!この場で葬ってくれる!溢気法だ!」

「お!やっぱり持ってるか。なら俺も溢気法だ!」

やはり格闘系。きっちり「溢気法」も使ってきた。

なら、俺も使うとしよう。明日の戦闘で使えないかもしれないが、そもそもこの技は短期決戦用。今使った方が有意義だ。

なお、この僕が持っているのは、「上位気術」のようだ。以前のリングファイトで経験した圧迫を感じたからだ。なお、気留術が上級になったので、普通に抵抗している。

で、「溢気法」の効果は、実は、持っている技能の影響を受ける。確か、「上位気術」の場合の効果は以下の通りだったはず。

  • 全能力値 1.5倍
  • 気を用いた攻撃のクールタイムが半分になる

「クハハ!貴様も持っているか!存分に粉砕してくれようぞ!」

「スーパーモードってテンション上がるよな。俺も本気で行くぞ!」

その後、気弾が飛んで来たり、連気拳に連気拳で合わせたりなど、激しい殴り合いがあった。結果…

「く!貴様!裁定者の力に甘えず、己を鍛えていたか!」

「お前も、良い格闘家だったぞ。だが、これで最後な!超聖拳!」

「ククク!人に心振るわされるとは!なら応えよう!破砕拳!」

あっちはクールタイム半減こそ優秀だが、能力は1.5倍。こっちは能力2倍。おまけに、僕の筋力等は、俺の防御力よりも低いので、つり合っていない。

「気留術」の「溢気法」は、能力値が化け物になるので、他の「溢気法」で喧嘩をしてはならない。そもそも、近接特価なのだから近づいちゃいけないのである。

というわけで、ボッコボコにして、最後に新技「超聖拳」を使ったら、拳を合わせてくれた。そこ、合わせる所じゃないと思うのだが、よほど心地よかったのだろう。

「アンデールの僕を倒した。経験値を7000獲得しました。」

「ユーはレベル36に上がりました。」

「エクストラボス アンデールの僕 の討伐に成功しました。イベント終了後、特別報酬が授与されます。」

「称号 上級拳士, 上級武僧, 大悪魔との邂逅者, 大悪魔の討伐者 を獲得しました。」

「迷宮都市 地下の小部屋 に入りました。」

というわけで、1時間のスパ… じゃなくて、無事にエクストラボスを討伐できた。ソロで挑まされるからなのか、その強さはだいぶ加減されていたように思う。経験値は美味しかったけれど。

獲得できた称号については、全社2つは、上級拳士とのスパを経た結果だろう。「上級僧侶」は、昨日浄化していたら生えたので、統合称号も手に入った形だ。

大悪魔との邂逅者

説明: イベント限定称号。大悪魔アンデールの一部に早退し、その存在を認識した。

常時効果: 大悪魔アンデール、並びにその関係者に対し優位になる(微)。

セット効果: なし

大悪魔の討伐者

説明: イベント限定称号。大悪魔アンデールの一部に早退し、討伐した。

常時効果: 大悪魔アンデール、並びにその関係者に対し優位になる(小)。

セット効果: なし

上記2つの称号は、明日あるであろうレイドイベントの難易度緩和… といった所だろう。まぁ、さっき倒したアンデールの僕が復活してきてくれないとわからないわけだが…

とりあえず、ブレイオとラフィを召喚。部屋について調べてもらおう。アンデールの僕は、最初、石縛や闇弾なども使ってきたので、2匹を呼ぶことができなかった。

「ん?ここは?」

「迷宮都市の地下にある隠し小部屋だそうだ。さっきまで悪魔の襲撃を受けていてな、倒したらここに転移した。」

「闇の魔力を感じるのは、そのためか。」

「あぁ、そういうのあるんだな。とりあえず、部屋は調べてみよう。」

「ん。わかった。」

その後、小部屋を調べてみた。結果、以下のことがわかった。

  • 部屋は、6メートル×6メートルくらいあり、周りは石の壁で囲まれていた。ちゃんと空気穴はあるようで、息が詰まるようなことは無かった。
  • 部屋の中には、固定された木製の机と、「古い地図」、「剛体の技能書」、「魔弾鋼の投槍」があった。
  • 出口となる木製の扉の先は登り階段になっている。

古い地図:

種別: イベントアイテム

説明: 迷宮都市の構造を描いた古い地図。文字などは風化して読むことはできないが、当時の都市の概略は読み取り可能なようだ。

品質: 1/10

魔弾鋼の投げやり:

種別: 投擲・槍

説明: 重金属製の槍。投擲の用途に最適化されている。投じられた槍は、魔法的な力を破壊し突き進む。

品質: 7/10

「古い地図」は、「街を覆った闇を取り払う魔法陣」あるいは、悪魔やスタンフィードに関わるヒントかもしれない。また、「魔弾鋼の投げ槍」も、イベントに関わるアイテムだと思う。「投擲アイテムが一本だけ」って、明らかにおかしいからな。

考えてみると、このダンジョン内で入手したアイテムは、魔力を含む素材ばかりだった。おくたんが採取、伐採したアイテムは、魔樹や魔草、魔綿などだった。発掘をしていないので鉱物は知らないが、「魔弾鋼」が異質なのは確かだ。

ここまで考えた所で、もうこの部屋には用は無くなったので、俺たちは脱出することにした。

扉を開け、階段を昇って行くと、天井に頭がぶつかった。階段はまだ上に続いているようなので、どうやら、蓋で塞がっているのだろう。

手を上に伸ばしてみると、ちゃんと蓋が見つかった。単純に乗っているだけのようで、登りながら押していくと簡単に動いた。

「迷宮都市に入りました。」

蓋を押しのけて階段を登りきると、そこは迷宮都市の中だった。だが、冒険者ギルドではなくなっている。

俺は、ナビー経由で得た現在地情報を添えて、アヤにパーティチャットを送った。ここから離れて良いのかわからないので、迎えに来てもらうためだ。

「ほ~い、ユーさん発見。」

「ん?リーネさんが来てくれたのか。そいつは助かる。」

「アヤさんから伝達してもらったんだ。それで、いったいこれはどういうことかな?」

アヤにチャットを飛ばしてから5分後… 彼女はうまく連絡を果たしてくれたようだ。イベントの流れ的には、OBじゃなくて現役職員の方に来て欲しかったのだが…

とりあえず、職員に連れられて入った部屋での出来事と、その顛末を語った。もちろん、見つけた地図や、アンデールの僕の発言についてもだ。

「う~ん、大悪魔の僕が出てきちゃったか。まぁ、悪魔が暗躍していたようだから、その疑いはあったんだけれど。」

「リーネさんは、大悪魔や、その僕と対面したことはあるのか?」

「無いよ。ギルドでも、高レベルの悪魔や妖精なんかを大悪魔と見間違える話を聞くぐらいだったかな。私たちの間だと、一人現れただけで都市が一つ消えるか?っていう規模の話になるからね。」

「街が闇に沈むと言っていたか。確かに、そんなのがポンポン現れていたら大変だな。」

「それにしても、これは注意喚起するべきことだね。隠し階段も気づかなかったよ。この上を通ったはずなんだけどな~。」

「そうか。たぶん、内側からしか開けられない特殊な仕掛けがあったかもな。尤も、中にあった物はこれで全部だから、もう入る意味は無いかもしれないけれど。」

「了解。私も見てくるよ。その後はギルドに戻ろう。あと、私もユーさんと行動を共にしていいかな?」

「かまわないぞ。状況的に、一緒にいて効果があるのかは怪しいけどな。」

その後俺たちはギルドへ戻り顛末を共有。「古びた地図」は、「欠落した魔法陣を修復するヒント」だったそうだ。

なお、俺を仕分けの所まで案内した職員は悪魔の手下だった… ということはなく、普通に薬草の山へ案内するつもりであったようだ。実際、同じ部屋に入ったら、ちゃんと薬草の山が6つほどあった。扉を閉めたタイミングで、何かを仕掛けられたのだろうか…