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二日ほどかけて、メイレンの技能を育てた。結果、以下の通りとなった。
名前: メイレン
種族: 光の幼妖精
種別: モンスター・妖精
レベル: 5
体力: 7
魔力: 13
筋力: 4
防御: 7
精神: 9
知性: 13
敏捷: 7
器用: 10
技能:
適性: 描画11, 彫刻9, 魔法(光11, 治療8)
技術: 伝信14, 魔力操作9, 浮遊6, 精神集中9, 危険感知8, 索敵魔法8, 観察6
支援: 光の心, 言語(人類), 世界知識
特質: 幼妖精, 幼体
装備:
精霊銀の彫刻刀, 霊布の胴衣, 魔力の指輪
指導系技能のおかげもあり、メイレンはすくすくと育った。ただ、ブレイオが幼体だった時のように、水に入ることが難しいようで、修行はずっと雪原だった。体が小さく浮遊を主体としていたので、疾走系も育っていない。体力や筋力を伸ばすのが難しそうだ。
それと、アヤには件のモフモフ称号を取ってもらった。何も無い個室を借りてラフィと遊ぶ、という方法で満たした。話によると、一緒に踊ったりもして、お互いに楽しめたようだ。
なお、アヤの持ち物はラフィ回復用の魔力草のみとし、それ以外は装備品も含めて、全てリーネさんに預かってもらった。こうしないと、彼女は衝動のままにスケッチを始めてしまうからだ。「モフモフ称号」なんて呼ばれているが、アヤにとっては「スケッチを我慢する」試練だったに違いない。
というわけで、今日からいよいよ実践だ。「始まりの草原」で、メイレンに戦闘の経験を積んでもらう。
ただし、これには俺は同行しないことになった。今回は「アヤと一緒にモンスターを狩る」訓練になるからだ。なお、代わりにリーネさんが面倒を見てくれるとのこと。
では、俺は何をするのか?というと…
「薬草のユーさんだね。イベントぶり。」
「ん?参謀のリョーマさんか。」
イベント以来のリョーマとの再会、そして、交渉だった。
「アハハ、フレンド全員から、その名で定着しちゃったね。二次を槍士にしたのだけれど、参謀っぽい職が出るまで粘るべきだったかな。」
「そうか。斧と槍というと、いわゆるハルバードが使いたかったのか?」
「そういう武器にあこがれが無いわけではないけれど、実際は違うんだ。どっちも攻撃力の高い武器だから、モンスターをなぎ倒すのに良いかな?って思ってね。」
どうやら、リョーマは「参謀」と呼ばれるほど知恵の回る人であるが、強力な武器でモンスターをなぎ倒すのが好みであるらしい。それにしても、槍を使っているというのは都合が良い。例の聖魚の討伐報酬を買ってくれそうだ。
「そうか。先日、ナザ島のエクストラに挑んだら、報酬で槍が出てな。こっちのパーティに装備できる者がいないんだ。」
「チャットで挙げてくれたやつだね。是非欲しい。僕も狙ったんだけど、結局出なかったんだよ。」
「ランダムだもんな。あ、一応、これが現物だ。」
「手に取ってもいいかい?握り具合なんかも見たいよ。」
「かまわないぞ。」
俺は、インベントリーから取り出した武器「聖銀の槍+1」をリョーマに手渡した。
「なるほど。基本性能は聖銀の槍に近いけれど、少し重さがあるね。特別な魔力でもこもっているのかな?」
「鑑定にもある通りだが、水中でも威力が衰えにくいようだな。」
「確かにそう書いてあるね。いずれにしても、これは使って良し、強化素材にして良しだから、ぜひ欲しい所だね。」
「そうか。チャットで相談はしていたが、交渉してもらえるようで良かった。」
俺としては不良在庫ではあるが、「+1」が付いているなら、他の武器に合成するなどを通して強化する素材として使える。なので、ちゃんと対価を頂くようにしたい所だ。
なので、まずは鉄板の方法、「同程度のランクの素材との交換」から話を進めることにした。
「では、まず聞きたいんだが、聖魚の報酬は何が出たんだ?」
「聖なる光の石と、光の水差しだね。」
「水差しなんて初めて聞いたな。こっちは4人で挑んだんだが、出なかったぞ。」
「生産職向けのアイテムなんだけどね。注いだ水に光属性を付与する効果だったよ。いるかい?」
「あぁ、あいにく、それは要らないな。素直に生産専門の人に売るのが良いと思うぞ。」
一応、アヤなら錬金や描画関係で使い道はあるかもしれない。だが、本人がいないし、そもそも持て余す気がする。効果を考えないなら、普通の水差しを雑貨屋辺りで買ってくれば良いのだ。
「となると、現金買取か。普通の聖銀の槍が… 1.5万くらいだったような…」
「あぁ、それは止めたがいいよ。聖魚の報酬は、今レイトが爆上がりしているんだ。最近出土したエクストラだからね。」
「うわ、71万とか出たな。確かに、正当な評価って難しいか。」
どうやら、「水中戦を強要するボスの報酬だから、何か特別な効果があるのでは?」と予測した上位プレイヤーが介入しているようだ。プレイヤーが参加できるオークションで、びっくりな価格が付いていることがわかった。
「となると、エクストラ報酬との交換でつり合わせるしかないか。」
「う~ん。あ、そうだ、ユーさんは幻覚無効なんだよね。雷霊鬼はどうかな?」
「あぁ、アレか。それは、リョーマさんがまだ狩ってないから、一緒に狩って、そこで出た物と交換… ということか?」
「そう。というか、その言い草だと、ユーさん、既に狩ってる?」
「まぁ、事情あって4度ほどな。ちなみに、氷帝も二度ほど狩ってる。」
雷霊鬼については、「見つけたの俺」レベルの話である。まぁ、報酬は全てブレイオに注ぎ込んだので、「雷結晶」や「天雷の鉢巻」など、使い出のありそうな報酬と交換するのはありだと思う。
「なるほど。遺跡のエクストラ… は、まだ見つかってないか。」
「そもそも、西の開拓がまだでな。今はニノンの村にしか転移できない。」
「そっか。困っちゃうね。」
「いや、雷霊鬼でもかまわないぞ。獲得した報酬は全部使ってしまったんでな。」
「こっちとしては助かるよ。あ、ちなみにパーティでいいかい?検証を見た限り、僕にはソロ討伐は難しそうだから、仲間を4人連れて行きたいんだ。」
「ソロで討伐したい、って人がいないならかまわないぞ。それと、俺はソロ特化プレイだから、連携はできない、むしろ放置して欲しい。それでもいいか?」
「放置ね。よくわからないけれど、かまわないよ。」
その後、俺たちはトマへ移動、リョーマたちのパーティに参加して、一緒に雷霊鬼を狩ることになった。なお、その時に彼を鑑定させてもらった。
名前: リョーマ
種族: 山ドワーフ
職業: 斧士, 槍士
性別: 男
称号: [中級斧士], [中級槍士]
レベル: 40
体力: 160
魔力: 80
筋力: 130
防御: 125
精神: 60
知性: 80
敏捷: 70
器用: 100
技能:
適性: 上級斧術2, 中級槍術18, 投身巧術7, 魔法(土20, 水20, 風20, 炎20, 光20, 闇20, 木20, 付与20), 中級採集5
技術: 中級投擲16, 直感32, 危険感知25, 完全解体16, 受身31, 魔力制御3, 定駆1, 多段跳躍1, 心身安定3, 水中活動1, 中級並列思考15, 鑑定31, 冒険者指導15, 運搬26
支援: 世界知識, 視力強化(延,暗), 反応強化, 剛体, 剛力, 剛耐, 山の心, 森の心, 大地の心, 海の心, 滝の心, 炎の心, 世界知識, 薬草知識, 看破, 識別
耐性: 毒耐性, マヒ抵抗, 眠り抵抗, 逆上抵抗, 混乱抵抗, 恐怖耐性, 暗闇耐性, 幻影抵抗, 燃焼抵抗, 凍結抵抗, 石化耐性, 即死耐性, 蝕傷抵抗, 魔抵抗, 物理耐性
特質: 巧人
前にでて突撃するアタッカーとしては、良い感じだと思う。また、投擲もけっこう使うようで、「器用」が高い。魔法については、「MPを増やすために上げている」といった所だろう。
あと、まさかの「完全解体」ルートを選んだプレイヤーだった。さすがにボスの解体はシステム的にできないらしいが、ゲーム内で解体に挑むとは、「得られる物をきっちり得る」という意欲を感じる。
ただ、確かにこの能力だと、雷霊鬼との相性は良くない。レベル40の能力としては、知性や敏捷が低い方だ。HPでけっこう耐えられるとは思うけれど…
その他のパーティメンバー4人には、トマで合流した。それぞれ、以下の通り、軽く自己紹介をしてもらった。
- 紅蓮: 男、ドワーフの前衛タンク。盾と槌で戦うとのこと。
- オニキス: 男、エルフの魔法剣士。回復や結界も含めオールマイティーに立ち回っている。
- サン: 男、エルフの薬師兼僧侶。純粋ヒーラー。
- ココナ: 女、ヒューマンの服飾系生産職。魔法と弓で攻撃はできるとのこと。
なお、普段、一緒に組んでいるというもう一人のパーティメンバーは、元から高所恐怖症なため最初から不参加。トマの塔だと、窓から外が見えてしまうためNGなのだそうだ。