14-05 W3 ウェビンの荒野

改定:

本文

ウェビンに来て3日… 俺たちは、技能の育成やギルドでの洗浄、浄化をこなした。

初日に予想した通り、この期間中、ギルドには大量のドロップ素材が集められた。その8割がゴブリンやコボルトの系統モンスターから入手できる武具類だ。

また、途中では休憩も兼ねて、松明無しでニノン洞窟へ突入し、暗視の獲得や感知技能の育成を進めた。なお、俺はどちらも関係なかったので、普通に魔法や祈祷術の育成を進めた。

そして、洞窟内のモンスターを使って、仙人掌マントの効果も確認した。結果、当初予想した通り、仙人掌マントによる対不意打ち効果が発動した後、正々堂々などの効果が発動することが確認できた。体当たりしてきたらしい洞窟コウモリが、はっきりわかるほどの反撃ダメージを受けていたからだ。

「ユー様、おはようございます。」

「おはよう、ナビー。今日からは、荒野でレベル上げをするぞ。先導してくれ。」

「了解しました。冒険者ギルド入口で合流後、西出口へ向かいます。こっちです。」

今日からは、西の第3マップにてメイレンのレベル上げを行なう。もし、良いダンジョンが見つかれば中に入ることも検討したい。

というわけで、ギルドの入口で合流後、西出口から外へと出た。

「W3 ウェビンの荒野へ入りました。」

「わぁ、だだっ広いね。」

「荒野だからね~。モンスターにも見つかりやすいから気をつけてね… って言いたい所だけれど、メイレンちゃん以外は問題無いのか。」

ウェビンの荒野は、商業都市ウェビンと、西にある砂漠地帯とを結んでいる荒野地帯だ。このため、植物は少ないらしい。

そして、ここに出現するモンスターは以下の通りだ。

赤狼: 体毛が赤い狼。炎属性などは無いが、フィールドを駆け回っているため遭遇しやすい。

職業コボルト系: ゴブリン種の上位で、より敏捷や器用さが増している。職業系なので、いろいろな武器を使ってくるが、爪を使った体術を混ぜてくることもある。魔法使い系もいて、炎を使ってくることが多い。

寄生花: 迷宮を囲む森で倒したことがある植物だが、こっちが本家。荒野の地面の色に似ている部位があるらしいため、まとめウィキではトラップ的な扱いを受けている。

モンスターセポリー: 過去に戦ったことのあるモンスター。寄生花と違い、はっきり視認できる。風属性の魔法を使う。

ランドピッグ: 大人サイズの豚。高めの防御力を持ち、土属性の魔法で攻撃してくる。接近時にはのしかかりからの踏みつけをしてくる。重量があるらしく、接近戦の攻撃力はかなり高い。

スケルトン系: 夕方~夜に出現。剣や弓などで攻撃してくる。なお、スケルトンが近くにいるとコボルトが寄って来ないらしい。

ナイトブル: 夜に出現する闘牛。角に炎を纏うことで、攻撃と光源の確保をこなす。このため、炎が突っ込んでくるように見える。

総じて、出現するモンスター自体は多いが、見た目通りなものが多いため、対策は容易なフィールドと言える。その分、隠れる場所が少なく、動き回るモンスターも多いためエンカウントはしやすい。

ということで、今日は以下の3チームに別れて荒野探索をすることにした。

  1. ユー、メイレン
  2. アヤ、ブレイオ
  3. リーネ、ラフィ

「ブレイオ。アヤさんを頼むぞ。近づいてくるやつらは自由に狩ってくれ。ただ、豚には注意な。」

「心得た。我が全て駆逐しよう。」

「メイレン。気をつけてね~。」

アヤをブレイオに預けてきた。そして、今日はメイレンと組むことになった。

「ユー。これから、どうすればいい?」

「ここのモンスターなら、お前の魔法で十分戦えるはずだ。だから、見つけたら光… いや、ライトバインドで牽制だな。」

「え?それでいいの?」

「この荒野のモンスターは、洞窟のモンスターより手ごわいぞ。そして、コウモリのように足止めをしてくれる仲間がいないから、お前自身の力で何とかしないといけないんだ。」

「ユーは、止められないの?」

「残念ながら俺は無理だな。行くぞ。」

俺はメイレンと一緒に荒野を進んでいった。

「ユー、武器持った獣が2匹こっち来てる!」

「コボルトたちだな。予定通り行くぞ。」

第1モンスターはコボルトたちなようだ。

「ガー!」

俺はそのまま進んでいくと、正面から声がした。そして、前からぼふっとした何かがぶつかってきた。

それで位置がわかったので、捕まえて投落!一撃で倒す。

直後、横から声がして何かがぶつかってきた。手を伸ばしたら、コボルトの腕を掴めたので、掴撃に移行して倒す。

「コボルトたちを倒した。メイレンは経験値100を獲得しました。」

最近、アヤには「経験の指輪」を着けてもらっている。おかげで、メイレンへの経験値がなかなかおいしい。

「ユー、凄い!強い!」

「メイレン、周囲にモンスターはいないか?」

「え?うん、いないよ。」

「そうか。とりあえず、モンスターはこんな感じに突っ込んでくるから、まず足を止めるんだ。そこからなら、魔法で狙い撃ちできるぞ。」

「うん。やってみる。」

そのまま進んでいくと、またメイレンがモンスターを発見した。今度は、赤狼3匹で、前後から、とのことだ。

「メイレン、バインドで後ろのやつを!」

「うん。ライトバインド!ライトランス!」

メイレンは、アヤとの練習の成果、それから器用が高いこともあり、しっかり狙って魔法を当てることができているようだった。種族的に、制御能力にマイナス補正受けているのに凄いな。

「こっちきた!」

「近い時は杖で流せ!あるいは跳躍から浮遊で逃げろ!」

たまに接近されることもあったが、浜辺などでしっかり鍛えたこともあり、耐え凌ぐことができていた。

「助かった。ユー、ありがとう!」

「こっちも助かっているぞ。セポリーもしっかり倒せたようだな。」

「うん。ユーがかばってくれるから、安心。」

メイレンはそう言っているが、単に、俺の後ろに隠れるなどして、盾にしているだけである。俺は仲間をかばったり、挑発したりする技能を持っていないのだから。

ともあれ、メイレンが安全に戦えているのは良いことだ。もし頻繁に狙われるなら、ラフィ辺りを呼び戻さなければならないだろう。

その後も、メイレンとのモンスター狩りを続けたが、途中でアヤがメイレンを連れて行ってしまった。何やら、スケッチすると良い場所を発見したようだ。

なので、俺はナビー先導の元、荒野内を散策してみることにした。

結果、大部分は踏み固められた土だったが、凸凹していて、雑草が群生している場所があったり、小山のように出っ張った場所があったりもした。

当然、そんな風に徘徊していると、いろいろなモンスターに絡まれた。が、レベル差の関係で勝負にならないので、戯れるほどの余裕があった。

のしかかってきたランドピッグを逆に持ち上げてみたり、体の泥を落としてみたりした。泥を落とした後の体表は、モチモチとした感触だった。

草むらで絡みつかれた寄生花を、これ幸いと葉っぱや茎を触って確認した。茎には弾力性があり、自由に曲げられることがわかった。葉っぱは硬く乾いていた。なお、触る過程で腕に絡みつかれたりしたが、引っ張ると簡単にはがせたので、結局ダメージは受けなかった。

拳士系と思われるコボルトを使ってスパをした。と言っても、こっちから攻撃すると一撃で昇天しそうなので、受け身の練習に活用した。

MP空っぽと思われるモンスターセポリーにも隣接できたので、捕まえて触れてみた。結果、球根っぽい所から足のようなものが生えていて、それで歩いていたことがわかった。葉っぱは柔らかかった。

よく考えたら、規制花もセポリーも、自分で戦った記憶が無かったので、こうした体験は新鮮だった。特にセポリーは、遠距離から魔法しか使ってこない上、普通は逃げるらしいので、近くで触れられるなんてミラクルだろう。