14-13 第7マップ到達と剣舞の成魂

「E6 フィールドボス 緑侵の精霊エルアドニ の討伐に成功しました。 E7 のマップが解放されます。」

「称号 第6マップ突破者 を獲得しました。」

「経験値を10750獲得しました。」

「ブレイオは、レベル41に上がりました。」

「やったね、ユーさん！」

「ん。ユー、強かった。ボッコボコ！」

「ブレイオ、ラフィ、リーネさん、助かった。作戦もうまく行ったようだな。」

「うむ。しかし、主人はやはり強者だ。あれほどの攻撃に晒されてなお、正面突破して消し飛ばしたのだからな。今後、あのような強者と戦う機会も増えるのか…」

「そういう育成の仕方をしてきたからな。逆に言えば、ブレイオやラフィ、リーネさんがアタッカーをやるなら、別の戦い方になるだろう。」

今回は、各々が自身の役割をしっかりこなしたから勝利できたものだと思っている。

ただ、リーネさんには、ちょっと暇にさせてしまったかもしれない。彼女ほどの敏捷と超反応持ちなら、スーパーモード時でなければ、旋回しながら回避＆切り刻みでアタッカーを務められただろう。

うん。今度機会があれば、リーネさんにアタッカーをしてもらって、俺が盾とヒーラーになろう。アヤ辺りが樹海超えに挑むなら、ボス戦はあるはずだからな。

「それで、先が開けたみたいだよ。街に行くという話だったよね？」

「もちろんだ。だが、先にラフィの進化をしよう。」

「ん？いいよ。ユー、手、握っていい？」

「良いぞ。進化先は、話をした通り、剣舞の成魂な。」

フィールドボスが出現した領域は安全地帯になる。なので、この場所にてラフィの進化を行なうことにした。

なお、進化の選択肢については、ボス戦の前と変わっていなかった。少しだけ、「ボスを倒したら新しい進化先出てくるかな？」ということを期待していたのだが、そう甘くはないようだ。ゲーム的には、ここは通過点の一つなのだから仕方ないか。

進化先を思考入力すると、正面で俺の手を握っていたラフィの辺りに、何かが生まれるような音がした。まぁ、メイレンの時にも聞いたことのある進化エフェクトなわけだが…

しばらく音を聞いていると、ラフィが手を握っているという感覚がなくなった。身体の再構築になったようだ。

前回は、英霊に引っ張られそうになるようなイベントがあった。しかし、今回は違うようだ。「舞姫」と付いているが、種族的な変化があるものではないからだろう。

「ラフィは、 剣舞の魂 から 剣舞の成魂 に進化しました。進化に伴い、能力値、及び、技能が変更されます。」

そうして、進化は終わったようだ。スムーズなのは良いことだと思う。

「ユー。進化できた。」

「おっと。背もだいぶ高くなったな。いや、体が大きくなったか。」

「そうかも。」

進化したラフィは、やっぱり抱き着いてきた。そして、俺の手をニギニギしている。

進化したラフィは、俺よりも少し背が低い程度になっていた。新調は160cmくらいだろうか？

抱き着いている状況からすると、体つきも大人っぽくなったんだと思う。が、やっていることが相変わらずなので、詳しくは謎だ。今度、お風呂に入った時、洗わせてもらえるなら確かめてみるとしよう。

そして能力の方は、なかなか強くなった。敏捷や器用の値と舞剣術の特性を考えると、技によっては俺よりも火力があるだろう。

それと、「魂体」が「成魂体」になり、闇属性弱点が消えた。着々と強化がされているようで安心だ。

「ラフィちゃん、進化しても相変わらずだね～。でも、それじゃ足りないよ。今こそ、ユーさんをホネヌキにするんだ！」

「ん？ユーから骨を抜いたらおくたんになる。」

「いや、そういうことじゃないからね！ユーさん、なんで教えていないのかな？」

「唐突に変なことを言うからだと思うぞ。あと、そっち系統のテクニックを使う場面が無かったからだな。それよりラフィ、ブレイオとリーネさんの方にも挨拶して来い。」

「ん。行ってくる。」

ホネヌキか。確か、ラフィが若霊になった時にもそんなことを言っていたような気がする。あえてラフィにやらせるということは、リーネさんは、俺の反応を眺めて遊びたいのだろうか？

それはそうと、先ほど手をニギニギされた時、ラフィから何かが伝わってきた気がする。楽しさや感謝のような、心地よいものだった。今度、聞いてみるとしよう。

その後、俺たちは樹海を抜け、街に到達。これによって、転移で移動できるようになった。

なお、到達した街の名称は「峡谷の街トーガ」だ。この先にある峡谷地帯に繋がる拠点ということになる。

しかし、探索はまた次回にしよう。樹海を超えてきてそれなりに疲れたし、明日からの雪原超えの準備もしたいからだ。

ログアウトした俺は、まとめウィキを元に、明日の旅行プランを練り始めた。

やはり、初日は雪遊びスポット巡りをしながら、「氷雪の迎都 キースノーズ」へ向かうプランが良さそうだ。温泉は、できれば夜に入りたいが、難しければ翌日か？

雪遊びスポットは、まとめウィキに名称が掲載されていた。ゲーム内から参照できるメモに複写しておこう。ナビーに案内してもらえるはずだ。

次に、出現モンスター…

レベル的には問題無いが、雪原だけあって、斬冷の効きはいまいち… となると、ラフィの攻撃は通りが悪い。あっちからの攻撃も耐性で耐えられるようなので、今回はラフィにパリィか回避でタンクをしてもらおう。

火力は、ブレイオとリーネさんだろうか？アヤは… 生産職と割り切るべきか。ルナーで自衛できるとはいえ、本人はずっとスケッチしていそうだ。

俺は、近づいてきたら鉄拳装備で迎撃はするが、基本的にヒーラーだろう。メイレンもヒーラーになるだろうが、ラフィやゴーレムの回復ができないからな。

あと、そうか… おくたんの構成。雪遊びの時に出したら、動きが良くなかったんだったな。以前ホムクの試練洞窟で候補になっていたスノーマンもどき、話だけしてあったがどうなっただろうか？

「ユー様、こんばんわ。」

「夜か。ナビーは、メモに張り付けたキースノーズ雪原のスポットには先導可能か？」

「はい。全て、 氷雪の迎都 キースノーズ の南側にあります。先導可能です。」

「わかった。明日、巡る予定だから、その時に先導を頼むぞ。」

「了解しました。それで、これからどうしますか？」

「まずはアインステーフの武具屋へ向かう。ラフィの装備のサイズ調整だな。その後は魔生具店へ行きたい。」

「了解しました。こっちです。」

必要な物が出てきたため、再度ログイン。

まず、アインステーフにてラフィの装備のサイズ調整をしてもらうと共に、水着も新しくしてもらった。アインステーフには浴場があるため、水着も販売されていたのだ。

その後はもう一つの目的地、ヒマランの魔生具店へ向かった。

「おや？蛸型ゴーレムの主か。今日はどうしたかね？」

「キースノーズ雪原を超えたいんだが、今のままだと雪上での動きが悪くてな。良いメモリーボードはあるだろうか？」

「ふむ。アレに搭載するなら、浮遊より安定移動じゃな。泳ぎも可能か。あとは、冷気や凍結への耐性かの？良い物があるぞい。」

そうして、購入できたのは以下の3枚のメモリーボードだった。

どうやら、雪上の移動だけでなく、「掘削」を利用して、雪の中を進むことも可能なようだ。あとで、キースノーズで掘削ドリルの類があるかは聞いてみよう。いや、錬金の領分かもしれないので、アステリアに聞いてみるか。

そして、また失敗作という名のおくたん専用メモリーが出てきた。特に「ALL3-M」なんか、本来なら第9マップで入手できる類のパーツだったが、失敗した部分のデメリットがとんでもない数値になっている。なお、表記されている価格は「失敗作だから本来の50%で販売」らしい。通常の「ALL3」は27万pという超高額アイテムだ。

とにかく、これなら、雪原でもしっかり動けるだろう。「出さない」という選択肢もあるのだけれど、水中のおくたんが絵にされる程度には気にかけてもらっているようなので、存分に活躍してもらうとしよう。